〔Fancl Classic/2R〕「師匠は中嶋常幸さん」火曜日の予選会からチャンスを掴んだ男が、60歳以上の『グランドシニア賞』に王手

チーム・協会

ーーー 第2ラウンド ーーー

【©PGA】

「ファンケルクラシック」の賞金総額は6000万円で優勝賞金は1400万円。大会の順位による賞金配分とは別に、60歳以上の3位までに『キリングランドシニア特別賞』が設けられている(1位150万円、2位100万円、3位50万円)。第2ラウンドが終了した時点では、チューズデートーナメントから本戦への切符を勝ち取った64歳の加藤仁が、トータル5アンダー・5位タイで60歳以上のトップに立った。

チューズデートーナメントとは大会同週の火曜日に行われる予選会のようなもの。レギュラーツアーでは月曜日に行われるため、マンデートーナメントと呼ばれている。加藤はシニアプロ104名が参加したチューズデートーナメントで、「68」をマークして7枠しかない本戦切符を初めて勝ち獲った。

「(シニアツアーの)QTランキングで入ったことはあるんですけど、毎年必ず挑戦しているチューズデートーナメントでは一度も通ったことがなかった。もう65歳になるし、これで最後にしようかなと思っていたんですけど、通ったのでまだできるなと思っています」。

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その言葉の通り、2日目までは順調に来ている。ただ加藤は最終日に不安がある。シニアツアーに初参戦した2010年は、最終戦の「HANDA CUP シニアマスターズ」で最終日に「74」を叩いて、37位タイに終わり、賞金ランキング31位で同30位までのシード権を逃した。その試合でシニアデビューした東聡が2位タイに入り、たった1試合で「ズドーンと」加藤を抜き去って賞金ランキング19位に入っている。

また、今年3月に行われた今季のシニアツアー出場権を争う「PGAシニアツアー予選会・最終予選」では、初日、2日目と「72」を重ねて出場圏内にいたが、最終日に「77」と崩れ、トータル5アンダーで出場圏外のQTランキング52位に終わった。「最終日に弱い。メンタル弱いのを自覚しています」。過去の失敗から学び、「体力的なものもあるので、今回は練習を早めに切り上げています」と、体力を温存して明日の最終日に備える。

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今大会は2週前の「日本プロゴルフシニア選手権」に続いて今季2試合目。「試合がないからほぼレッスンですね。自宅のある成田周辺のコースでラウンドレッスンをしたり、たまに東京周辺の練習場で教えたりしています」。現在はレッスン活動が生活の中心にある。

そんな加藤だが、今から35年前には千葉県成田市にある中嶋常幸が建てた若手養成所、『錬成館』で腕を磨いていた。「レギュラーツアーに出ているときに、たまたま中嶋さんにロッカーでお会いして、冬合宿に誘われたんです」。合宿に参加したのをきっかけに錬成館所属となり、「5~6年いました」。プロテストに合格したときは、会場の裾野カンツリー倶楽部にほど近い静岡県の東名カントリークラブの研修生で、登録上は東名CCのヘッドプロだった松尾茂年が師匠となるが、「実質的には中嶋さんが師匠です」と語る。

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今大会には中嶋も出場していて、「近くに住んでいるのでひょっこりお会いすることもありますけど、試合会場では本当に久しぶりにお会いしました。中嶋さんも僕も試合に出ていなかったですから」と、再会を喜んだ。中嶋は2010年の交通事故で右ヒザに大怪我を負って以来、ヒザだけでなく股関節、肩、ヒジの痛みに悩まされ、ここ5年は年間3~5試合程度の出場にとどまっている。

「歳は5つしか離れていないんですけど、雲の上の存在ですね。技術的には遠すぎて参考になるというレベルではない。『勝ちたい』という貪欲さがすごくて、いくつになってもトレーニングやリハビリで頑張っている姿をずっと見てきました。僕はもう65歳になりますけど、そんなに試合に出ていないので傷んでない。まだまだ頑張れる」。

中嶋の戦う姿をずっとそばで見てきて、同じ試合でプレーしているのを思えば、歳を理由に弱気は吐けない。明日の最終日は、これまでの負の流れを払拭したいところだ。「今までの自分のパターンを忘れて、崩れるだろうとか、頑張ろうとかもなく、目の前の一打に集中してできたらいい。それだけです」。1つでも上のスコア、1つでも上の順位を目指し“貪欲に”戦う覚悟を決めた。
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著者プロフィール

PGAはゴルフの正しい普及と発展を願い、誰にでも愛される「国民のスポーツ」「生涯スポーツ」となるため、日本ゴルフ界のリーダーとして活動しています。PGAの使命は、トーナメントプレーヤーの育成、ゴルフ大会の開催・運営に加え、ゴルフの正しい普及と発展を具現化するために、ティーチングプロ資格を付与したゴルフ指導者を育成しています。さらにPGAでは幅広い分野で積極的な取り組みを行い、地域に密着した社会貢献活動、ジュニアゴルファーの育成など多方面にわたる取り組みを日々歩み続けています。

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