真夏の祭典、G1制覇を目指し――=新日本プロレス・棚橋弘至インタビュー

茂田浩司

真夏の祭典「G1クライマックス」制覇に向けて、IWGP王者・棚橋弘至に独占インタビュー! 【スポーツナビ】

 今やプロレス界のエースと言っても過言ではない現IWGP王者・棚橋弘至。しかしそのスタイルは「ストロングスタイル」を掲げる新日本プロレスにあって異色も異色だ。
 自分の「強さ」を強引に押し出すのではなく、相手の得意技を受けて受けて、全て受け切ってさらに「その上」を行くスタイル。時に王者らしからぬ「危なっかしさ」で観客を引き込み、最後の最後で逆転勝利。そして、エアギターと「愛してま〜す!」で会場をハッピーにする。その陽性のキャラとナルシストぶりが拒絶された時期を乗り越えて、今やその明るさと全力ファイトとリング内外での「振り切った感」でファンの絶大な支持を得ている。

 8月1日からいよいよ真夏の祭典、G1クライマックスが開幕する。今年は福岡から始まり最終日の8.14東京・両国国技館まで、14日間で全10大会という過酷なサバイバルロードが待つ。
 G1制覇に向けて王者・棚橋弘至は今、何を思うのか。新日本プロレス道場を訪ねると、そこにはコシティで「エアギター」ポーズを決めたり、ヤングライオンに「変顔」をさせてブログ用の写メ撮影に余念のない棚橋の姿が……。

冷ややかな反応でも「鉄の心」でやり続ける

「鉄の心」を持ってやり続けたパフォーマンスはどの会場でも大盛り上がり。「ようやく勝ち得たファンの声援は僕の『財産』」と棚橋 【スポーツナビ】

――まずIWGP王座防衛、おめでとうございます。北海道シリーズでは試合とプロモーションと連日大活躍でしたね。

 何か「活躍するなよ」っていう方が無理なんですよねぇ。自然とすべてのお客さんの視線とカメラが俺の方を向いちゃってるんですよ、フフフ。

――プロレス記者に聞くと、棚橋さんの「自分大好き」な感じは昔から一貫してるそうですけど(笑)ここ1、2年でファンがそれを受け入れたと。

 ファンの人が好きになってくれたなっていうのは肌で感じてました(笑)。新日本に入門して、山本小鉄さんの教えの中で「3年後を見据えて練習しろよ」という言葉があるんですよ。今の練習はすぐには生きないかもしれないけど、いつか役に立つからって。結構、東京で名前が売れてきても地方ではまだまだ知られてなかったり、自分の思ってることと会場の反応に「時差」があってそれに負ける選手が多いんですよ。「この技は東京なら反応いいのに」とか「俺はまだ人気ないのか?」とか。でも、そこは「鉄の心」ですよ。

――鉄の心!

 どの会場でも常に最高のパフォーマンスをすることを心がけて、それを続けてきて、まあ「辛い時期」も多少はありましたけど(苦笑)ようやく、ようやく勝ち得たファンの声援は僕の「財産」ですよ。

――いい話ですね。

 ありがとうございます。だから若手たちも今すぐに結果は出ないかもしれないですけど、頑張ってやり続けてほしいんですよね。ファンは「あの頃はああいう試合してたけど、今はこんないい選手になった」とか喋るのが好きなんですよ。僕もファンだったのでそういうことを喋りたかったし。

勝利後恒例のエアギターは「仮面ライダー響鬼」をリンクさせる。もしかしたら、『エアドラム』だった可能性も 【スポーツナビ】

――棚橋さんも「エアギター」をやり続けた結果、ついに7月シリーズのパンフレットの表紙が「ギターを抱えた棚橋弘至」に。

 最近多い質問は「ホントにギター弾けるんですか?」なんです(笑)。こんだけ「ギター推し」だと無理もないかなと思うんですけど、そこはいつも濁してます(笑)。アコースティックギターはちょっと弾けるんですけど、最近は試合とプロモーションで本当に忙しくてギターの練習をする時間もなくて(苦笑)。

――そもそも「エアギター」じゃなくて「仮面ライダー響鬼」の「雷電激震」?

 雷電激震、雷電斬震。仮面ライダーが大好きで「響鬼」に「ギターの奏でる音楽が必殺技」というのがあるんです。でも本当にやり始めたきっかけがあって、それはどの会場でも最後にお客さんに「棚橋コール」を強要してたんですね。

――強要(笑)。

 自分で「た〜なはし! た〜なはし!」って叫んで、お客さんもコールと手拍子をしないといけなくなるんですけど(笑)、そのうち俺がこれ(頭の上で大きく手拍子する動作)だけだと何か物足りないなと思い出して、自然にこう(ギターを「ジャ〜ン」と弾く動作)なったんですよ。そうしたら「な〜にやってんだ!」というとっても冷ややかなリアクションが返ってきたんで「これ、いいぞ」と思って(笑)。

――冷ややかなリアクションに「いいぞ」ですか(笑)。

 それ以来、入場からギターを弾くポーズをやるようになって、だんだんエスカレートしていったわけです(笑)。それである時「そういえば、仮面ライダー響鬼でギター弾いてたな!」って仮面ライダー好きの僕の中でシンクロして、それからですね。

――なるほど。

 その時にこうアクションしてたら(スティックでシンバルを叩く仕草)「エアドラム」になってたわけですよ(笑)。それだと地味ですよね。そこから和太鼓になってた危険性もあるし(笑)。

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著者プロフィール

94年から週刊の情報誌でスポーツページを編集。野球、サッカー、NBA、テニス、F-1など様々な競技や選手を取材。96年からフリーに。99~02年「ゴング格闘技」編集ライター。現在は格闘技、お笑い、教育、健康、舞台・テレビ、政治・時事などを幅広く取材・執筆中。

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