「HEROs AWARD 2022」受賞! クラブ創設26年間の結晶が形に
【© KAWASAKI FRONTALE】
26年間の結晶
「HEROs AWARD 2022」受賞者(左から堀由美恵さん、鈴木武蔵さん、益子直美さん、森山直太朗さん、吉田明宏社長、中西哲生さん) 【© KAWASAKI FRONTALE】
そう語るのは、1999年当時大学生のアルバイトとしてクラブに携わり現在に至る株式会社川崎フロンターレ企画担当シニアマネージャーの井川宜之さん。歴史を振り返ると、1997年にクラブが創設してから「スポーツが根付かない街」と言われていた川崎市で認知、愛されるために活動を続けて現在の川崎フロンターレが築き上げられていった。
選手が小児科病棟を慰問する「ブルーサンタ」、川崎市内の小学校に配布している「算数ドリル」、河川の清掃活動「多摩川エコラシコ」。また、2011年から始まった岩手県陸前高田市との交流は3万人以上が参加するなど地域を越えて活動を広げてきた。
その他にも数多くの活動をしてきた26年間の結晶が「HEROs AWARD 2022」の受賞であり、クラブと地域が一体となり発展してきた歴史、築き上げられた文化。選手たちが主体的に社会貢献活動に取り組む姿勢が評価を受けたのだった。
選手が小児科病棟を慰問する「ブルーサンタ」に参加した原田虹輝選手(現/AC長野パルセイロ)と車屋紳太郎選手 【© KAWASAKI FRONTALE】
SDGsとして世に打ち出す
河川の清掃活動「多摩川エコラシコ」に参加する小林悠選手 【© KAWASAKI FRONTALE】
言語を揃えたことで効果は絶大だった。SDGsに対しての意識が高い若い世代、いわゆるミレニアル世代がクラブに興味を持ってくれる確率が高まったのだ。大学生が直接「SDGsでなにか手伝えることはありませんか?」とスタジアムで声をかけてくれたり、川崎市立下作延小学校の総合的な学習の時間では、『川崎フロンターレSDGs』を題材として児童たちがSDGsを研究する授業に採用されたりすることもあった。
「世の中に認知いただきやすい表現に変えてよかったなと思います。僕らもこれまで『ホームタウン活動、地域密着・社会貢献活動を行っています』と伝えてきましたが、特にホームタウン活動といったスポーツ業界用語も入っているので、いったいそれってどんなことなのか、一般的には何をやっているのか傍から見たら分からない、伝えたつもりが伝わっていないのだなと今回気付きました。これをSDGsと、言語を一般的に通じる言葉に変えたことで多くの方に共感していただき理解いただける確率を増やせました。その結果『ウチも一緒に』という企業さんも増えてきました。改めて言語を揃えるのは重要だと思いました」(井川さん)
そして今年は川崎フロンターレがハブとなり、自治体や企業とNGOを結び付け「かわさきこども食堂ネットワーク」の支援をスタート。また、家庭で不要となった食品を、経済的な理由や持病などにより生活に苦しむ人や福祉施設等へ届ける「フードドライブ」を開始するなど生活の一部としてなくてはならない存在としてクラブが地域の方々の“食”をサポートしていくことで新たな活動も行ってきた。
「FOOTBALL TOGETHER〜川崎とともに〜」
川崎市内の小学校に配布している「算数ドリル」の実践学習に脇坂泰斗選手が参加 【© KAWASAKI FRONTALE】
「これは、我々のような地域プロスポーツクラブにとっては、やって当たり前の活動です。地域あっての地域プロスポーツクラブ。地域で課題があり、その課題を少しでも解決することができる力があるのであれば、地域と一緒になって取り組む。競技力で地域に喜んでもらうことも一つの大きな役割ですが、一方で、日々の活動で地域に喜んでもらえる社会課題の解決も行う。これも地域プロスポーツクラブの大きな役割であり、川崎フロンターレが川崎市にある存在意義と考えています。だから特別なことをやっている意識はありません。地域の多くの人たちに『フロンターレがこの街にあってよかった』と思っていただけるようになることが大切です。では、どうすればそのようになれるのか?それが、地域密着・地域社会貢献活動、つまり『川崎フロンターレSDGs』を継続して行っていくことなのです」
今後も「川崎フロンターレSDGs」の活動は続いていく。「FOOTBALL TOGETHER〜川崎とともに〜」を合言葉に──。
「優勝を目指して、強く、観ていて面白いサッカーを披露したい、魅力あるいい選手を育てたいという想いと共に、私たちクラブのミッションでもある「スポーツの力で、人を、この街を、もっと笑顔に」という言葉があるように、SDGsに紐づく活動をサッカークラブとして継続して行って、地域の方々により笑顔を届けられるように、これからもクラブ単独で行うのではなく、地域の多くの方々と一緒に想いを形にしていきたいです。もっとできること、継続してできることがまだまだあるはず。今回受賞したことに驕らず、ちゃんと襟を正して、フロンターレらしく『楽しく、温かく』皆と一緒にやっていきたいです」
地域の方にもっともっと「この街に川崎フロンターレがあってよかった。川崎はいい街だな。川崎に住みたいな。」と思ってもらえる未来を想像してスポーツの力を通じて、持続可能でよりよい世界を実現する。
(文:高澤真輝)
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