〈ジャパンウィンターリーグ2024〉 埼玉西武ライオンズがNPB初の選手派遣 鷲崎一誠代表「野球界の”ハブ”となり化学反応を起こしたい」
株式会社ジャパンリーグの鷲崎一誠 代表取締役と、株式会社西武ライオンズの飯田光男 常務取締役球団本部長が登壇し、今年の開催について会見を行った。
(写真 / 文:白石怜平)
3回目の開催で初のNPB球団が参加
昨年は11の国と地域の選手が参加し、ここへ来た野球人が新たな道を拓く場となった。22年に第1回を開始してから3回目を迎えた今年、一つ大きなムーブメントが起きた。
埼玉西武ライオンズがJWLに選手を派遣することになったのだ。
日本人ではこれまで主に社会人野球や独立リーグの選手が参加していたが、NPB球団に所属する選手が加わるのは初。
今回行われた記者会見では、西武と合同発表という形で行われた。
「野球界を牽引する”フロントランナー”に」
他のスポーツの人気が高まり多様な選択肢ができたことや少子化の影響もあり、野球人口の減少が顕著に挙げられている。
その一方で昨年のワールド・ベースボール・クラシック(WBC)での世界一や、大谷翔平選手を始め日本人メジャーリーガーの活躍が連日報道されるなど、日本の野球は世界においても高水準であることが証明されている。
これらの事実を交えながら、飯田球団本部長は更なる日本野球発展のために「我々は新しい分野にチャレンジし、野球界を牽引する”フロントランナーになること”を目指しています」と球団の方向性を示した。
その新たな挑戦の一つがJWLへの参入である。NPBの選手を派遣することによる意義について以下のように話した。
「NPBの球団からJWLに派遣することでリーグの認知度が向上し、参加団体がさらに増えることを期待しています。プロとアマチュアの交流がさらに深まることで、野球界の発展に寄与できると考えています」
「ナレッジのシェアも目的の一つ。というのも、我々はスタッフの派遣も予定しています。選手だけでなくスタッフ同士でもプロとアマチュアとの間で情報交換をできるようにする。グラウンド外での交流も盛んにしたいです」
西武は台湾やオーストラリアなど海外のウィンターリーグに選手を派遣してきた。それを続けつつ、今年は若手を中心にさらに選手派遣を予定しているという。
他にも球団の取り組みとして、選手・指導者を育成する人財開発やライオンズ整形外科クリニックの開院に代表されるハイパフォーマンス部門の強化など、”フロントランナー”への具体的な項目を紹介した飯田球団本部長。
その後の質疑応答では現在の一軍でのチーム状況についても触れつつ、「一人でも多く一軍で活躍できる選手を育成することは急務です」と気持ちを強く表わした。それに加えて、
「選手に実戦経験を積んでもらいたいのが一番の狙いです。ここをきっかけに来シーズン一軍の舞台で結果を出し、チームの勝利に貢献してくれる選手へ育ってほしい」と改めて期待を述べた。
今年は約2倍の海外参加者を見込む
運営方針として、「陽の目を見ない場所に光を」、「野球界の登竜門を沖縄に」という2つを掲げている。年々参加者を拡大しており22年の第1回は66名、昨年の第2回は101名が沖縄でスポットライトを浴びに門を叩いた。
その中には海外の選手も多くいる。鷲崎さんは以前Homebaseの取材で「世界中の選手たちに光を当てたい。”世界のジャパンウインターリーグ”をアピールすることが挑戦でした」
今回は約2倍に当たる60名の海外選手に加えて、西武そしてJABA(日本野球連盟)やIPBL(日本独立リーグ野球機構)からも参加選手の増加を図り、計約160名を見込んでいる。
参加する国や地域について鷲崎さんに質問した際、
「現時点では応募段階のフェーズではありますが、アメリカや中南米の選手から希望をいただいています。中国や台湾では各連盟とも話をしているので、決まり次第お伝えします」とコメントした。
会見で明かした27年までの構想とは?
グラウンド内では実力に合わせた「トライアウトリーグ」と「アドバンスリーグ」という2つのリーグに分けて開催し、グラウンド外でも「レベルアッププログラム」として週1回の講座を用意している。
ここではキャリアやメンタルといった座学を受けられる機会を設け、”日本ならではのウィンターリーグ”を構築している。
「今年もトライアウトとアドバンスの2リーグでさらに人数を拡大させます。25年にキャリアキャンプ・26年にカンファレンスを誘致、そして27年に新リーグを発足させるべく考えています。
更なる展望としてウィンターミーティングのようなイベントをアジア、この日本で行いたい想いがあります。選手やスタッフなど様々な方が集まる場所になっていますので、これからも化学変化を起こしていきたいです」
JWLというプラットフォームの形成に
飯田球団本部長はJWL参加への意気込みを問われ、
「参加した選手が成長し、来シーズン活躍してくれることを願っています。日本にもウィンターリーグがあるので、この新しい舞台に入ることで野球界の発展に貢献し、フロントランナーとして引っ張っていきたいです」と答えた。
また、鷲崎さんは西武が参加することについて、
「昨年も視察に来てくださって、『派遣したら必ず育成につながる』と評価いただきました。我々も嬉しいことですし、JWLに参加した選手が成長して戻ってもらうことをお約束したいです」と感謝の意を表した。
「参加した選手がブレイクスルーできるサポートをしていきたいです。我々の特徴は”色味がない”ことです。野球界の”ハブ”になれる存在だと思っていますし、海外含めて様々な団体を巻き込んでJWLというプラットフォームをつくり上げていきたい」と力強く語った。
各リーグ4チームで全18試合+プレーオフを行うJWL。沖縄の地でまた新たな化学反応が起きようとしている。
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