女子【SC軽井沢クラブ】日本代表として軽井沢から世界に挑む

チーム・協会
まだ女子 SC軽井沢クラブについてあまりご存じない方に向けて書きました。これまで応援いただいている方には「知ってるよ!」という内容も多いと思いますがご容赦ください。
こちらの記事はSC軽井沢クラブのnoteでも紹介しています。

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世界女子カーリング選手権大会は3月16日から

カナダ東部、太平洋に面したノバスコシア州シドニーで、現地3月16日から「世界女子カーリング選手権大会2024」が開幕。日本からは「第41回日本カーリング選手権大会」で優勝したSC軽井沢クラブが代表チームとして出場します。
女子 SC軽井沢クラブはリード・上野結生(21)、セカンド・西室淳子(43)、サード/バイス・金井亜翠香(22)、フォース/スキップ・上野美優(23)、フィフス・両川萌音(23)の5名で編成されています。
西室以外は世界選手権出場は初めてですが、ほか4選手はいずれもジュニア時代から頭角を現し、世界大会出場経験を持ちます。

<4選手のジュニア戦績>
上野美優(世界ジュニア選手権2022 金)
上野結生(世界ジュニア選手権2022 金、同2023 銀、同2024 銀)
金井亜翠香(世界ジュニアB選手権2016 銀)
両川萌音(世界ジュニアB選手権2019 銅)

左から上野結生、西室淳子、金井亜翠香、上野美優、両川萌音 【©JCA H.IDE】

カーリング競技は、今シーズンから2026年に行われるミラノ・コルティナ・ダンペッツォオリンピックに照準を合わせた戦いが本格化しました。冬季五輪は、4人制男子・女子、そしてミックスダブルスの3種目があり、いずれも出場枠は「10」。イタリアは開催地として出場権を得るため、残る「9」枠をかけて各国がしのぎを削ります。うち「7」枠は、3種目それぞれの世界選手権結果で付与される今年+来年のポイント合計が高い順に決まり、最後の「2」枠は五輪前に行われる世界最終予選で決まります。
日本として出場権獲得後は、国内での選考ルールに則り五輪代表チームが決まるしくみです。

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みんな軽井沢で生まれ、軽井沢でカーリングをはじめた

チームメンバーは全員が軽井沢町生まれ。西室淳子(当時・園部淳子)は中学1年生の時、学校にカーリング部ができたのを機にスピードスケートから競技転向をしました。西室はのちに「チーム長野」を結成し、同チームで2006年に自身初の世界選手権出場を果たしています。

【©SC軽井沢クラブ】

西室が世界戦に出た2年後、金井亜翠香7歳、両川萌音8歳は、当時スカップ軽井沢で行われたカーリング体験会に参加。さらにその2年後、両川から情報を聞いた上野美優9歳が妹の結生8歳を伴って同様の体験会に参加しました。これが、彼女たちのカーリングアスリートとしてのスタートです。

【©SC軽井沢クラブ】

その後、西室が山梨に移ってチーム富士急で新たな活躍を見せるころ、金井、両川、上野姉妹は軽井沢カーリング少年団、SC軽井沢クラブ・カーリングエリートアカデミーなどを経てジュニア選手として競技に打ち込んでいました。
さらに時を経て2020年初夏、金井、両川、江並杏実選手(現・中部電力)、そして出産を経て競技復帰を目指していた西室の4名で女子 SC軽井沢クラブを結成します。上野美優・結生はSC軽井沢クラブJr.の一員としてジュニア部門で活動していました。

粘り強さは2023年の日本選手権から発揮されていた

女子 SC軽井沢クラブを結成して3季目、2023年の1月に「第40回日本カーリング選手権大会」を迎えます。その半年前に世界ジュニア選手権で日本史上初の金メダルを獲った上野美優が暫定的にチームに加わり、大会途中からリードを担いました。また上野結生も現地でチームサポートに就いていました。
チームが挙げる特長の一つに「粘り強さ」がありますが、前身で臨んだ前回大会で、この粘り強さをすでに見せた試合があります。フィロシーク青森と対戦したプレーオフです。6エンドを終えた時点で7点もの差を追う展開。大劣勢の状況から、チームは3点、5点、2点と怒涛の追い上げで準決勝へ進み、最終的に準優勝という結果をもたらしました。

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そして大会後、現在のメンバーで女子 SC軽井沢クラブは新たなスタートを切ったのです。

国内大会出場や約2ヵ月間の海外遠征を経て、前年準優勝チームとして迎えた「第41回日本カーリング選手権大会」。チームは1次・2次予選ともに3位で通過。ここからまた、粘り強さを見せます。印象に残っている方も多いと思いますが、中部電力と対戦した準決勝、北海道銀行と対戦した決勝はいずれも逆転勝利。最後まで諦めず、全員で繋いで開いた世界への扉でした。
余談を一つ。準決勝や決勝のラストショットを固唾を呑んで見ていた方も多いのではないでしょうか。実況の方も「(選手にとっては)プレッシャーのかかる…」と言っていますね。ところが投げた当の本人、上野美優は「今大会は一度も緊張しなかった」とさらり。むしろリードで出場した前回大会について「不安で仕方なかった」と振り返ります。

全力を出し切るために苦しい状況でも ‟楽しむ”

選手たちはインタビューで抱負などを聞かれた際に、必ず「楽しむ」という言葉を口にします。

「自分たちの力を100%発揮するにはどうするを考えたとき ‟楽しむ” が自分にもチームにも合っていた。上手くいかない苦しい状況でも、明るくしていれば調子は上がる。負けている状況でも笑うなんてヘラヘラと見えるかもしれない。けれど、私たちは覚悟を持って ‟楽しむ” ことにしている」

女子代表となって言い切ったスキップ上野の言葉の要約です。努めてそうするようにしてからは「苦しくても楽しまなきゃもったいない」と思うようになったそうです。
世界選手権出発前に行われた壮行会で、渡された応援旗の中央に書かれた文字は「必笑」。「勝」ではなく「笑」にしてほしいと西室がリクエストしました。

【©NCA】

今年の世界選手権には日本を含めて13カ国が出場。World Curling Team Rankingに照らすと格上の相手が多く並びます。
「恰好よくはいかないかもしれないけれど、がむしゃらに走りきりたい」とスキップ上野が表したように、日本選手権を制した勢いに乗って強豪相手にも彼女たちらしく挑んでいくことでしょう。

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「世界女子カーリング選手権大会2024」日本戦のNHK BS(一部サブチャンネル)放送予定は以下からご確認ください。

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著者プロフィール

長野県軽井沢町で2004年より総合型地域スポーツクラブとして活動。「スポーツの輪、笑顔の輪~活き活きとした、人にやさしいまち、軽井沢へ~」を理念とし、各種教室、レッスン、イベントの実施や運動指導などを行い、地域に根ざしたさまざまなスポーツの機会を提供している。2018年には総合型地域スポーツクラブ初となる、毎日スポーツ人賞(文化賞)を受賞。

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