超過密フライトを終えた選手、スタッフ、そしてブースターの皆さん、お疲れさまでした。そんなジェッツの2023-24シーズンを総括【B MY HERO!】

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2023-24シーズン、ジェッツは2冠達成 【(C) B.LEAGUE】

 千葉ジェッツブースターの皆様、おはようございます! 今シーズン3回目のコラムを書かせていただきます、千葉ジェッツブースターおじさんJIROです。

 2023-24シーズンの千葉ジェッツは、レギュラーシーズンを35勝25敗で東地区3位、ワイルドカード下位でチャンピオンシップに進出。チャンピオンシップ セミファイナルで幕を閉じました。

 レギュラーシーズン、EASL、天皇杯、チャンピオンシップと激動の76試合を戦った千葉ジェッツを、各選手の思い出を含めて振り返ってみようと思います。ほんの少しだけお付き合いください。

FULL MOON

ジェッツのゴール下に君臨したムーニー 【(C) B.LEAGUE】

 シーズン当初の千葉ジェッツのロスターは、平均身長がかなり小さく、インサイドがウイークポイントと見られていました。新加入の外国籍ルーキー ジャスティン・マッツ選手も201センチとインサイドプレーヤーとしては決して身長が高いほうではなく、ルーキーのため粗削りな部分もあり、206センチの大黒柱ビッグマン、ジョン・ムーニー選手への負担が懸念されていました。

 ジョン・パトリックHCはドイツ時代、190センチ台のセンターを起用していたとも聞いたことがありましたが、開幕の長崎ヴェルカ戦でムーンが怪我をすると、厳しい展開を強いられ、開幕カード連敗。ブースター仲間とも、「よりによってムーンか…長期離脱となると…」と、不安が大きくなった幕開けでした。しかしムーンは僅か2週間程度でフロアに戻ります。

 復帰後は怪我の影響を感じさせない活躍で千葉ジェッツのインサイドを支配。EASLではリバウンドマシーンと化し平均16.3リバウンド。レギュラーシーズンでもリバウンド王に輝き、千葉ジェッツのインサイドの要である事を証明したシーズンになりました。シーズン終盤に肩の怪我で離脱し、復帰はするも痛みを抱えながらプレーしているように見えましたが、チームファーストで戦う姿はジェッツブースターの心を熱くさせてくれました。

 来シーズンも千葉ジェッツのペイントエリアを守ってくれると信じています。

AIR

ステフェンズはBリーグオールスターでダンク王者に 【(C) B.LEAGUE】

 度肝をぬかれた…映像を見ていた以上に彼は飛んでいた。

 ディー・ジェイ・ステフェンズ選手は、その高いジャンプ力を武器に、様々な国のチームを渡り歩いてきました。

 NBA経験者でもあり、あのビンス・カーターと対談するなど、当時からヤバいダンカーとして紹介されていたのは覚えています。まさか、千葉ジェッツに来るとは。

 いざ目の前で見る彼の、今までのBリーグでは考えられない高さで繰り広げられるダンク、リバウンド、そしてブロックは、あっという間にブースターの心を掴みました。今シーズンのスラムダンクコンテストは、DJの出場が決まった瞬間、チャンピオンになることを確信した人も多いでしょう。

 華のあるプレー以外にも、スリーやディフェンスでチームプレーに徹する姿は、多くの国でプレーして来た証。シーズン終盤はインジュアリーリストに入ったままシーズンを終了してしまい悔しい気持ちがあると思うので、また日本でそのプレーを見たいです。

颯太と耀

ジェッツのコートに帰ってきた大倉 【(C) B.LEAGUE】

 2022-23シーズン、運命を共にするように試練を与えられた大倉颯太選手と二上耀選手。

 昨シーズン中のほとんどをお互いで支え合いながらリハビリに費やし、彼らの成長と活躍が今シーズンのキーになるシーズンと言っても過言ではありませんでした。

 しかし乗り越えたはずの試練が再び前に現れます。

 開幕して約1カ月、二上選手が再びシーズンアウトの怪我…。

「立ち直れない…」そう漏らしたのは2年連続で大きな怪我を経験した大倉選手でした。

 そんな大倉選手は昨シーズンの悔しさをぶつけるようにコートで躍動。彼の怪盗スティールは見ている者を惹きつけます。シーズン終盤はコンディションが上がらず、ベンチで過ごすことが多くなってしまい、本人も悔しいシーズンとなりました。

 来シーズンはお互いの悔しさを晴らすべく、再び9と13がフロアに立つ日をジェッツブースターは心待ちにしている。

Colorful & Blue

“ミスタージェッツ”西村 【(C) B.LEAGUE】

 西村文男選手は何年僕らを魅了し続けるのだろうか。コート上ではゲームメイクで得点とアシストで、ベンチではベテランとしてチームをまとめ、富樫選手不在のEASLでの試合では8本のスリー、天皇杯準決勝の宇都宮戦ではトドメの一撃とも言えるスリーをヒットさせる活躍で、ミスタージェッツの実力を見せつけてくれました。そんな“ジェッツをジェッツにした男”西村選手はコートを離れるとライブ配信やイベントを積極的に行い、“多彩”な才能で僕らを喜ばせてくれます。

チームを支えた荒尾 【(C) B.LEAGUE】

 荒尾岳選手は父のような存在で優しくチームを支えてくれました。どっしりと構えたディフェンスとスクリナーでブルーワーカーとして体を張り続け、チームにバランスをもたらしました。3月30日の川崎戦ではレイアップでのスコア、直後にはスティールからボールを繋ぎ原選手のスリーで突き放し船橋アリーナを沸かせました。

 色彩豊かな西村選手と一色入魂の荒尾選手、対象的にも見えるこの二人のベテランをいつまでも見ていたいと思うのは私だけではないはずです。

ROOKIE GUYS

 今シーズンの千葉ジェッツは、ルーキーたちのパフォーマンスに心躍るシーズンでした。

金近はオールスターに選出 【(C) B.LEAGUE】

 シーズン序盤は、金近廉選手がチームに活気を与え「恋する放物線」と言われたスリーポイントでブースターを魅了。ついにBリーグオールスターに選出されました。

小川は全試合に出場 【(C) B.LEAGUE】

 シーズン中盤からは大きく成長した小川麻斗選手がエナジー全開で攻守に貢献し全76試合に出場。毎試合のように麻斗コールを会場にこだまさせました。

内尾はスタートでも起用される存在に 【(C) B.LEAGUE】

 さらに1月に特別指定選手として合流した内尾聡理選手が少ないプレータイムでチャンス掴み、福岡第一高校で培ったディフェンス力を発揮し、エースキラーとしてスターターで起用されるなど周囲を驚かせる活躍で大きなインパクトを残しました。

 三者三様で課題が見えたシーズン終盤でしたが、まだまだ若い彼らがこれだけコート上で苦しんだことは、未来への大きな財産になると信じ、陽気で明るい同世代がいつかBリーグを背負う選手になる日を夢見ています。

X factor

オーストラリア代表でもあるクックス 【(C) B.LEAGUE】

 11月、ジャスティン・マッツ選手がチームにフィットできないままチームを離れてしまいましたが、その翌日にチームはオーストラリア代表でNBAのワシントン・ウィザーズでプレーしていた、ゼイビア・クックス選手との契約を発表。

 203センチのPFは日本で行われたFIBAバスケットボールワールドカップの日本戦で、誰よりもコートを走り続け日本を苦しめた選手。ワールドカップ直前に有明アリーナで行われたオーストラリア代表対フランス代表のゲームでもたくさんのリバウンドに絡み、そして走り回り、チームに流れをもたらしていました。

 ジェッツに合流してすぐの頃はコンディションの関係と新しいシステムに戸惑うシーンも見受けられましたが、数ゲームで調整しバイウィーク明けのゲームからチームにフィット。リバウンドを取って自らプッシュし、ユーロステップでスコアなどジェッツのスピードを高めました。

 紳士的な振る舞いとチームの調和を大切にする姿であっという間にファンを虜にしたゼイブ。彼がどこに行っても「ゼイビア・クックスは千葉ジェッツにいたんだぜ!」と自慢しながらずっと応援していきたいと思います。

SAMURAI

41歳とは思えない活躍を見せたアイラ 【(C) B.LEAGUE】

 アイラ・ブラウン選手は、慣れないセンターポジションを任されて苦しんだシーズンだったと思います。193センチで本来はSFのプレーヤーが、2メートル越えのセンタープレーヤーとマッチアップし続けました。41歳とは思えない肉体ではあるものの、その努力は並大抵なものではないと思います。

 結果の出ない試合もあったのは事実ですが、EASLや天皇杯、そしてチャンピオンシップの大事な場面でオフェンスリバウンドをもぎ取るなど大きく貢献してくれたアイラに、大きな拍手を送りたい。

「アイラブ、アイラ・ブラウン! ウィーラブ、アイラ・ブラウン!」

New generation

トビンはインサイドで体を張る存在に 【(C) B.LEAGUE】

「フォー!」と言えばジェッツブースターは彼を思い出すほどキャラクターが定着したトビン マーカス海舟選手は、ただのムードメーカーではなかった。チャレンジが彼の生きがいだと思うほどフロアを駆け抜け、インサイドで体を張り、チームの沈んだ空気を一掃する。躍動感溢れるプレーは未来に大きな可能性があるエネルギーの塊。ずっといい奴!そんなトビンの成長をいつまでも見ていたい。

 そして関谷間選手も1シーズン共にしました。千葉ジェッツユースにも所属する17歳は、類まれなスピードの持ち主でトップチームでもその才能を証明した。今後彼がどんな選択をしても応援は続けていきたいと思います。

He is Back

スミスの復帰はジェッツを後押しした 【(C) B.LEAGUE】

 ジェッツブースターの中で絶大な人気を誇っていたクリストファー・スミス選手。彼がオーストラリアのNBLのチームに移籍してしまってからも、「クリス戻って来ないかな~」という声はたくさん聞こえてきました。

 そんな希望は現実となります。NBLのシーズンが終了した2月下旬に契約が発表され3月からチームに合流。Bリーグ復帰初戦の広島戦で出場していきなり、何度も見た虹のようなスリーポイントを沈め、23点の活躍で貢献。天皇杯決勝でもその得点力を遺憾なく発揮しベスト5に選出。怪我で思うようにプレーできない期間もありましたが、来シーズンは1シーズンいてくれるって信じていいよね? 頼んだぞ、クリス!

1993

原の存在感の大きさを再確認 【(C) B.LEAGUE】

 今シーズンの千葉ジェッツがレギュラーシーズンを苦しんだ大きな要因は、原修太選手の怪我の影響だったことは誰しもが分かっていることでしょう。足の手術の影響で序盤から欠場が続き、復帰後に手を骨折するなど不運にも見舞われ、レギュラーシーズンは34試合の出場にとどまりました。

 原選手がいない間はチーム全員でカバーするも、昨年DPOY(ベストディフェンダー賞)を受賞した原選手の穴はディフェンスの部分で影響が大きかった。「原ちゃんがいると安心感が違う」という言葉を今シーズンは何度も聞き、千葉ジェッツにとって最重要選手であることを再確認しました。

富樫はバスケが楽しいからこそ、コート上でも笑顔を見せる 【(C) B.LEAGUE】

 そしてもう一人の千葉ジェッツ最重要選手は、そう言うまでもなく、富樫勇樹選手です。

 昨シーズンはファイナルまで戦い、すぐにワールドカップ出場に向けて代表活動。「プレシーズンマッチは流石に出ないでしょう~」の声があがっていたがまさかの出場。

 レギュラーシーズン60試合、EASLは1試合のみ欠場、天皇杯2試合の75試合に出場。

「原は今シーズンたくさん休んだので、働いてもらわないと」と冗談を言っていましたが、富樫選手…出すぎです(笑)

 昨今のバスケットボールは体を休めることも重要と考え、シーズン中にコンディション調整で欠場する選手もいる中でほぼ全試合出場し、得点アベレージはキャリアハイの18.0得点をたたき出しました。

 きっと富樫選手は、自分を見に来てくれているファンがいることを分かっているのだと思います。

 初めての観戦の人、遠くから観戦に来ている人など様々なファンがいます。そのファンのためにも富樫選手は毎試合プレーし続けていると思います。もしかしたら単純にバスケットボールが好きなだけかもしれませんが…(笑)

 この1993年生まれの2人は来シーズンも、新ホームLaLaアリーナの10,000人を超えるブースターの前で躍動し、たくさんの勝利をつかみ取ってくれると信じています。

記憶

 今シーズンの千葉ジェッツは気流が安定しないフライトのようなシーズンでした。

 シーズン序盤からBリーグ、EASLの二つのリーグが同時進行。「今日はどっちのゲーム? あ、EASLか! チケット買い忘れた!」なんてこともありました(笑)

 土日と水曜日の週3試合が続き、選手たちもコンディション調整が難しいシーズンだったことは、容易に想像ができます。レギュラーシーズン、EASL、天皇杯、チャンピオンシップの76試合、その中でも強く記憶に残っているゲームがいくつもあります。

 スタッツやゲーム内容は、素人の私が振り返ってもしかたないのですが、会場の雰囲気が最高だったゲームは今でも思い出します。

 昨シーズン途中から解禁になった声出し応援でしたが、初めてBリーグ観戦に来たブースターも多く、それまでの“響き”が生まれるまでに時間がかかっていました。

 それでもレギュラーシーズン2024年1月31日、同地区の強豪アルバルク東京戦、2月14日の天皇杯準決勝の宇都宮ブレックス戦は、ブースターの気持ちが船橋アリーナを地鳴りさせるほどの声に変わり、勝利を後押しできたことを実感できたゲームだったと思います。

 その後も声を届ける大切さを知ったジェッツブースターが、ホームアウェイ関係なく会場を赤く染め大声援を送り続け、セブ島で行われたEASLファイナル4、天皇杯決勝のさいたまスーパーアリーナにもたくさんのブースターの姿がありました。

 船橋アリーナのラストゲームとなった4月14日の群馬クレインサンダーズ戦では、スタージェッツやパフォーマーのOB・OGが駆けつけ最高のパフォーマンスを披露。

船橋アリーナのラストマッチで選手、スタッフ、ブースターが1コマに 【(C) B.LEAGUE】

 チャンピオンシップ クォーターファイナルの宇都宮ブレックス戦、私は会場に行けませんでしたが、アウェイの地で響いた“Let’s Go CHIBA JETS”は涙が出るほど感動しました。ダブルオーバータイムまでもつれたゲーム3を勝つことができたのは、もがき苦しんだ今シーズンの千葉ジェッツと共に成長した、千葉ジェッツブースターの後押しがあったからだと思います。

 沖縄アリーナでシーズンを終え、悔しい気持ちはありますが、厳しいシーズンの中でEASLと天皇杯を優勝し、チャンピオンシップに出場したこの千葉ジェッツは船橋の誇りです。

 今シーズンほど、チームとブースターの絆の深さを感じたシーズンはありませんでした。

 広がる声、繋がり伝わる思い、届き響く会場、いつしか4000人のブースターと一緒に観ている気分になれた最高の“ホーム”だったと思います。

 来シーズン新たなホーム、LaLaアリーナでの戦いが始まります。

 船橋アリーナで創り上げた雰囲気をLaLaアリーナでも繋いでくれると信じています。

 これまで船橋アリーナに掲げた数々のチャンピオンフラッグを、新アリーナで増やすことができるか。

 100年続くチームを目指す千葉ジェッツにとって、ここはまだ旅の途中です。

 これから寂しい別れや新たな出会いがありかもしれませんが、結局最後にはチームの全員を好きになって終わることは10年以上変わらないことです。

 また新しい千葉ジェッツを楽しみにしながら待っていたいと思います。

 最後に、選手の皆様、コーチ・スタッフの皆様、スタージェッツの皆様、ジャンボくん、MCリスケさん、マスク・ド・オッチー、広報の皆様、チーム運営の皆様、会場ボランティアの皆様、スポンサー企業の皆様、そして千葉ジェッツブースターの皆様、最高に幸せな2023-24シーズンでした。

 心から感謝申し上げます。

 それじゃ、またね!

 Come fly with me!

 Go JETS!

Kenichi JIRO Yoshii(B MY HERO!特派員)

【(C) JIRO】

1981年1月28日生
千葉ジェッツブースター、ジェッツブースターで結成されたバスケットボールチーム『ROCKS』の代表も務める。 いつかバスケットボールの新しい大会を開催し、街にバスケットゴールを増やすことを夢見ている小太りおじさん。
・趣味:ドライブ、飲み会、チェアリング
・お気に入りの選手:ショーン・エリオット(元サンアントニオ・スパーズ他)、デビン・ヴァセル(スパーズ)、荒尾岳(千葉ジェッツ)、小川麻斗(千葉ジェッツ)


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著者プロフィール

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