「頂点を、つかむ。」マリーンズ戦記4月10日 完全試合達成で波に乗る

千葉ロッテマリーンズ
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【千葉ロッテマリーンズ井口資仁監督】

 その瞬間をベンチから見守った。心の内は緊張というよりはワクワク。指揮官には背番号「17」の可能性とポテンシャルを誰よりも信じてきたからこその確信があった。4月10日のバファローズ戦。佐々木朗希投手が本拠地ZOZOマリンスタジアムで偉業が達成した。その瞬間、井口資仁監督は「ヨシ!」と野太い声を上げた。実に94年の槇原寛己(巨人)以来、28年ぶり。21世紀に入って初めて。令和初の快挙となった。これだけでは終わらない。13者連続奪三振は日本新(メジャーも10者で世界新)。19奪三振はプロ野球最多タイとなった。

 「ドラフトの時から、こういうようなすごいことが出来る投手だと思っていた。その能力は誰もが分かっていること。それにしても朗希につきる。三振数もそうだけど、九回までしっかりと投げ切れた。それが完全試合。素晴らしい投球。いずれはやると思っていたけど、こんな早い段階でできるとは思わなかった」。試合後の井口監督は興奮したようにまくし立てた。

 現役時代にはメジャーで偉業達成に立ち会ったことや、やられた思い出はある。そんなことも、ふと思い出された。

 「立ち会ったのはアメリカでバリーが投げていた時。守っている方も凄い緊張感。こういう経験、なかなかないからね。みんな、いい経験になったと思う」と指揮官は満面の笑みを浮かべる。

 完璧な投球だった。打者一人あたりに費やした球数は3.8球。平均球速は159.8キロ。すべてを支配したかのような投球に井口監督も感嘆の言葉を並べる。

 「ファウルをとりながらカウントを稼いでそこからしっかりと決め球で勝負。本当に一回から九回まで徹底していた。全体的にコントロールもよかったし、スライダーでもしっかりとストライクをとれた」と井口監督は振り返った。

 少しだけ心配したのはスタンドがザワザワし球場の雰囲気が変わり始めた七回。だから佐々木朗のピッチング練習から注視した。

 「どうなのかなあと思ったけど、朗希が普通通りに投げていたので良しと思った。途中で追加点が入ったことでみんなが楽な気持になったと思う」と井口監督。心配は無用。杞憂に終わった。

 チームはこれで7勝6敗の貯金1。偉業と共にチームは大きな上昇気流に乗ろうとしている。

 「次の登板でもこういう風に投げてもらいたい。そして本当にみんないい経験をした。朗希自身が一番素晴らしい事だが、チームにとってもプラス。乗っていきたい」

 井口監督と選手たちが見据えるのは頂点。完全試合という28年ぶりの偉業を刺激に変え、チーム全体でさらなる波に乗っていく。

 春の陽気に誘われ令和の怪物が乱舞したZOZOマリンスタジアム。20歳の若者の快挙に日本中が沸いた。マリーンズムーブメントをさらに加速させ続けていく。秋にはリーグ優勝というさらなる歓喜が待っている。その中心に若き令和の怪物がいる。
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