【FC東京】自分を変えたメンタル改革 野澤大志ブランドン
【©FC TOKYO】
青赤アカデミー出身のトップチーム在籍選手としては史上3人目となるオリンピアンになろうとしている。
昨シーズン終盤の日本代表初選出を経てAFCアジアカップ2023、パリ五輪出場権獲得と大きなモーメントを経験してきた野澤選手。帰国後はスタメンを再び奪取し、スーパーセーブを連発してチームに不可欠な存在へ進化を遂げた。
その裏側にあったのは、サッカーに対する向き合い方を再確認してのメンタル改革。人知れず苦しい時間を過ごし、それをプラスに変えた彼の思考に迫る。
Text by 青山知雄
Photos by 新井賢一
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頼れる青赤の守護神が、世界の舞台へ羽ばたこうとしている。2019シーズンのFIFA U-17ワールドカップではメンバー入りを果たしながら出場機会を得られず。それ以来となる世界大会に「選ばれたか! という気持ち。頑張ろうと思ったし、何よりワクワク感が強い」と率直な喜びを口にする。
昨シーズン終盤に東京でレギュラーポジションを奪い、そこでの活躍が評価されて年末に日本代表に初招集。代表合宿中に怪我を抱えるアクシデントもありながら、年明けのAFCアジアカップ2023にも参加した。4月にはパリ五輪アジア最終予選を兼ねたAFC U-23アジアカップ2024のメンバーにも選出され、本大会行きの切符も獲得している。
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カタールで行われたU-23アジアカップは韓国とのグループステージ第3戦でピッチに立ったものの、試合は0-1で敗戦。思うようなプレーができず、決勝トーナメントではベンチに座る試合が続いた。当時のメンタルを彼自身はこう振り返る。
「大会期間中、ちょっと消極的にプレーしてしまっている自分がいました。ああしておけば良かったとか、周りに合わせ過ぎたりとか、ミスをしないようにしたりとか……。もちろんそれが良くないことは頭では分かっていましたけど、どこかそうしてしまっている自分がいたんです」
もう後悔はしたくない。苦しい時間を過ごした経験が、彼に原点回帰を促した。自分はどんなプレーがしたいのか。どうすれば良さを出せるのか。壁を乗り越えて前へ進むために自問自答を繰り返した。自らと毎日向き合って気付いたのは、自分に自信を持たせ、持っている実力をすべて発揮するためのメンタルコントロール。その意識が彼を変えた。
「本当に心と頭が大事なことに気付きました。自分が持っているものを出し切るために必要なものは、やっぱりメンタルだと思ったんです」
もちろん日々の練習で技術を身に付けておかなければならない。だが、プレッシャーが掛かる試合、一瞬の判断が求められる極限の状態で実力を出すために必要なものは、自信を持って冷静にプレーできるメンタルだった。
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パリ行きの切符を手に東京へ戻ってきたあと、明らかに彼のビッグセーブから試合の流れをつかむ試合が増えた。それでも「自分の力だけで勝てたわけではない」とチームで戦う姿勢は決して崩さない。
ハマり込んだ沼を抜け出し、ピッチでのプレーを楽しめている自分がいる。もちろん向上心もある。ネガティブな要素を完全に排除して、チームの勝利に貢献していくという意志が、彼の心に自信をもたらしている。
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自分を信じてプレーを続ける。日々自分と向き合う姿勢は欠かさず、決して驕ることも満足することもない。変化と修正、課題を受け入れながら、自信と覚悟を持って前へ進んでいる。
そんな世界へと旅立つ野澤選手の壮行試合となるのが、7月13日に国立競技場で行われるアルビレックス新潟戦だ。「U-23日本代表に合流するまでは、これまでと変わらず、とにかく東京の勝利だけを望んでやっていきます」とチームの勝利に決意を燃やす。
「たくさんのお客さんに来てほしいですし、国立は演出もすごい。僕たちはチームとして結果でも試合展開でもワクワクしてもらえるサッカーを披露したいです。ゴールラッシュとクリーンシートで勝利する姿を見たい方もいるでしょうけど、もし先制されても逆転することで興奮できる瞬間がある。ゴールキーパーとしては地道な作業の積み重ねが安定した結果をもたらしますが、1試合に1回か2回は派手な瞬間がやってくる。そこでスキを作らず、90分間集中し続けて勝利に貢献したい」
見つめ直した原点はサッカーの楽しさ。そして彼の居場所は東京にある。大志流の“メンタル革命”は。ポジティブな原点回帰。自分と向き合い、常に最大出力を意識し続け、高みをめざしてパリへ旅立とうとする野澤大志ブランドンの存在感を国立でしっかりと見届けたい。
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