厳しい状況を乗り越え成長した千葉ジェッツが2冠獲得!そして3冠に向けてさらに高度上昇中!!【B MY HERO!】

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EASL、天皇杯を制している千葉ジェッツ 【(C) B.LEAGUE】

 ジェッツブースターの皆さん、おはようございます! 小太り千葉ジェッツブースターオジサンのJIROです。

 前回のコラムは開幕して間もないころに書かせていただきました。早いものであれから数カ月が経ちシーズンも終盤戦に。本当に色々ありましたねぇ〜。今回も積もり積もった皆様の想いを言葉にして繋ぎ、変化した千葉ジェッツの『今』を僕目線で書かせていただきたいと思います。

HEART

 今シーズンの千葉ジェッツは、選手の入れ替えや原修太選手の手術から欠場、ジョン・ムーニー選手もケガで離脱の影響もあり、序盤から苦しい試合が続き、勝率5〜6割を行ったり来たりしていました。

 そんな中で二上耀選手のケガによる長期離脱、新外国籍のジャスティン・マッツ選手との別れなど、チームにとってもブースターにとっても辛い出来事が続きました。

 ケガ人やコンディション不良も多くロスターが揃わないことが多い中、

「うまくいかない」

 そのフラストレーションが、僕らブースターも感じ取れるほど、チームとしての仕上がりに時間がかかっていました。

 オーストラリア代表のゼイビア・クックス選手の加入に大きな期待がかかるも、序盤ではまだシステムに馴染めず。それぞれの『個の力』でなんとかしようというゲームが続き、12月23日アウェイの仙台89ERS戦は駆けつけた多くのジェッツブースターの前で惨敗しました。

「チームとしてバラバラになっている」

 チームは危機感を持っていたでしょう。

 ただ僕らはどんな時も惹きつけて楽しませてくれる千葉ジェッツを求めています。

『勝つ』だけではなく『負けない』千葉ジェッツが見たいと常々思ってきました。たとえ結果は負けようとも、負けないという気持ちを見るために、千葉ジェッツブースターはどこにでも足を運び、声を響かせます。

 その思いに応えるかのように、ジェッツは『チーム』になっていきます。

 12月24日の仙台戦をハードにプレーし勝利。意地でも勝つという気持ちが見えました。2023年末の三遠ネオフェニックス戦は連敗したものの、当時リーグ最高勝率のチーム相手に、明るい光が見えたゲームでした。

 2024年を迎えると、チームは上昇気流に乗ります。

 1月のレギュラーシーズンを負けなしの8連勝。

 特に1月末のアルバルク東京戦は、大声援の中で接戦をものにし船橋アリーナの盛り上がりは最高潮!

 その後2月に連勝を12まで伸ばしました。

 そして迎えた宇都宮ブレックスとの天皇杯準決勝、前評判で宇都宮が有利と予想されたように、1Qの開始6分間で16-0と圧倒され、一時は21点差をつけられてしまう展開に。

「諦めるか?」とも思うほどの点差がつきましたが、 そこには僕らが求めた『負けない』千葉ジェッツがありました。

 少しずつリズムが良くなり前半を45-29の16点差で終えた時、周りの友人たちとも「いけるぞ、これ」と言い合えるほどの雰囲気に。ディフェンス強度を上げたジェッツが後半で巻き返し、終盤に富樫勇樹選手と西村文男選手がスパークし見事な逆転勝利!

やっぱりどんな場面でも頼りになる“Mr.ジェッツ”こと西村文男 【(C) B.LEAGUE】

「ここが僕らのホームだ!」と、チームもブースターも同じ気持ちで戦っていたと思います。

 誤解を招く言い方かもしれませんが、「応援は自己満足」。そう思ったことも言われたこともあります。

 ただその自己満足が選手へ届き伝わり、響き力になることがハッキリとわかり、チームとブースターの絆が深まった、大切なゲームになりました。

HARD

 Bリーグのレギュラーシーズンで波に乗れなかった理由の一つとして、シーズンの合間に国を跨いでアジア各国の強豪8チームで争う、東アジアスーパーリーグ、通称『EASL』への参戦というハードスケジュールが、コンディション調整の難しさに繋がったと考えられます。

 そんな『EASL』は、当初ブースターも「え、こんなに試合するの?」と思うほどの試合数で、レギュラーシーズンと併せて週3試合が当たり前のように続き、試合を見る方もなかなか大変でした(笑)。

 レギュラーシーズンで調子が出ない中の戦いだけに、こちらも厳しいと思いましたが、富樫選手のクラッチショットや、富樫選手が不出場の試合で西村選手がスパークするなどチームで戦い、グループリーグを無敗で終えファイナル4に進出。

 ファイナル4は、ここぞの場面で富樫選手、原選手が随所に活躍、さらにチームにマッチしたクックス選手が本領を発揮、大黒柱のムーニー選手が躍動し、この大会をなんと無敗で優勝しました!

大黒柱のジョン・ムーニーが安定したパフォーマンスを発揮 【(C) B.LEAGUE】

 セブ島で開催されたファイナル4にも、多くの千葉ジェッツブースターが駆けつけ、まるでホームかのように「Go JETS!」がこだまし選手を後押しする姿、そして富樫選手への「MVP」チャントには感動しました!

 当初は注目度が決して高かったわけではないこの大会を通して得たものは、優勝だけではなく、チームとしての成長と助け合うジェッツの復活だったと思います。

3月16日

 EASL決勝から約1週間、春の暖かさが本格化したさいたまスーパーアリーナで、千葉ジェッツは天皇杯決勝に挑みました。

 昨年と同じカード、琉球ゴールデンキングスとのゲーム。インサイドで大きくアドバンテージがある琉球との試合は、苦しい試合になることを覚悟していました。

 しかし、3月16日、さいたまスーパーアリーナに集まった誰もが驚く展開が待っていました。

 EASLの勢いそのままに序盤から足を動かし、平面でプレッシャーをかけるジェッツの攻めるディフェンスが、中10日での試合でリズムを作るのに苦戦していた琉球を追い込みます。

 インジュアリーリスト入りしたDJ・ステフェンズ選手の穴を埋めるべく、オーストラリアのNBL終了後に帰ってきたクリストファー・スミス選手が次々にポイントを重ねオフェンスリズムを作り、全メンバーが自分の仕事をして全てが噛み合い、48点差という歴史的な勝利を収めました。

頼れる男、クリストファー・スミスが復帰 【(C) B.LEAGUE】

 昨シーズン、Bリーグファイナルで琉球に負けた悔しさが、天皇杯決勝という舞台を忘れ、どこかチャレンジャーマインドで向かっていけたことが、この大勝に繋がった大きな要因だと感じています。

 最後の大切なタイトルに向かうために、千葉ジェッツは、この2つのタイトルを自信に変えて、残りのシーズンを戦います。

Green Brothers

 今シーズンもジェッツブースターが沸く瞬間はいくつもあります。そんな中でひときわ大きな声援が起きるのが、小川麻斗選手の活躍です。

 昨シーズン途中に加入後、ハードなディフェンスでジェッツブースターの心を掴み、今シーズンは悩んでいたオフェンスの積極性を取り戻し、さらにチームに貢献。果敢なドライブとクイックスリーで相手を揺さぶり『麻斗コール』を照れくさそうに喜ぶ姿でどんどんファンが増えています。

今シーズン、さらにブースターの心をつかんでいる小川麻斗 【(C) B.LEAGUE】

 シーズン序盤はどこか波に乗れず悩んでいるように見えました。そんな麻斗のここ最近の成長の裏には、小6から知る仲で福岡第一高校時代に苦楽を共にした、内尾聡理選手の加入が大きいと感じています。

 入団当初は麻斗宅に居候するほど仲が良く、ムードメイカーでもある聡理の加入で、麻斗のプレッシャーも少し和らいだのかもしれません。

 大学を辞める決断をし、昨シーズンファイナルで悔しい思いをした若者は今、大きな手応えを感じているはずです。

 そして内尾選手も「負けてられるか!」と言わんばかりにコートに出るとディフェンスでハッスルし、少ないプレータイムでコーチの信頼を勝ち取り、徐々にプレータイムを延ばしています。

チームの信頼を得て、先発を任されるようになった内尾聡理 【(C) B.LEAGUE】

 3月30日〜31日の川崎ブレイブサンダース戦ではスターターに抜擢され、オールスターポイントガードの藤井祐眞選手や篠山竜青選手をディフェンスで苦しめ、オフェンスではスリーを沈め会場を沸かせました。

 この二人は今、苦しいことも切磋琢磨(せっさたくま)しながら、緑のジャージを着ていた頃のようにバスケットボールを楽しんでいると思います。

 麻斗と聡理の『Green Brothers』が終盤戦の鍵を握ります(福岡第一のチームカラーである緑から、このコンビを『Green Brothers』と"勝手に"名付けました)。

 千葉ジェッツにはもうひとり、成長著しい若手選手がいます。196センチのスモールフォワード、金近廉選手です。

 学生時代から名を馳せ、昨シーズン終盤チームに合流。日本代表にも招集される逸材は、恵まれたサイズと得意のスリーポイントを武器にガムシャラにプレーしています。徐々にマークもキツくなってきたので、スリーの確率に波があり、悩んでいる表情が見え隠れするも、打ち続ける強いシューターメンタルを持っています。

 さらにドライブとカッティングスキルが向上しており、宇都宮戦で見せたバックドアカットからのダンクは、彼のイメージを変えたプレーだったかもしれません。

 課題のディフェンスを向上させオフェンスの安定感が生まれた時、彼は千葉ジェッツの真のエースとなり、あの放物線が勝利への虹の架け橋となるでしょう。

ジェッツに虹をかける男、金近廉 【(C) B.LEAGUE】

 千葉ジェッツは、どのチームよりも若手を育てるのに長けたチームだと思っています。

 チームには大倉颯太選手や二上選手、トビンマーカス海舟選手、関谷間選手など、これからが楽しみな色とりどりのヤングコアが揃っています。

 彼らの時代はすぐそこです。

Road to Rings

 これを書いてる川崎戦終了時点(3月31日)で、千葉ジェッツはワイルドカードのトップではあるものの、島根とは3ゲーム差、その下5チームまでが5ゲーム差以内という混戦状態です。

 そんな中で、スミス選手とムーニー選手がともに2〜3週間のケガ、ステフェンズ選手もILから解除できない状況…試練が続きます。

 それでも川崎戦に連勝できたことで、手応えを感じたのではないでしょうか。

 言うまでもなく唯一無二の存在である富樫選手と、復調した原選手が揃った時が真の千葉ジェッツであり、クックス選手も多彩なステップとクレバーなディフェンスでスーパースターであることを証明してくれています。この3人を中心に現在のアクティブロスターは、小川、内尾、金近、大倉、トビン、関谷、そしてベテランの頼りになるミスタージェッツ西村、農作物を守る…じゃなく、リムを守るディフェンス職人の荒尾岳がいます。

 そしてこの状況で一番の鍵を握るのがアイラ・ブラウン選手だと僕は考えています。41歳の大ベテランは、体を張り本来のポジションとは違うセンターを務めていることもあります。シーズン当初は役割の違いに戸惑いながらも、結果が出なくても腐らずチームに貢献しようとする姿は、まさに侍です。

慣れないポジションながらチームに貢献を続けるアイラ・ブラウン 【(C) B.LEAGUE】

 スペーシング、カッティング、スリーポイント、ショウディフェンス、飛び込みのオフェンスリバウンドなど、見えない部分でもハードワークでチームに流れをもたらしてくれる大きな存在です。

 相手の高さに苦戦することもありますが、今のチーム状況でアイラの活躍はチームの土台になっています。

 クリスとムーンの復帰を待ちながら、千葉ジェッツはTEAM BASKETBALLで上を目指します。

「チャンピオンシップのホーム開催を諦めてはいない」

 天皇杯の優勝インタビューでそう言い放った富樫キャプテンは、きっと僕ら千葉ジェッツブースターの声を求めているのだと思います。

 今シーズンEASLと天皇杯を大声援の中で制したように、あと一つのチャンピオンリングを手に入れるため、僕らブースターも最後まで声を届けます。

My Kind Of Town

 前回コラムでも書きましたが、僕らのホーム『船橋アリーナ』での試合もラストシーズン。

 今シーズンは残り2試合となりました。

 僕が生まれた頃の船橋市は、これといった観光地があったわけでもなく、どちらかといえば『ただ日々を暮らす街』でした。

 そんな船橋は僕が子供の頃からバスケットボールが盛んな街で、そこに千葉ジェッツが誕生し、Bリーグで有数のビッグクラブになり、船橋アリーナはいつしか全国各地から沢山のブースターが集まる場所となりました。

 僕もブースター仲間のmacさん達と会場周辺のお店で、勝った時も負けた時も乾杯を重ね、絆を深め、知人から友人、そして親友になり、時間を共有しブースターの輪を広げ、沢山の和が生まれました。

ブースター仲間のmacさんと 【(C) JIRO】

 千葉ジェッツは船橋と僕らに沢山のものをくれたかけがえのないチームです。このチームの『心』は、新アリーナでも変わらず僕らを惹きつけてほしいと願っています。

『船橋アリーナ時代』を最高の形で締めくくるために、どこでも赤く染めるブースターが風を送ります。

 今シーズンほど『チーム』と『ブースター』の絆の深さを感じたシーズンはありません。

 どんな結果であろうと笑顔で終われるように、今を愛し今を支え最後まで共に戦います。

 どこまでも一緒に。

 Come fly with me!

 Go JETS!

Kenichi JIRO Yoshii(B MY HERO!特派員)

【(C) JIRO】

1981年1月28日生
千葉ジェッツブースター、ジェッツブースターで結成されたバスケットボールチーム『ROCKS』の代表も務める。 いつかバスケットボールの新しい大会を開催し、街にバスケットゴールを増やすことを夢見ている小太りおじさん。
・趣味:ドライブ、飲み会、チェアリング
・お気に入りの選手:ショーン・エリオット(元サンアントニオ・スパーズ他)、デビン・ヴァセル(スパーズ)、荒尾岳(千葉ジェッツ)、小川麻斗(千葉ジェッツ)


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