スポルティングCP、19年ぶりのリーグ優勝決定! 守田英正所属サンタ・クララは欧州カップ戦出場に迫る【リーガNOS第32節レビュー】
【©LigaPortugal】
リーガNOS(ポルトガル1部)の第32節が現地8日から12日にかけて開催された。日本人選手たちもプレーした今節の全9試合のレビューをお届けする。
ポルトはリーグ2連覇ならず 【©LigaPortugal】
逆転優勝へ一縷の望みを残していたポルトは序盤からエンジン全開でゴールラッシュを披露した。相手のハンドによって獲得したPKをFWメフディ・タレミが決めて6分に先制すると、14分にはタレミの股抜きスルーパスに抜け出したFWトニ・マルティネスが加点。さらに20分、再びタレミのスルーパスからMFルイス・ディアスが3点目を奪う。29分にはファレンセのMFビレルが危険なタックルで一発退場となり、勝負はほぼ決まってしまった。後半に入ると59分にタレミが2点目を奪い、ポルトのリードは4点に広がる。そして84分、GKアグスティン・マルチェシンからの矢のようなパントキックに抜け出したMFジョアン・マリオが自らペナルティエリア内まで持ち込んで5点目。89分に1点を返されるも、ポルトが5点奪っての快勝を収めた。この試合後までポルトには逆転優勝の望みが残されていたものの、他会場でスポルティングCPが勝利したため、2連覇を達成することはできなかった。また、ファレンセ戦直前に長年チームを引っ張ってきたFWムサ・マレガの退団とサウジアラビア移籍が発表に。次期エースとして期待されるタレミは2得点2アシストの大活躍で、来季への大きな希望をもたらした。
【パソス・デ・フェレイラ 1-1 マリティモ】
序盤から多くのチャンスを作ったパソス・デ・フェレイラは、12分に先制ゴールを奪う。MFブルーノ・コスタが蹴った左コーナーキックを、ニアサイドに走り込んだFWエウデル・フェレイラが頭で逸らし、最後はMFルイス・カルロスがヘディングシュートで押し込んだ。しかし、チャンスの数で圧倒しながら前半のうちに追いつかれてしまう。40分、マリティモはDFクラウディオ・ウィンクが右サイドからクロスを上げると、ペナルティエリア内でFWジョエル・タグエウがヘディングシュート。ゴールまで距離のあるフィニッシュになったが、ボールは両ゴールポストに当たってGKを翻弄し、ゴールラインを超えた。後半もパソス・デ・フェレイラがより多くの決定機を生み出したものの、勝ち越しゴールを奪えず。アウェイで貴重な勝ち点1をもぎ取ったマリティモは自動降格圏の17位から勝ち点差6ポイントまで遠ざかり、残り2試合での1部残留確定に大きく前進した。
【ジル・ヴィセンテ(藤本寛也所属) 1-1 スポルティング・ブラガ】
前節終了時点で4位以上が確定していたスポルティング・ブラガは、開始早々に先制に成功する。9分、MFガレーノが左サイドからクロスを上げ、逆サイドを駆け上がっていたMFリカルド・エスガイオの折り返しにMFリカルド・オルタが詰めてゴールネットを揺らした。その後もブラガは速攻を中心にチャンスを作っていたが、追加点を奪えない間にセットプレーから失点してしまった。29分、ジル・ヴィセンテのMFクロード・ゴンサウヴェスがコーナーキックのこぼれ球に反応してペナルティエリア外から強烈なミドルシュートを見舞う。これにはブラガのGKマテウスも届かず、1-1のタイスコアとなった。1部残留はほぼ決まっているが、数字上でも確定させたいジル・ヴィセンテは逆転を目指したものの、後半もあまり多くのチャンスを作らせてもらえなかった。一方、ブラガもGKデニスを中心とした相手の粘り強い守備を崩し切れずドロー決着に。ジル・ヴィセンテに所属するMF藤本寛也は69分から3試合連続の途中出場を果たし、88分にはカウンターからゴールに押し込むだけのチャンスを迎えたが、シュートをふかしてしまい決め切れず。チームを勝利に導く絶好機を逃してしまった。
サンタ・クララは欧州カップ戦出場権獲得に迫る 【©LigaPortugal】
前半は比較的静かな展開だったが、後半の頭に大きく動いた。52分、高い位置でのMF守田英正のボール奪取をきっかけに、MFアンデルソン・カルバーリョがミドルシュートを放つ。これはGKに弾かれたが、こぼれ球にFWカルロス・ジュニオールが詰めてサンタ・クララが先制点を挙げた。守田はリーグ戦18試合連続のフル出場を果たし、ボール奪取からカウンターの起点になるパスや、シュートチャンスに直接つながるラストパスを連発するなど大きな存在感を発揮して1-0の完封勝利に貢献した。勝ち点3を積み上げたサンタ・クララは、欧州カップ戦出場圏内の6位に2ポイントまで肉薄。残り2試合のリーグ戦で逆転の可能性も十分にありそうだ。リオ・アヴェに所属するU-24日本代表FW食野亮太郎は77分から途中出場し、3試合ぶりにピッチに立って守田との日本人対決も実現した。
【ポルティモネンセ(安西幸輝&中村航輔所属) 1-2 モレイレンセ】
直近4試合で勝利のなかったポルティモネンセは、20分に元浦和レッズのFWファブリシオがPKを決めて先制に成功する。ただ、その後がなかなか続かず、前半終了間際の44分にセットプレーから追いつかれてしまった。モレイレンセはMFダビド・シモンのコーナーキックに、DFナウエル・フェラレシが頭で合わせて同点とする。後半もより多くのチャンスを作ったのはポルティモネンセだったが、粘ったモレイレンセは82分、自陣からのカウンターで相手を翻弄。FWアンドレ・ルイスのクロスにMFゴンサロ・フランコがヘディングで飛び込み逆転ゴールを奪った。ポルティモネンセに所属する日本代表DF安西幸輝はフル出場したものの、相手の2点目の場面ではクロスに寄せきれず、チームを勝利に導く活躍を見せられなかった。同クラブ所属のGK中村航輔はベンチ入りしなかった。
【トンデラ 1-3 ベレネンセス】
トンデラは開始3分、絶好調のFWマリオ・ゴンザレスの今季15得点目となる豪快な一発で幸先よく先制に成功する。追いかけるベレネンセスは12分にFWシルヴェストレ・ヴァレラがゴールネットを揺らしたものの、オフサイドで得点と認められず。それでも20分、ヴァレラのクロスにFWマテオ・カシエラが頭から飛び込み、2試合連続ゴールで同点に追いつく。その後も数こそ少ないものの、確実にシュートを枠内へ飛ばしてチャンスを作っていたベレネンセスは39分にMFミゲウ・カルドーソがPKを沈めて逆転に成功。後半の59分には中盤でボールを奪い、カシエラが右サイドをドリブルで独走。最後は技ありのループシュートでゴールネットを揺らし、リードを2点に広げた。90分間で18本ものシュートを放ったトンデラだが、決定機は少なく序盤の1点止まりに。ベレネンセスが会心の勝利で2試合ぶりの勝ち点3を手にした。
スポルティングCPは19年ぶりのリーグ優勝 【©LigaPortugal】
勝てばホームで文句なしの優勝を決められるスポルティングCPは、序盤にMFペドロ・ポロが負傷して交代を余儀なくされるアクシデントに見舞われる。だが、それで動揺するほどヤワなチームではなかったか。優勝決定戦ということもあり、多少の硬さが見られて決定機を外し続けていたものの、35分に先制ゴールを奪う。自陣からの縦パスを受けたMFジョアン・マリオがタメを作り左サイドへ展開。パスを受けたMFヌーノ・サントスの折り返しをFWパウリーニョが押し込んでゴールネットを揺らした。得点はこの1つだけだったが、リーグ最高の堅守を誇る守備陣が無失点でシャットアウト。ホームスタジアムの外で数多くのファン・サポーターが声援を送っていたなか、スポルティングCPは追いすがる昨季王者ポルトを振り切り、19シーズンぶりのリーグ優勝を果たした。最後の2試合で1つも負けなければ、無敗優勝のチャンスも残されている。
【ナシオナル 1-3 ベンフィカ】
ベンフィカは開始8分でコーナーキックからあっさり失点してしまう。その後も終盤まで最下位ナシオナルがリードしたまま推移していく。シュート数でも枠内シュート数でもナシオナルが上回っていた。しかし、最終的には強豪の底力が優った。78分、ベンフィカのFWハリス・セフェロヴィッチが放ったシュートに先制点を挙げたDFペドランが触ってしまいオウンゴール。そして81分、86分と途中出場のFWゴンサロ・ラモスが立て続けにゴールを奪って一気に逆転に成功する。出場機会に恵まれずくすぶっていた若手ストライカーの大活躍によりベンフィカは土壇場の逆転勝利を収めた。
【ヴィトーリアSC 1-2 ファマリカン】
絶不調ながら何とか6位をキープしてきたヴィトーリアSCは、欧州カップ戦出場圏内から陥落の危機だ。開始6分でFWブルーノ・ドゥアルテのゴールで先制したが、21分にカウンターで崩されて追いつかれてしまう。ファマリカンは右サイドを崩し、元ベガルタ仙台のFWアレシャンドレ・ゲデスのクロスに合わせたMFボジダル・クラエフが同点弾を決めた。その後、ファマリカンのチャンスはヴィトーリアSCのGKブルーノ・ヴァレラが何とか食い止めていた。それでも耐えきれず、85分に決壊してしまう。途中出場のFWエリベルト・タバレスが豪快なミドルシュートを叩き込み、ファマリカンが終盤に逆転。そのまま勝ち点3を手にした。敗れたヴィトーリアSCと7位サンタ・クララとの勝ち点差は、残り2試合で2ポイントに。日本代表MF守田英正を擁するクラブに逆転で欧州カップ戦出場権を持っていかれるシナリオが現実味を帯びてきた。
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