開幕戦に絶対絡む。テッペン取りたい 〜vol.2星野克之【三重ホンダヒート新人インタビュー】

三重ホンダヒート
チーム・協会

【三重ホンダヒート】

野球への夢が絶たれた時に出会ったのがラグビーだった。
「男らしい」と感じたラグビーへの第一印象を、今では愚直にグラウンドで表現することが仕事となった。
日本代表を目指す、と明確に言葉に出来る力強さの根底には何があるのか。
大型タイトヘッドプロップ、星野克之選手に話を聞いた。

星野克之(ほしのかつゆき)愛知県日進市出身、栄徳高校(愛知県)→東海大学。186cm/117kg。ポジションはプロップ(3番) 【三重ホンダヒート】

やらずして後悔より、やって後悔

――星野選手は小さい頃、どんなお子さんでしたか
よくいる典型的なガキ大将だったと思います。今はまあ、良いガキ大将になったんじゃないかな、と(笑)周りの友達や先輩後輩に恵まれたおかげで、今があります。

――ナチュラルな愛されキャラ、といえば同期で同ポジションの平野叶翔選手も同じようなタイプですよね
(叶翔に対しては)尊敬する感情の方が大きいですね。自分にしかないものもあれば、叶翔にしかないものもあるので。叶翔の良い部分をしっかり見て学ばないといけないので、ライバル視というよりも、尊敬する1人として接しています。

――星野選手の息抜き方法を教えてください
車が好きで、よく洗車します。ドライブも好きですが、小さい頃から実家の車をよく洗っていたことで洗車が好きになって。汚れている車を見ると「洗わせて欲しい!」って思うんです(笑)洗っていると、どんどん気分が上がってくるというか、もっと綺麗にしたい!って思います。なので今では自分の車はもちろん、先輩の車も率先して洗わせてもらっています。先輩たちはそのご褒美に、ご飯へ連れて行ってくれますね。

愛車はオデッセイ。虫が嫌いなので、キャンプよりもグランピング派。写真右が星野選手 【三重ホンダヒート】

――座右の銘を教えてください
『やらずして後悔より、やって後悔』です。この言葉は、大学2年生の時にお父さんから言われた言葉でした。
僕、大学2年生まで全然公式戦に出場できなかったんです。同期には2年生ぐらいから試合に出ていた前田翔(現・コベルコ神戸スティーラーズ)がいて、ずっと羨ましいな、と思っていて。正直、自分には無理なのかなと思ったこともありました。
そんなある時、2年目のシーズンが終わった後実家に帰省したタイミングで、親から「もっとチャレンジしてみてもいいんじゃないか」と声を掛けられたんです。「このままやらずして終わるより、やって終わった方がいい」と。
それから練習終わりに、自分のできる限りの自主練習をするようになりました。そしたら、3年の秋から試合に出してもらえるようになって、4年生の時には先発で出られるようになったんです。
普段そういう相談はあまり親にはしなかったのですが、「あ、確かにそうだな」と思ってメモしておいた言葉を大切にしています。

――ふとした時にご両親が掛けてくださるお言葉は、胸に響きますね。お父様もラグビーをされていたのですか?
いや、家族は誰もラグビーしてないですね。体が大きいのは僕だけなんですよ。身長はみんな高いんですけど、体重は僕の2分の1ぐらいしかないんで(笑)僕だけちょっと大きいです。

――素晴らしい突然変異です。そもそも星野選手はどうしてラグビーを始められたのでしょう
中学生まで野球をやっていて、高校も野球で進学しようとしていました。でも肘を故障してしまって。手術したら復帰までに2年半掛かります、って言われたんです。だけど高校入って2年半って言ったらもう、引退してるじゃないですか。それで野球は無理だと諦めて、近くの高校に進学しようと受験したのが母校の栄徳高校でした。
その時の試験監督がラグビー部のコーチだったんですよ。「体デカいから名前書いて、練習試合見に来て」と言われ試合を見に行ったのが、全ての始まりです。その時見に行った試合で、脳震盪を起こした選手が救急車で運ばれた姿を見て「これはすごいな、やってみよう」と思いました。

――その「すごい」という感覚をもう少し具体的に教えて欲しいです
何と言ったらいいんでしょう。「うわ、男らしい」という表現が近いかもしれないです。体をぶつけあって男らしいな、と思って。僕も体だけは大きかったので、合うかなと思って始めました。今考えたら「出会った」って感じでしたね。

――ヒートで行ったフィットネステストでは、プロップで1番のタイムだったと伺いました。野球での経験が活きているんですね
ちょっとこれ自慢なんですけど(笑)小学6年生の時に、愛知県大会で優勝したんです。ピッチャーとファーストをやっていたのですが、所属していた野球チームが走るチームだったんですよね。
高校入学前、ラグビーをやるって決めてからも毎日6km走るようにしていましたし、大学進学後も実家に帰省した時には毎日決まった6kmのコースを走っていました。なので長距離は走れる方だと思います。

勝負するならテッペン取りたい

――ポジションの変遷を教えてください
高校1年生で始めてからずっとプロップでした。中学3年生で身長が180cm弱、体重は100kg。プロップ一択です。

――仲の良い選手、ライバル選手はどなたでしょうか
仲の良い選手は、ヒートだと1個上の李承爀さんと2個上の辻惇朗さん、4つ上でウイングの渡部寛太さんには良くしてもらっています。食事に行ったり、一緒に会社に行ったりとお世話になっている先輩たちですが、皆さんあんまり車に興味ないようで(笑)車は別に洗わなくて良いよ、ということで残念ながら洗車は出来ていません。
ともに高め合いたい選手は、東海大学で同期だった前田翔(現・コベルコ神戸スティーラーズ)ですね。尊敬していますし、ライバルです。早くDivision1に行って勝負したいと思います。

――憧れの選手はいらっしゃいますか
以前ヒートにいらっしゃった具智元選手は、日本代表の3番。やっぱり尊敬します。

――星野選手も目指すは日本代表?
勝負するならやっぱり、テッペン取りたいんで。日本代表になりたいです。
正直、なれるんだったら来年のワールドカップにも出たい。でも現実的に考えたら結果も残してないし試合にも出ていないので、今は2027年と2031年に何としても絡みたいと思っています。
そう考えるようになったきっかけは、2019年のワールドカップでした。大学の寮でみんなで試合を見ていたんですけど、自分もこういう存在になりたい、こういう舞台に立ちたい、と思うようになって。これまで年代別の代表に選ばれたことが一切ないので、最初の代表が正代表、を狙っています。

――これまで星野選手にとってターニングポイントとなった試合、ラグビーへの向き合い方が変わったような試合はありますか
大学3年生の秋、初めての関東大学リーグ戦出場となった関東学院大学戦です。
リザーブから出たのですが、自分を買い被りすぎて全然パフォーマンスを出せなかったんですよね。自分としては「いける!」と思っていたのに、全然ダメ。試合後めちゃくちゃ怒られて、チームも2つぐらい落とされたことがありました。自分がチームに貢献するのは、やっぱり得意なスクラム。だけどそのスクラムが全くダメで、そのせいで余計にフィールドプレーもダメになってしまったんです。正直ラグビー辞めようかな、と思う程でした。
でもそこで気持ちを切り替えられたことが、今に繋がっています。やっぱり継続して愚直にプレーしないとダメだ、と再認識し、努力を重ねたら監督から再びチャンスをもらえて試合に出してもらえるようになって。その後、結構試合に出してもらえるようになったんです。『やらずして後悔より、やって後悔』根性で息を吹き返しました。

学生時代は声出し番長。スキル云々ではないからこそ、ヒートでも積極的に練習から声を出し、チームに認められたい 【三重ホンダヒート】

「星野が試合に出てよかった」と思ってもらえる選手に

――三重ホンダヒートに加入した理由を教えてください
1番最初に声を掛けてくれたのがヒートでした。練習見学に行った時に若手選手たちが多かったこと、そして最初の練習で辻惇朗さんが喋りかけてくれたことが印象的でした。ここでテッペン取りたい、と思ったことが決定打です。

――ヒートに加入し5ヶ月が経ちました。来たる2022-2023年シーズンに向けて、どういうモチベーションでいらっしゃいますか
僕、決めていたことがあったんです。まずは2021-2022年シーズンで、公式戦2試合に必ず出る、って。でもそれは叶わなかった。入替戦でチームが負けてしまったことも悔しいですし、甘い世界ではないと分かってはいたけれども、それでもやっぱり試合に出られなかったことが悔しかったです。
だからこそ今シーズンの開幕戦には絶対絡むぞ、というモチベーションで今はトレーニングをしています。やれることをやって、常に毎日いい準備をして、開幕を迎えられるようにしようと思います。

――開幕戦に絡む、という目標に向かって、現在地はどのあたりでしょうか
まだまだ全然下です。10段階だったら、まだ半分も行ってないです。もっとやることがありますし、しっかり練習してスキルを身につけて、体も大きくして。今やれることは全部やりたいタイプなので、やりきりたいと思います。

――ここから先の3か月、伸ばしていきたいところはどこでしょう。そしてヒートの中でどういう存在になりたいか、教えてください
「星野がいたらなんか元気出るな」とか「星野が試合に出てよかったな」って思ってもらえるような選手になりたいと思っています。
そのためにも伸ばしていきたいところは、もちろんスクラム。そして自分の苦手としているフィールドプレーでも最低基準は必ず超えること。戦える準備をしていきます。

――開幕戦でのメンバー入りを楽しみにしています。最後に、ファンの皆様へメッセージをお願いします
今年ヒートに加入した星野克之です。まだ試合には出ていませんが、必ず今シーズン試合に出て、チームに貢献し、D1に上がります。応援よろしくお願いします!

夢はあったかい家庭を作ること、お持ちになること。熱さと温かさを併せ持つラグビープレーヤーである 【三重ホンダヒート】

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ジャパンラグビーリーグワン所属の『三重ホンダヒート』の公式アカウントです。三重ホンダヒートに関する試合情報や選手情報など様々なコンテンツをお届けいたします!

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