アイメイトって知っていますか?「視覚障害について学ぶアイメイトの体験歩行」

川崎フロンターレ
チーム・協会

【©KAWASAKI FRONTALE】

11月1日(金)の明治安田J1リーグ第35節鹿島戦、犬や猫と直接触れ合える場の提供、保護犬・猫への取り組みの周知、盲導犬についての啓発を目的としたイベント「ワンダーニャンド」が開催された。そのイベント内で公益財団法人アイメイト協会(以下:アイメイト協会)の協力で行われた視覚障害やアイメイト(盲導犬)についての啓発ブース「視覚障害について学ぶアイメイトの体験歩行」についてレポートする。

アイメイトとは

可愛らしいアイメイト 【© KAWASAKI FRONTALE】

盲導犬は、目の不自由な方が安全に歩けるようにサポートする犬で、「視覚障害者とともに歩くパートナー」だと、ほとんどの人が認識しているが、前述した “アイメイト”は聞き馴染みがないという方も多いだろう。日本で初めて盲導犬を育てて67周年を迎えたアイメイト協会独自の呼び方であり、この言葉にはある思いが込められている。

「アイはI(私)」

「アイは愛(LOVE)」

「アイはEYE(目)」

アイメイトは「私の愛する目の仲間」

盲導犬という呼び方では「利口な犬が目の不自由な方を連れて歩いている」と受け取られがちだが、実際は犬が自発的に仕事をするのではない。もちろん犬もアイメイトとなるため4か月の訓練をするが、視覚障害者の方も協会に泊まり込む4週間の歩行指導合宿で寝食をともに過ごし、アイメイトとの歩き方から健康管理まで多くのことを修得して初めてペアとして卒業できる。また歩行指導中、アイメイトとの絆や信頼関係を築くのも欠かせない要素。人と犬の協働作業が安全でスピーディーな歩行を実現するように、使用者とアイメイトは対等なパートナーでなければならない。だからこそアイメイト協会は上記の大切な4つの意味を掲げている。

体験歩行で感じたこと

体験歩行した際の様子 【© KAWASAKI FRONTALE】

そんなアイメイトとの体験歩行のブースには数多くのサポーターが集まった。アイマスクを着用して視覚障害者と同じ真っ暗な状態でアイメイトに身を委ねて歩くため参加者は少しだけ恐怖感もあったという。

筆者も体験をしてみたが、今まで見えていた世界が真っ暗になるのだから怖さもあった。それもそのはず。何も見えない暗闇で歩くのは日常でも夜中にベッドから起き上がってお手洗いに行くときぐらい。自宅だからどこにドアがあるのか分かるから壁にぶつかることもないが、外だとそうもいかない。

今回はカラーコーンで作られた短いコースで障害物もないから怪我をする危険性はないが、普段の生活に置き換えると段差や信号、電車に乗るのだから危険なものばかり。視覚障害者の方は毎日がこうなのか…。そう考えると恐怖感も一気に増した。でも歩き始めたら不思議なことに安心感しかなかった。

アイメイトが自分の歩幅に合わせるかのように誘導してくれてカーブがあってもスムーズに歩行できるように調整してくれる。一緒に歩いた時間はほんの数分だったがアイメイトが自分の目になってくれているのを実感した。歩行指導部の職員・大塚美樹さんは言う。

「体験してくださった皆さんのなかには『アイメイトの歩くスピードが速く感じた』『思っていたよりも怖かった』と話す人も多くいます。そうするとアイメイトを使っている人が、どういう思いで歩いているかを体感することができます。また、この体験を通してアイメイトの見方も変わってもらえたら嬉しいです。もし街中で目が不自由な方やアイメイトを連れている方が困っていたら声をかけて必要なお手伝いをしてほしいなと思っています。そうすると優しさの連鎖が起きると思うんです。どちらか一方が優しさを見せると相手も優しくなり、その周りにも優しさを見せてくれる人が出てくる。そうなれば嬉しいですね」

フロンターレを通して知ってもらいたい

多くのサポーターが歩行体験に参加した 【© KAWASAKI FRONTALE】

また広報の溝井祐樹さんはフロンターレのホームゲームイベントで開催できるのはとても意義のあることだと話していた。

「最初に声をかけていただいたときはスケジュール的に難しい時期だったのですが、私たちは何とかして合わせますと返事をしました。なぜならフロンターレさんは様々な地域貢献活動をしてきている実績がありますし、とてもチャレンジ精神にあふれている印象があります。加えて私たちアイメイト協会は日本で初めて盲導犬を育成した協会なのでフロンターレさんと同じようにフロンティア精神があるというのも親和性を感じていました。こうやってコラボできたおかげでホームページを見に来てくれる人も増えましたし、アイメイトという言葉の意味を理解してくれる方が多くなると思います。アイメイトの可愛さも含めて色んなことに興味を示してくれて有り難いです」

フロンターレを通してアイメイトや視覚障害のことを知り、街中で困っている視覚障害者の方がいれば手を差し伸べる。そんな光景が当たり前のようになれば嬉しい限りだ。

(取材:高澤真輝)
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著者プロフィール

神奈川県川崎市をホームタウンとし、1997年にJリーグ加盟を目指してプロ化。J1での年間2位3回、カップ戦での準優勝5回など、あと一歩のところでタイトルを逃し続けてきたことから「シルバーコレクター」と呼ばれることもあったが、クラブ創設21年目となる2017年に明治安田生命J1リーグ初優勝を果たすと、2023年までに7つのタイトルを獲得。ピッチ外でのホームタウン活動にも力を入れており、Jリーグ観戦者調査では10年連続(2010-2019)で地域貢献度No.1の評価を受けている。

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