【大宮アルディージャ】[聞きたい放題] 村上 陽介×市原 吏音×浦上 仁騎 アカデミー出身CB鼎談

大宮アルディージャ
チーム・協会
選手やスタッフにピッチ内外に関わらず様々な質問をしていく本コーナー。今回は、大宮アルディージャの最終ラインを支える村上陽介選手、市原吏音選手、浦上仁騎選手のアカデミー出身CBトリオが登場! 前半戦の戦いからプライベートまで、ピッチ内外かかわらず幅広い話題で盛り上がりを見せていました。

聞き手=粕川哲男

【©︎1998 N.O.ARDIJA】

それぞれが感じる前半戦の戦いぶり

――19試合を終えて14勝4分1敗(7/2取材時点)。首位で折り返した前半戦を振り返っていただけますか。
市原「1敗してしまいましたけど、シーズン当初に思い描いていたとおりに運べたというか、勝点も理想どおり積むことができました。僕自身は正直、ここまで勝点を積み上げられるとは思っていなかったので驚きもありますけど、やり続ける中で手応えというか、自信を、チームとしても個人としてもつけることができたので、いい前半戦だったと思います」

村上「結果的に首位で勝点も積めていますが、J3というリーグを誰も下に見ることなく、謙虚に戦ってきたからこその成績だと思います。ただ、確かに勝点差はありますが紙一重の展開も多かったので、後半戦も厳しい戦いが続くと覚悟しています」

浦上「ラクな試合は一つもなくて、どの試合も結果的に勝ちに持っていけた部分があると感じています。(長澤)徹さんが言っていたとおり、勝点は1回箱にしまって、もう一回ゼロから後半戦に臨むつもりです」

――皆さん、どのような思いを持ってJ3リーグに臨んでいたのでしょうか?
浦上「昨年に味わった悔しさは、未だに消えていません。今も、勝って完全にハッピーな状態になるかと言ったら、そんなことはなくて、もっともっと上を目指していかないと、またやられるんじゃないかという恐怖心に似た感覚があります。なのでJ2昇格はもちろん、個人としてもチームとしてもJ2でも戦える力をつけて、その先のJ1も見据えて練習からやっていきたいという気持ちがあります。練習に関しては、カテゴリーに関係なく意識が高ければ高いほどいいという思いがあるので」

市原「昨年の最終節で聞いたブーイングは、初めての経験でした。自己中心的に考えると、あの経験は自分にとって意味のあることでしたが、クラブとしてJ3に落ちた事実から目を背けてはいけないと思うので、必ずJ2に戻すという強い気持ちがありました。僕自身、去年の半年間で人生が変わったというか……。今季を迎える前は選択肢もあって、かなり悩みましたが、結局は大宮でプレーしたい気持ちとJ3に落としてしまった責任感から、最低でもJ2に戻さないと人として良くないと思ったんです。育ててもらったクラブに感謝の気持ちも示さず離れるのは、自分としては絶対にあり得ない選択でした」

村上「僕はアカデミー出身ですけど4年間チームを離れていたので、去年の悔しさは正直分かりません。なので、プロ1年目の今季は、とにかく貪欲に、大学で培ってきたものをそのまま出してやろうという意気込みで臨んでいます」

――ここまでのチームの出来と個人の出来を、どう捉えていますか?
浦上「現状の勝点と出来は悪くないというか、むしろ出来過ぎかなという思いがあります。僕は(長野で)2年間J3を戦った経験があって、J3という戦場が実はめちゃくちゃ難しいというのを分かっていたので、今、この勝点でこの順位にいるということは、本当に選手全員、スタッフ全員、クラブ全体が頑張ってきた結果だと思います。個人としてはもっとやれることがあるし、やらなきゃいけないこともあると感じているので、後半戦は自分のストロングポイントを、もっと出していけたらと思います」

村上「チームとしては、いいものを積み上げられていると感じます。僕自身はストロングとウィークがはっきりしていて、課題は圧倒的にアタックの質なので、そこに関しては練習からもっと突き詰めていきたいし、セットプレーからゴールやゴールに絡むプレーを、もっと出していかないといけないと感じています」

市原「去年あれだけ失点したので、今年は失点数を減らしたいという思いがありました。そういった面で数字は嘘をつかないというか、自分たちの目に見える成果として、素直に評価していい部分だと思います。個人的には守るだけじゃなく点も取れる選手になりたいという思いがあって、前半戦で3点取れたのは大きいと思いますけど、もっと点の取れる選手になりたいし、大前提として失点を減らせる選手になるために、もっと細かいところ、詰められるところを詰めて、後半戦も成長しながら戦いたいと思っています」
印象に残っているあのシーン

――市原選手は複数のポジションを経験しました。
市原「SBとウイングバックは、ぶっつけ本番でした。あまりイメージできないままやっていましたが、周りがサポートしてくれたので……」

浦上「(小声で)ちょっと怪しかったよね」

市原「ギリギリやれていたので、自分としてはプラスになりました」

浦上「やれてたかな? 陽介、ちょっと怪しかったよな」

村上「(無言の頷き)」

市原「うるさいです(笑)。やれることをやればいいと言ってもらったので、できることをやろうという前向きな気持ちでピッチに立っていました」

――前半戦で覚えているプレー、ここにいる3選手の活躍でもいいですし、チームとしてやりたいことを表現できたシーンなどはありますか?
浦上「僕は、(第16節の)金沢戦での村上選手ですね」

【©︎1998 N.O.ARDIJA】

村上「(疑いの表情)」

浦上「いや本当に! ヘディングがめちゃくちゃ強くて。普段から強いんですけど、あの試合の村上選手は本当に空中で止まるくらい」

市原「アハハハ……」

浦上「他の守備の場面でも相手にバコーンと体を当てて、すごかった」

村上「調子よかったですね」

浦上「この前(第19節)の岩手戦もそう。最後、コーナー近くで思いっ切り相手止めたあとに『ウォー』って叫んだら、ファウルっていう(笑)」

村上「あれは恥ずかしかった」

市原「だよね(笑)」

浦上「どうしても点を取った人にスポットライトが当たって、僕らのポジションはあまり目立たないところもありますが、DFが途中から出てくる難しさは、たぶんやったことのある人にしか分からない。陽介は最近そういった役目が多い中、あの時間帯からチームにパワーを与えてくれているので、すごい選手だなって」

村上「すごい褒めてくれる。(第18節の)琉球戦ではハンドをしてPKを取られたので、岩手のときは絶対に取らせちゃダメだと気合いが入っていました」

――第14節の讃岐戦での浦上選手のゴールも印象に残っています。インターセプトから始まったあのゴールは、誰もが攻めて、全員で守るという今季のサッカーを象徴している気がします。右足アウトでのシュートは少し驚きましたけど。
浦上「……驚いたんですか? 僕にとっては普通ですけどね(真顔)」

【©︎1998 N.O.ARDIJA】

市原「ありましたっけ?」

浦上「あのゴールねぇ(遠くを見る)」

市原「決めたあと、いつも決めてるみたいな感じを出してたのがなぁ(笑)。僕は誰のプレーとかじゃなくて、選手全員が去年より確実にゴール前でブロックするところ、一歩寄せるところが成長していて、チームの強みだと思います。カサくん(笠原昂史)のビッグセーブも大きいけど、話を聞くと『ある程度制限されている中でボールが来るから止められる』と言ってました。自分たちもやられない自信があるので、点を取ってくれる前線、ハードワークしてくれる中盤も含めて、チーム全体でいいパフォーマンスができていると思います」

村上「個人的には、(第6節の)宮崎戦で得点に絡んだ持ち上がりとか、ああいうシーンを増やしたいと思っています。吏音も仁騎くんもアタックの質が高くて、そういう場面が常に試合でも生まれているので、そのへんを見習いながら、攻撃の質を上げていきたいと思っています」

市原「(第4節の奈良戦での)プロ初ゴールはうれしかったですね。ファン・サポーターがたくさんいる側のゴールに向かって取れたというのは、すごく印象に残っています」

【©︎1998 N.O.ARDIJA】

浦上「あっち側に決めるの気持ちいいよな」

市原「そうなんスよ」

浦上「なっ、陽介」

村上「気持ちいいですね(苦笑)。取ってないけど」

浦上「今年いきたいね。あっち側に決めるっていうのがいいんだよな」

市原「間違いないッス。全然違う」


村上選手の自転車はもう見られない?

――ピッチ外の話も少し聞いていいですか。浦上選手のアンケートに書いてあった自分へのご褒美「和菓子」が気になりました。
浦上「俺、和菓子がめちゃくちゃ好きなんですよ。たぶんチーム一じゃないかな」

二人「……」

浦上「(杉本)健勇くんも好きなんで、よく一緒に……。この話、広がります?」

二人「……」

浦上「オススメは、大宮駅の西口にある『あたらし』ってお店のだんご。そこのみたらしだんごとか、めちゃくちゃ美味しいです」

二人「(まったく興味なさそう)」

浦上「和菓子嫌い?」

市原「嫌いじゃないけど、全然食べない」

浦上「試合後のあれは食べてるじゃん」

村上「大福」

浦上「あれも和菓子でしょ?」

市原「でも、好きまではいかないかな」

浦上「年取ったな、俺も。じゃ、自分へのご褒美は?」

市原「僕は、友だちと遊ぶのが一番好きですね」

浦上「なんやそれ!」

市原「昨日(のオフ)も地元の友達、高校の友だちと遊びました」

浦上「何して遊ぶの?」

市原「買い物行ったり、カラオケ行ったり、温泉行ったり」

村上「昨日は、ずっと寮にいましたね」

浦上「えっ、サイクリングじゃないの?」

市原「アハハハ……」

浦上「前に僕が車で駅の先のほうまで行ったとき、ここからまあまあ遠いところですよ、陽介がチャリ漕いでるんですよ! それがめちゃくちゃ面白くて。近場ならわかるけど」

村上「そんな遠かったですか?」

浦上「チャリで10分、15分くらいでしょ。真顔で漕いでた陽介が俺に気づいて、あぁーみたいな(笑)」

村上「だいぶボロチャリですけど、郵便局に用事があったんで」

浦上「普通、マウンテンバイクとかじゃない?」

村上「ママチャリとマウンテンバイクの間ですかね」

浦上「カゴはなかったよね」

村上「ないです(笑)」

市原「クロスバイクじゃないですか?」

浦上「いや、そんないいもんじゃない。あとで見てみ」

村上「大学4年間、雨ざらしで置いておいたやつを、こっちに持ってきてるんですよ」

浦上「めっちゃオモロかった。斜め掛けのバックしてさ」

村上「仁騎くん、これ書かれたら嫌ッスわ(笑)」

浦上「必ず書いてください」

市原「絶対書いてほしい」

浦上「皆さん、見かけることあると思うんですよ」

村上「もう車があるんで、ないです」

――最後に後半戦へ向けての意気込みを聞かせてください。
市原「やることは変わらないので、ただ、今までどおりに戦ったら勝てないと思うので、変化を加えながら強い大宮っていうのを見せられたらいいかなと思います」

村上「僕自身、今は途中出場が多いので、与えられた役割をまっとうするのはもちろん、しっかりスタメンを取りにいきたいですし、練習がすべてなので、しっかりとその覚悟を見せつつ、チームとしていい結果を残せるようがんばっていきたいです」

浦上「後半戦は相手も食ってやろうって思いがより強くなって、難しい試合が多くなると思うので、それを上回らないといけない。陽介が言うように練習がすべてなので、全員で厳しい練習をして、ピッチに立った選手が結果を出せるよう全員でがんばります」

【©︎1998 N.O.ARDIJA】

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粕川哲男(かすかわ てつお)
1995年に週刊サッカーダイジェスト編集部でアルバイトを始め、2002年まで日本代表などを担当。2002年秋にフリーランスとなり、スポーツ中心のライター兼エディターをしつつ書籍の構成なども務める。2005年から大宮アルディージャのオフィシャルライター。
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著者プロフィール

1999年にJリーグへ参加。アルディージャは「リス」を意味するスペイン語。リスは大宮市(現さいたま市)のマスコット的存在で、地域に密着し、愛される存在となることを願ってつけられた。さいたま市西区にクラブハウス「オレンジキューブ」・アルディージャ練習場があり、ホームスタジアムであるNACK5スタジアム大宮は、日本最古のサッカー専用スタジアム。クラブマスコットはアルディとミーヤ。

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