【大宮アルディージャ】[聞きたい放題] 泉澤仁×石川俊輝 同学年対談
【©︎1998 N.O.ARDIJA】
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──石川選手は6月22日のFC琉球戦で、Jリーグ通算250試合出場を達成しました。泉澤選手は7月6日のアスルクラロ沼津戦で達成しました。
泉澤「何か特別な感情がわき上がった、ということはなかったですね。自分の中では遅かったかな、という感じで。プロ1年目、2年目、3年目と試合に出ていたので」
石川「プロ入り当初から考えても、ここ数年はケガとかレンタル移籍とかがあったことを考えても、ちょっと現実味を持ちにくかった。行けたらうれしいかな、という数字でした」
──チームは好調を維持したまま中断期間を迎えました。
石川「練習の中から、勝負に対する貪欲さ、勝つためにどういうプレーをしたらいいのか、というのが出ていると思います」
泉澤「練習中の厳しさとかは、ホントにあると思う」
石川「結果が出ているからといって、もちろん油断をしちゃいけません。『これでいいだろう』とか『これぐらいでいいだろう』という気持ちが芽生えたら、その瞬間に崩れてしまいます」
泉澤「最後のところで体を張るとか、決め切るとかいうところは、J3リーグの中で抜けてるのかなと思います。でも、クラブのことを考えると、もっともっと内容にこだわっていかなきゃいけない」
石川「結果はともかく、ラクな試合は一つもないよね。周りの人たちは『大宮が勝つでしょう』と思うかもしれないけれど、どのチームも『大宮を食ってやろう』というモチベーションで挑んでくるのは、すごく感じるし。相手の勢いを受けるんじゃなくて、自分たちから勢い良く入っていこう、とみんなでいつも話しています」
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──お二人とも、J2からJ1へ昇格した経験があります。
泉澤「僕は2015年のJ2で『J2優勝でのJ1昇格』を経験したけど、第10節ぐらいまではちょっと苦戦した印象がありました。けど、そこからは『勝てる』っていう雰囲気にチームが包まれていきました。メンバーもそろっていたし、J2を戦いながらJ1へ復帰して上へ行くぞ、という感じで戦術からこだわっていました」
石川「僕は2014年と2017年にJ2からJ1への昇格を経験しました。当時は試合に出ている、出ていないに関係なく、選手全員がうまくなりたい、(チームとして)強くなりたいという向上心にあふれていました」
泉澤「2015年の大宮も、練習から厳しくやっていました。だから、自信を持って試合に臨むことができて、試合中にプレッシャーを感じることがなかった」
石川「湘南で経験した雰囲気と、今年の大宮が似てきています。日々の練習から充実していて、一日、一日がすごく濃い。それは、監督の徹さんが作り出す雰囲気でもあるし、(濱田)水輝くんや(杉本)健勇が練習から手を抜かずにやる、ということを示してくれている。それは本当に大きいと思う。僕自身も湘南で、坪井(慶介)さんとか梅崎(司)さんがホントに手を抜かずにやっている姿勢を見て」
泉澤「自分が手を抜くわけにはいかない、ってなる」
石川「そう」
泉澤「自分が若いときは、そういうことは感じなかったな。経験のある選手たちは、うまく調整しているなあと思って見ていた(笑)。今こうして自分が年齢的に上になったけど、若い選手にはホントに伸び伸びやってくれたらと思ってる」
石川「そういうふうに言ってるけど、練習が終わったあとに若い選手とジョギングしたりしているよね。面倒見のいい一面もあるよ」
泉澤「いや、それも意識してやっていることじゃない。プレーの中の要求はするけどね。俊輝がキャプテンとしてチームをまとめてくれているから。キク(菊地光将)さんに似ているなって思う」
石川「えっ?」
泉澤「普段はどちらかと言えば静かなんだけど、サッカーになったらチームを代表して話したり、締めるところは締める。キクさんに似てるなって思いながら見てる」
石川「それ、一番うれしい言葉(笑)」
──残り15試合、ここからがいよいよ重要な局面になっていきます。昇格という目標をつかみ取るために、何が大事になりますか?
泉澤「難しい場面とか試合があるかもしれないですけど、やっぱり結果にこだわるということが一番大事。これまでやってきたことを、そのまま出していく。何かを変える必要はない。J2に戻ることだけを考えています」
石川「シーズンが始まったときからそうですけど、目の前の1試合に集中する。チームとしても、個人としても、アグレッシブにすべてを出し切る。選手、スタッフだけじゃなくファン・サポーターの皆さんも含めて一つになって、同じ方向を見て戦い続ける。先のことを意識し過ぎないで、目の前の1試合にどれだけ出し切れるかだと思います」
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──ピッチ外のことも伺います。連日の猛暑ですが、コンディションの維持のために気をつけていることはありますか?
泉澤「もう、水分補給。きちんと水分を摂って、あとは当たり前のことをやるだけです。俊輝はもっと意識が高いでしょ」
石川「いや、そんなことはない。試合の前日に、経口補水系の飲み物を意識的に飲むぐらいかなあ。食べたいものも食べる。意識が高い選手は節制したりするけど、僕は食べたいものを食べる」
泉澤「そもそも、夏は好きなほう。相手のプレッシャーが緩くなるから、夏のナイトゲームはいい」
石川「そこは完全にプレースタイルの差が出るなあ。自分はプレッシャーに行きたいタイプだから、シーズン終盤の11月の15時とか16時キックオフの試合が一番いい。湘南でプレーしていた25歳ぐらいまでは、夏が好きだった。自分たちより相手のほうが走れなくなるとか、苦しそうな場面が多かったから。今はもう夏の試合は、あまり好きじゃないかな」
──石川選手は7月に33歳になりました。泉澤選手は12月に33歳になります。年齢を重ねてきて、自分の体が変わってきたと感じますか? 体のケアで気をつけていることはありますか?
泉澤「練習前後のケアは、常に入れるようにしています。2021年9月にアキレス腱断裂のケガをしてから、ケアを入れる回数は増えました」
石川「僕も去年のシーズンに肉離れをしてから、練習前後の準備とケアは変わりました。練習前の準備は、それまでよりも長くなった」
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──1991年生まれの同級生ですが、普段から一緒に居たり、良く話したりするのでしょうか。
石川「話はそんなにしないかも」
泉澤「そうだね」
石川「いてくれるだけで心強い」
泉澤「俊輝だけじゃなくて、誰かと話すっていうことがあまりないんですよね。練習前にやることが決まっていて、クラブハウスに着いたらシャワーを浴びて、ケアしてもらって、ストレッチとかして練習って感じ。無駄な時間があるのがイヤだから、誰かとゆっくり話す時間的余裕はない(苦笑)」
石川「僕も練習の前後に誰かとゆっくり話す、というのはあまりないかな。カサくん(笠原昂史)とはご飯に行くことが多いので、話をすることは多い」
──あまり話をする機会がないのでしたら、せっかくなのでお互いに聞きたいことを、ぜひ。
石川「あのドリブル(※止まった状態から急加速する通称“ゼロヒャク”)はいつから確立されたの? 仁はレイソルのジュニアユースのときから有名だったけど、いつからあのドリブルになったのかは聞いたことがないから。湘南にいたときに天皇杯で対戦したことがあって、試合前の分析の段階で一人じゃ無理だ、二人で対応しようってことになったんだよ」
泉澤「大学2年の春ごろかな。地元に帰って仲のいい友だちと、公園でサッカーをしたんだよね。そのときに『これ、いいじゃん』みたいな感じで。大学へ戻ってやってみたら『うん、いいな』って。そこからどんどんやっていった」
石川「もっと早くからだと思った(笑)」
泉澤「それからJリーグのクラブに練習参加とかして、そこでさらに自信をつけていった、という感じ。僕から聞きたいのは、練習が終わったあとは何をしている? ってこと」
石川「今は子どもが夏休みだから、暑さが少し和らいだ時間に、長男と次男を公園へ連れて行ってる。長男はサッカーをやっているから、ボールを蹴ったりもして、もう疲れ果てるまで走らせる。子どもたちが夜、早く寝られるように。体力が有り余っていると、なかなか寝てくれないから(苦笑)」
泉澤「僕も休みの日は、子どもを連れて出掛けるようにしてる」
──最後に、シーズン後半戦への思いを聞かせてください。
石川「去年のシーズンは苦しい思い、悔しい思いを、サポーターの皆さん、パートナーのみなさん、僕たちを支えてくださっている皆さんにさせてしまったので、今シーズンこそはそういった感情じゃなく、うれしい思い、楽しい思い、笑顔になる思いを、1試合でも多く共有していきたいです」
泉澤「俊輝が全部言ってくれました(笑)。一試合ずつ大事にして、J2へ戻るという目標を達成したいです」
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戸塚 啓(とつか けい)
1991年から1998年までサッカー専門誌の編集部に所属し、同年途中よりフリーライターとして活動。2002年から大宮アルディージャのオフィシャルライターを務める。取材規制のあった2011年の北朝鮮戦などを除き、1990年4月から日本代表の国際Aマッチの取材を続けている。
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