真夏の祭典、G1制覇を目指し――=新日本プロレス・棚橋弘至インタビュー
プロレス界には「飛び抜けた存在」が必要
棚橋ブログ「棚橋弘至のHIGH―FLY」では、ヤングライオンの選手に変顔させたりと、楽しい記事をアップ。 【スポーツナビ】
フフフ、ありがとうございます。
――ご自身のことは「逸」と。
逸材の「逸」です(笑)。僕の「100年に1人の逸材」って、これも最初はホント冷ややかな反応でしたよ(笑)。
――そのコピー、自分で考えたそうですね。
はい、新日本プロレス史上初の自分発信です(笑)。あれ、いつだったかな〜。2008年か2009年の東京ドーム会見で、ドームの横のエリアでやった時に初めて言いましたね。「100年に1人の逸材、棚橋です!」って言ったら場内がシーーンと水を打ったかのように静まりかえり(笑)そこに隣のジェットコースターの「ゴ〜」って(笑)。
――物凄いスベり方(笑)。
でも、それでも言い続けて定着してきたと思うんですけど、ブログに「逸材」と書くのはちょっとイヤらしいかなって(笑)。自分では言いたいけど、ちょっと恥ずかしそうにしてるニュアンス的なものですね。
――そういうニュアンスを計算して出すところがヤらしいですね(笑)。
ハハハ。ブログってみんなが簡単に見れるし、でも告知ばっかりだと面白くないし、いいツールですよ。今は若手がなかなかテレビに出る機会もないし、ブログで顔と名前を知って貰って、MVPとか素晴らしい選手のことももっと知って貰って。
――それで高橋広夢選手たちヤングライオンに「変顔」させてるわけですか(笑)。
ハハハハ、俺は全然汚れないところにいるっていう(笑)。自分は安全圏から絶対に出ないですから広夢に変顔させて、そこのサジ加減も完璧です(笑)。楽しいことがとにかく好きなんですよ。ブログも楽しんでやってるし、それを見てファンの人にも楽しんでほしいし。
昨年のG1では決勝に進んだものの『外敵』小島聡に敗れ苦渋を喫した。IWGP王者として迎える10度目の大会は「プレッシャーはです」と話すが、果たして…… 【t.SAKUMA】
そうですね。今年10年連続10回目の出場ですけど1回しか優勝してないですし、今年はチャンピオンとして臨むこともプレッシャーですし。負けられないですからね。負けたら「チャンピオンが何やってんだ」とブーイングが来ますし。天山選手とか蝶野選手とか「G1に強い」というイメージを確立してますけど、逆に中邑が一度も取ってなかったりするんですよね。G1は、その時々の「旬」の選手がワっと行くんですよ。俺ならもう1ランク上に行けるし、若手なら一気に「飛び級」が出来るチャンス。G1は「スター」が生まれる大会なんですよ。
――なるほど。
みんながスターになりたい、みんなが一番になりたい。当然のことですけど、それだと「みんな上がって平均点が高い」だけです。だけど、今のプロレス界に求められているのは「飛び抜けた存在」なんですよ。「馬場・猪木」みたいな存在、道行く人の誰もが気づくような人なんです。
プロレスが他のスポーツと違うのは「段階」が必要なんですよ。パッと行って、パッと見れるものでもないので、どんなきっかけでもいいんです。このスポナビさんのインタビューでも、雑誌でもラジオでも何でもいいので、まず「プロレス」に興味を持って貰って、そこからテレビを見たり、実際に会場に来て応援して貰ったり。結構「先入観」で固まっちゃって、見る前に止まっちゃってる人がいるんで、そういう人もプロレスに目を向けるような「きっかけ」が大事なんです。そのためには「夢の存在」が必要なんです。
――なるほど。
一人いればいいと思うんです。ゴルフの石川遼君みたいな「ジャンルを引っ張る人間」ですよね。
――それはつまり……。
俺だったんですよね〜(笑)。新日本に入団してから「誰かいるかな〜」と思って周りを見たら俺しかいなかったんです(笑)。でも、最近はその辺の責任感が出てきて、全体を見て言っちゃうんで発言がチャラくなくなってきちゃったんですよね(苦笑)。昔は「俺さえモテればいい」と思って、もっとチャラいことをいろいろと言ってたんですけど(笑)。