経歴は全てリセット。藤田慶和第2章への覚悟 〜vol.6藤田慶和【三重ホンダヒート 新加入選手インタビュー】

三重ホンダヒート
チーム・協会

【三重ホンダヒート】

日本代表最年少キャップ保持者であり、オリンピアン。
肩書きは、挙げればきりがない。
そんな藤田慶和選手が今季、三重ホンダヒートに加わった。なぜ、そして何を目指して三重に移り住んだのか。
『第2章』と位置付ける覚悟について、話を聞いた。

京都府京都市出身、東福岡高校→早稲田大学→埼玉パナソニックワイルドナイツ。185cm/92kg。ポジションはウイング、フルバック 【三重ホンダヒート】

――三重の住み心地はいかがですか
(前所属時に住んでいた)熊谷や太田とあまり変わらない環境なので、すっと馴染めました。田舎過ぎず都会過ぎず、どちらかというと田舎寄りのとても過ごしやすい場所ですね。楽しく生活できています。
京都の実家にすぐ帰れるようになったことも嬉しいですね。高校生で実家を出て以来ずっと遠い所に住んでいたので、1時間ちょっとで帰れる感覚が新鮮です。ラグビーをして初めて、近くに家族がいるんです。安心できますし、落ち着ける場所にすぐ行けることも気持ち的に楽ですね。

――ご両親も嬉しいでしょうね
実家で過ごす当たり前の高校生活、大学生活を経験してきませんでした。なので『時間を取り戻している』感じもありますね。実家に帰れば両親も喜んでくれるので、親孝行になっていたら嬉しいなと思います。

藤田慶和、第2章

――三重ホンダヒートへの加入発表時、「第2章、駆け上がっていきます」という言葉で決意表明をされました。藤田慶和第2章にタイトルをつけるとしたら、どんなタイトルになるような時間にしたいですか
うーん、そうですね。タイトル自体が『第2章』じゃないかな、と思っていて。それが全てだと思っています。
これまでのことは1回全て忘れて、1から作り上げていく。もう1度、自分が見た景色までチームとしても個人としても登りつめたいなという思いがあります。

――移籍自体はいつ頃考え始め、最終的に決断した要因は何だったんでしょうか
昨シーズン、埼玉ワイドナイツでなかなか試合に出られない状況が続いていました。すごく悔しい思いをしていたので、このまま来シーズンを迎えても、固定されたメンバー編成に踏み込んでいくことの難しさを感じていて。
自分の状況を変えられるのか、と考えた時に、だったらプロとして試合に出られるチャンスを求めていきたいと移籍を考え始めました。

――昨シーズンから考え始めたということですね
その通りです。それまでは3年間セブンズに専念をしていたので、15人制に戻って急に活躍できるような甘い世界ではないと分かってはいました。セブンズに行っていたから試合に出られなかったわけではなく、自分の実力で出られなかった。
だからもう1度試合に出られる機会を求めて、移籍をして、三重ホンダヒートというチームで自分自身も成長しながらチームに貢献したい、という思いが今はすごく強いです。

――その中でなぜ、三重ホンダヒートを選んだのでしょう
ヒートを選んだ一番の理由は、その情熱です。いくつかお誘い頂いたのですが、一番アツかったですね。GMの前田さんをはじめ、リクルーターの向久保さんが熱い言葉で誘ってくださって。このチームでラグビーしたい、と感じるようになりました。

――人から必要とされることは嬉しいですよね
すごく嬉しかったです。だからこそ自分の経歴は1回リセットして、ここからもう一度ステップアップしたい、と考えています。もう一度桜のジャージを着たいし、小さい頃からの夢だった海外にも挑戦したい。レベルアップできるよう、1つ1つやっていきたいなと思っています。

第2章という言葉に見合うシーズンを送れるよう、頑張りたい 【三重ホンダヒート】

――チームに合流して1ヶ月強。今、何を感じていらっしゃいますか
すごく良いチームだと思います。若手が積極的で、ラグビーに対する姿勢もすごく良い。これからのチーム、という可能性を感じています。毎日ワクワクしながら充実した日々を過ごせていますね。
いまは特に、みんなで繋がって1つのチームを作る過程がすごく大事なんじゃないかと思っていて。その中で僕のこれまでの経験が活きる時があるかもしれないですし、これまで他の選手が歩んできた経験が必要な時もあると思います。みんなで繋がりながら、1つのものを作り上げていく作業をヒートでは大切にしたいと思います。

――藤田選手ご自身のSNSだったりイベントだったり、様々な活動においても『繋がる』ということを大事にされているように感じます
ラグビーは1人では出来ないですし、人生も1人では生きていけません。いろんな人のサポートがあって、支え合いながら生きてラグビーができているんですよね。仲間があってこその自分だとも思うので、これからも繋がりは大切にしていきたいと思います。

みんなが見ているのは「ヒートで何ができるのか」

――三重ホンダヒートにはどんなイメージを持っていましたか
フォワードが強くて、どんどん前に勢いを出していくイメージがありました。そこは実際に入っても全く変わらないです。だから自分の役割は、外側でもっと勢いを出してフォワードを助けられるようなプレーをすることだと思っています。

――ヒートではどんな選手で在りたいですか
チームに貢献をして、チームのみんなから早く信頼されるような選手になっていきたいですね。

――どうやったら信頼を得るプレーヤーになれるのでしょうか
ラグビーをしている時だけではなく、オフの時にも規律を守れる選手。みんなにとって「こいつがいれば安心」という選手になっていきたいと思っています。藤田慶和がいてくれたら安心だな、って思ってもらえるよう、1つ1つ積み上げていきます。

――これまでに経験した様々なことを、安心材料として発揮していかなきゃいけない、ということですね
そうですね。今までの経歴は別にここに来て関係なくて。やっぱりみんなが見ているのは、「ヒートに来て何ができるのか」ということです。ヒートにたくさん貢献できれば信頼を勝ち取ることもできると思うので、責任を持って頑張りたいです。

――藤田選手自身は1人の人間としてこれから先、何を目指していきたいのでしょうか
うーん、難しい質問ですね。でも僕自身、子どもたちに夢を持ってもらえるような職業に就いているので、1人でも多くの子どもたちに夢を与えられるようなことをしていきたいなって思います。もちろん子どもだけではなく、多くの方に感動や勇気を届けられるような人間になりたいです。

地元・京都にはトップチームがなく、幼少期はトップ選手と触れ合う機会が少なかった。日本全国見渡しても、リーグワンに属するチームのある都道府県は少ない。だからこそ自身のSNSで、プロ選手を身近に感じてもらえるコンテンツを提供している(写真左) 【三重ホンダヒート】

――いよいよ、新しい仲間とともに1つになって、高みを目指すシーズンが始まります
今年のヒートの最大目標は、DIVISION 1に昇格すること。だけどそこばかり見ていても、目標は達成されないと思います。
一生懸命目の前のことに努力をしたり、次の練習や試合に向けて良い準備をしたり、という積み重ねが最後に結果として表れると思うんです。だからこそまずは1日1日の練習をしっかりとレベル高く、精度高くやり続けること。シーズンが始まったら、1試合1試合を良い形で勝ち進めること。その積み重ねの先に、最終的にD1があるシーズンにしたいですね。

――今年は金井選手やダウニー選手ら、経験豊富な選手たちも新たに加わりました
チームの浮き沈みは絶対にあると思います。シーズンを通してずっと良い状態であり続けることはありません。時には負けることもあります。そういった時でもチームを支えていけるようなパフォーマンスと、落ち着いて試合に臨むメンタルを伝えられるような存在で僕たちはいたいな、と思っています。

――チームの中で「熱いな、ヒートだな」と感じる選手はいますか
やっぱりトップの前田GMが1番熱いんじゃないですかね(笑)その情熱にみんなが付いていっている感覚はすごくあります。そこに引っ張られて選手たちも良い方向にベクトルが向くと思うので、シーズンが深まる中でアツく本当に良いチームになるんじゃないか、と期待をしています。

――今シーズン、この選手に注目!という選手をぜひ教えてください
みんな注目してほしいんですが・・・誰やろうな。1人選ぶとしたら、根塚聖冴ですかね。すごく才能を持っていて、良い選手です。スクラムハーフとして流れを変えられる選手だと思うので、やっぱりそういう選手がたくさん出てきたら勢いが出るのではないでしょうか。

――藤田選手自身は、ウイングとフルバック両方プレーされていますか?
はい、両方やっています。あとはまだサプライズなんですが、もしかしたら違うポジションで出ることもあるかもしれないので・・・楽しみにしていてください!気になる方はぜひ、試合を見に来てほしいです!

――では最後にファンの皆さんに向けてメッセージをお願いします
シーズンが始まると、選手はハードなスケジュールで試合をこなしていく必要があります。そんな時にファンの方々がスタンドから応援してくださると、本当に僕たちの力に繋がるんですよね。
だから、特にホストゲームは、たくさんの方々に見に来て頂きたいです。たくさんの人に見て頂いた方が、選手もやっぱり準備してきた力をしっかりと発揮できます。
鈴鹿で、チーム一丸となって、ファンも選手も関係なく1つになって戦いたいです。ホストゲームではファンの皆様方に雰囲気作りをお願いして、僕たち選手を成長させてほしいな、という思いがあります。スタジアムで、共に戦ってください!
ただ、もしかしたら長いシーズン、自分たちが望まない結果になる日もあるかもしれません。そこは長い目で見て頂き、1つ1つ前に進んでいけたらなとも思っています。
そうは言っても、シーズン初戦は別。シーズンの肝です。勝利を手にできるかどうかが大きな意味を持つ試合だと思うので、初戦・浦安D-Rocks戦は全力で勝利を勝ち取りに行きたいと思います!ぜひ鈴鹿へ応援に来てください!
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著者プロフィール

ジャパンラグビーリーグワン所属の『三重ホンダヒート』の公式アカウントです。三重ホンダヒートに関する試合情報や選手情報など様々なコンテンツをお届けいたします!

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