「頂点を、つかむ。」マリーンズ戦記 4月8日バファローズ戦 エースのマウンドさばき

千葉ロッテマリーンズ
チーム・協会

【千葉ロッテマリーンズ井口資仁監督】

 1球1球丁寧に、顔色一つ変えず冷静に抑えていった。4月8日、昨年王者のバファローズ戦。エースのマウンドさばきを井口資仁監督はベンチで頼もしそうに見守った。安心して見ていられる抜群の安定感があった。

 「なんといってもしっかりと石川が八回まで投げてくれた。ちょっと球数は多かった方ですけど、しっかりと打ち取ってくれた。本当にエースらしい投球だった」

 試合後、指揮官は何度も「エース」と口にし、最高の賛辞を並べた。100球に近づいての八回のマウンド。それでも迷わず送り出した。

 「エースだから八回もしっかりと投げて欲しいという思いで送り出した。しっかりと自分の持ち味で打ち取ってくれた」と振り返る。

 8回を投げて111球、被安打4、無失点。スタンドのファンも、ベンチも、守っている野手も安心をして見ていられる惚れ惚れするようなピッチングを続けた。

 「一番安定感ある。自分の持ち味で打ち取ってくれている。今年は三振をとるというより、ゴロを打たせて打ち取るという形を確立できている。ここ一、二年の投球スタイル。早いカウントでファウル打たせて、ゴロを打たせてというスタイル。素晴らしい」と井口監督は何度も頷きながら話をした。

 開幕投手に指名し、本人に伝えたのは2月20日。浦添でのヤクルトとの練習試合の試合前に電話で石垣島のB組キャンプに残留し調整をしていた石川に想いを伝えた。

 「わかりました。頑張ります」。
 
 背番号「12」はいつも通りの淡々とした口ぶりで3度目の栄誉を受けた。ただ、その表向きとはまったく違う熱さを持っている男であることを指揮官は知っている。

 「クールそうに見えて一番、気持ちを持っている選手。去年はシーズン中に手術をして悔しかったと思うし、今年に賭ける想いもあると思う。そういう意味で開幕投手を任せた。今年は一年間、こういう感じでやってくれると思う」

 頂点だけを目指す2022シーズンにおいて井口監督は背番号「12」が中心となり引っ張ってくれることを信じ、指名した。長いシーズンを石川というエースと共に歩む。
 
 まだ少し肌寒さが残るナイター。それでも大きな手ごたえを感じる一戦だった。エースが八回まで0を並べ、七回には主砲のレオネス・マーティン外野手が打った瞬間にそれと分かる1号2ランで先制をした。

 井口監督は「マーティンは徐々に状態はよくなってきていた。一発出て気持ち的にも楽になったと思う。マーティンが上位で打ってくれないとなかなか得点力が上がってこない。正直、6番を打つ選手ではない。奮起してくれたと思う」と目を細め、これをキッカケに大爆発してくれることを期待した。

 そして忘れてはいけないのが八回の攻撃だ。一死から藤原恭大外野手が左前打。安田尚憲内野手が右前打で続いて一、三塁。レアード内野手が中前適時打。代走和田康士朗外野手の盗塁を挟んで佐藤都志也捕手が中前に2点適時打。頼れる助っ人と若手選手たちの溌剌としたプレーで3点を奪い、試合を決定づけた。「攻撃の中で足もしっかり絡めてウチらしい攻撃が出来た」と指揮官が満足げに振り返る。

 昨年はマジックを点灯させながら最後の最後。141試合目で敗れ、バファローズにリーグ優勝を許した。その相手に見せた最高の野球。「頂点を、つかむ。」。悔しさを糧に進化を遂げつつある千葉ロッテマリーンズの姿がハッキリと見えた一日となった。

 「明日以降も、しっかりと投手陣にゲームを作ってもらいながらチャンスでしっかりと援護をして勝っていきたい」と指揮官。5年目に結実の時を迎えようとしている井口野球。頂点を目指しタクトも冴える。

 今年の千葉の桜はマリーンズの栄光を予感しているかのように奇麗に咲き誇り、雨にも散ることなく凛と咲き誇っていた。雨にも風にも負けず強く、人を感動させる風靡な、その姿はまさに今のマリーンズと似ている。春爛漫。マリーンズの未来は明るく美しい。
  • 前へ
  • 1
  • 次へ

1/1ページ

著者プロフィール

球団に関するニュース、球団広報によるコラム、オフィシャルライターによるチームのこぼれ話や球団情報をお届けします。お楽しみに!!

新着記事

編集部ピックアップ

おすすめ記事(Doスポーツ)

記事一覧

新着コラム

コラム一覧

日本オリンピック委員会公式サイト

JOC公式アカウント