早稲田大学競走部 工藤、山口竣らの好走で往路3位 「強い早稲田」復活への狼煙が上がる

チーム・協会
第101回東京箱根間往復大学駅伝競走往路 1月2日 東京・読売本社前~神奈川・芦ノ湖
【早稲田スポーツ新聞会】記事 林田怜空、写真 植村皓大、長屋咲希、辻岡真波、熊谷桃花、近藤翔太

 今季、「3大駅伝総合3位以内」を掲げて駅伝シーズンに臨んだ早大。しかし、出雲全日本大学選抜駅伝(出雲)では6位、全日本大学駅伝対校選手権(全日本)は5位に終わり、目標達成はならず。国学院大、駒澤大、青学大の「3強」の後塵を拝し続けた早大は、駅伝シーズン最終戦となる東京箱根間往復大学駅伝(箱根)での打倒3強を目指し、217・1キロに及ぶ箱根路に挑んだ。この日の当日エントリー変更で3区に山口竣平(スポ1=長野・佐久長聖)を起用した以外は、エントリー変更はなく往路に臨んだ早大。1区の間瀬田純平(スポ3=佐賀・鳥栖工)が区間4位、3区の山口竣が区間3位、工藤慎作(スポ2=千葉・八千代松陰)が区間2位の好走を見せ、往路3位でフィニッシュ。「強い早稲田」復活へ、一歩前進した。往路フィニッシュタイムは、従来の早大記録を3分以上上回る、5時間22分30秒だった。

 3年連続で1区に起用されたのは、全日本でも1区に起用された間瀬田。1区は序盤から吉居駿恭(中大3年)が飛び出すレース展開となったものの、他大学は吉居を追うことは無く、間瀬田も集団の中盤付近でレースを進めた。六郷橋付近でも誰一人仕掛けずに集団のままラスト2キロに突入すると、間瀬田は後方から徐々にポジションを上げ、スパート合戦に参戦。最終的には区間4位と、今季の不調を払しょくする好走を見せた。

1区を走る間瀬田 【早稲田スポーツ新聞会】

 間瀬田の好走を受けて勢いに乗りたい2区。起用されたのは、エース・山口智規(スポ3=福島・学法石川)。レース前に「65分台を出す」と強気に宣言した山口智は、宣言通りに入りの5キロを13分台というハイペースで入り、駒澤大、日体大をかわして2位に浮上する。しかし、12キロ付近で駒澤大の篠原倖太朗(駒澤大4年)に逆転を許すと、後続の集団につく事も出来ずに11位まで順位を下げてしまう。1時間7分2秒と、タイム自体は悪くはなかったものの、ハイペースで進んだ今年の2区にあって、区間順位は12位に沈む結果に。早大のエースとしては物足りない走りとなった山口智。2度目の2区は悔しい結果となった。

2区を走る山口智 【早稲田スポーツ新聞会】

 続く3区に起用されたのは、1年生ながら今季の3大駅伝全てに出走し、主力としての地位を築いた山口竣。序盤は抑え目のペースでレースを進め、徐々にペースを上げた山口竣は、13キロ付近で、タスキを受けた時点で1分近く差を付けられていた駒澤大との差を10秒前後にまで詰めると、17キロ付近では国学院大の山本歩夢(国学院大4年)をかわし、駒澤大に迫る圧巻の走りを見せる。中継所では駒澤大に1秒先着されたものの、5位でタスキをつないだ山口竣。初の箱根路は、1時間1分15秒で早大記録を更新し区間3位と、上々のデビューとなった。

3区を走る山口竣 【早稲田スポーツ新聞会】

 好走した山口竣からタスキを受けたのは、全日本で区間5位の好走を見せた長屋匡起(スポ2=長野・佐久長聖)。1秒差で先行していた桑田駿介(駒澤大1年)や、20秒後ろでタスキを受けていた青木瑠郁(国学院大3年)に先行を許したものの、粘りの走りを見せて区間8位にまとめ、6位で5区の工藤にタスキを渡した。

4区を走る長屋 【早稲田スポーツ新聞会】

 前回大会に引き続き5区を任された、山の名探偵・工藤は、約30秒差で国学院大、駒澤大を追い、走り出した。登りに入ると、工藤は一気に前方とのタイム差を詰め始める。大平台手前で国学院大をかわすと、勢いそのままに11キロ手前では駒澤大の山川拓馬(駒澤大3年)を捉え、更に小涌園前では、小田原中継所では1分半以上の差を付けられていた創価大との差を20秒差にまで詰めることに成功。15キロ付近で創価大をかわした工藤は、その後もしっかりとした足取りで前方との差を詰め、1時間9分31秒の歴代3位の好記録をマークした。区間2位の好走で、チームを3位へと押し上げ、「打倒3強」という難題解決への先鞭(せんべん)をつけた工藤。今季の三大駅伝全てで結果を残した工藤の、来年の活躍に期待したい。

5区を走る工藤 【早稲田スポーツ新聞会】

 「総合3位以内」を掲げ、箱根に挑んだ早大。往路終了時点では目標としていた3位につけており、打倒3強が現実味を帯びるだけでなく、87回大会以来の総合優勝を狙うことができる位置につけている。復路のメンバーには、復活の兆しを見せつつある石塚陽士(教4=東京・早実)や、経験豊富な伊福陽太(政経4=京都・洛南)、菅野雄太(教4=埼玉・西武学園文理)ら4年生陣が名を連ね、補欠にも伊藤大志駅伝主将(スポ4=長野・佐久長聖)や、上尾ハーフで結果を残した宮岡凜太(商3=神奈川・鎌倉学園)ら、実力者が控えている。「強い早稲田」復活へ。勝負の復路は、明日午前8時2分に号砲が鳴る。

往路結果

【早稲田スポーツ新聞会】

コメント

1区 間瀬田純平(スポ3=佐賀・鳥栖工)

――今日のコンディションはいかがでしたか

 調子は良い感じでした。

――レースプランがあれば教えてください

 集団で走ってラストまで足をためて、少しでも前の位置でつなぐプランを考えていました。

――出走選手が決まって、注意していた選手はいましたか

 3強の大学と中大、創価大、城西大の選手達をマークしていました。

――序盤で中大の吉居選手が飛び出しましたが、どのように見ていましたか

 集団で走ることに集中していたので、あまり考えませんでした。

――集団は比較的スローペースで進みましたが、振り返っていかがですか

 ラスト勝負になれば良い位置で渡せる自信があったので、スローの展開になってよかったです。

――ラスト2キロから駒大、日体大に続いて前に出ましたが、ラストの走りを振り返っていかがですか

 動きの切り替え自体はうまくいきましたが、最後まで持ちませんでした。そこが課題かなと思います。

――区間順位、先頭とのタイム差は振り返っていかがですか

 想定通りで走ることができてホッとしています。今シーズン、レースで外すことがほとんどだったので、スタート前は不安もありましたが、良いかたちでたすきをつなげて良かったです。

――これから走る選手に向けて一言お願いします

 ここまで良い流れで来ていると思います。3位以内も十分狙えると思うので、気負わず走ってほしいです。

2区 山口智規(スポ3=福島・学法石川)

――本日のコンディションはいかがでしたか

 順調に準備できていたので、自信を持ってスタートラインに立つことができました。

――花田勝彦駅伝監督(平6人卒=滋賀・彦根東)からはどのような指示がありましたか

 昨年の経験から、落ち着いていこうと言われていました。

――昨年に引き続き2度目の2区出走でしたが、レースプランなどは決めていましたか

 15キロまでと、残り8キロと分けて考えていました。

――中大を追いながら、他大学の有力選手にも追われる難しい位置でタスキを受け取られました

 篠原さん(倖太朗、駒大)に着いて行くことが一番なレース展開だったと思います。しかし、権太坂と戸塚のアップダウンでペースを上げられるのが嫌だったので、貯金を作ろうと思っていました。結果的に前半10秒早く入ったことが約1分負けてしまったことにつながりました。

――時折、後ろを振り返りながら走っていました

 15キロで追いつかれる想定でプランを考えていたので、予想より早く追いつかれてしまった、と思っていました。

――レース全体の振り返りをお願いします

 2度目のエース区間を走らせていただきましたが、結果的にチームに助けてもらった駅伝になってしまいました。幸いにも、明日まだ応援をすることができ、チームとして戦うことができるので、最後までONE早稲田で頑張っていきたいと思います。

――明日の復路出走メンバーへメッセージをお願いします

 全力で応援します。全力で楽しんで頑張ってください!

3区 山口竣平(スポ1=長野・佐久長聖)

――今日のコンディションはいかがでしたか

 調子も悪くなくいい感じには仕上がっていました。

――3区に決まったのはいつでしたか

 結構前から決まっていました。

――2区までの走りをどう見ていましたか

 1区の間瀬田さんが間瀬ダッシュを決めてくれて、2区の智規さんも粘ってくれたので、好走するしかないと思っていました

――攻めの走りが印象的でしたが、レースプランはどのように考えていましたか

 前半は抑えて浜須賀の交差点からペースアップを意識していました。

――他大学の選手を追い抜いていった際の気持ちを教えてください

 久しぶりにごぼう抜きの駅伝だったので楽しかったです。

――佐久長聖リレーとなりましたが、タスキを渡す際に何か声掛けをしましたか

 忘れました(笑)。たしか、あとは頼みましたと言ったと思います。

――早稲田記録を更新されましたが、狙っていましたか

 全く狙っていませんでした。そもそも早稲田記録を知りませんでした(笑)。

――ご自身の区間順位とタイムをどのように評価しますか

 設定はクリアできたものの、60分台まであと15秒だったので欲は出ますよね(笑)。最低限の評価はできると思います。

――復路の選手に向けてメッセージをお願いします

 復路も強いです。(出走する選手は)4年生が多いです。(往路の)流れに乗ってほしいです。じゃあ大手町で。

4区 長屋匡起(スポ2=長野・佐久長聖)

――5位で山口竣選手からタスキが渡されましたがどのような心境でスタートしましたか

 駒大さんがすぐそこにいたのでうまく利用出来ればと考えていました。

――コンディションはいかがでしたか

 練習も積めていたので自信はありました。

――レースプランを教えてください

 駒大の様子を伺いながらうまく走ろうと思っていました。

――序盤で国学院大の青木瑠郁選手の先行を許しましたが想定通りでしたか

 青木選手に対しても様子を見ながら走ろうと思っていました。

――全体としてご自身の走りを振り返っていかがですか

 全体のタイムや天候を考えるともう少し突っ込んでも良かったと思います。往路を走るにあたって自身のスピードをより磨きたいと思いました。

――早稲田記録を更新されましたがタイムとしてはどう評価されますか

 タイムも目標には届かなかったので悔しさがあります。

――復路を走る選手にメッセージをお願いします

 総合3位に向けてこのまま良い流れで頑張りましょう!

5区 工藤慎作(スポ2=千葉・八千代松陰)

――本日のレースを振り返っていかがですか

 想定よりも大きくタイムを更新し、順位を上げることもでき、100点のレースでした。

――本日のコンディションはいかがでしたか

 かなり良い状態でした。

――目標としていたタイムはどれほどでしょうか

 70分前後を目標としていました。

――4区終了時では駒大や創価大が前にいましたが、タスキを受けとった時はどのように考えていましたか

 全員強いランナーなので、タスキを受け取った時点では追いつけないことを前提として考えていました。

――昨年は小涌園から芦ノ湯の走りで苦しみました。今回はいかがでしたか

 今回はこの定点間でアドバンテージ得ることが出来たので、良かったです。頂上付近での失速が無ければ区間新記録を出せたかもしれません。

――「山の名探偵」はXでトレンド1位となりましたがいかがですか

 昨年はトレンド2位だったこともあり意識していました。うれしい限りです。「箱根駅伝」というワードよりも上にくるとは思いませんでした。

――復路のメンバーに向けて一言お願いします

 シード争いは考えにくいので、攻めの走りをしてさらに上を目指して欲しいです。
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著者プロフィール

「エンジの誇りよ、加速しろ。」 1897年の「早稲田大学体育部」発足から2022年で125年。スポーツを好み、運動を奨励した創設者・大隈重信が唱えた「人生125歳説」にちなみ、早稲田大学は次の125年を「早稲田スポーツ新世紀」として位置づけ、BEYOND125プロジェクトをスタートさせました。 ステークホルダーの喜び(バリュー)を最大化するため、学内外の一体感を醸成し、「早稲田スポーツ」の基盤を強化して、大学スポーツの新たなモデルを作っていきます。

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