「だれだって最初は初キャップだった」クボタスピアーズ トップリーグ2021 第4節 マッチプレビュー
【【クボタスピアーズ(ラグビー)】トップリーグ2021第4節 マッチプレビュー】
1年前の早朝の出来事
クラブハウスで、スーツ姿にネクタイを結びながら出てくる大男の姿があった。
松井丈典選手だ。
まだ薄暗い早朝、少し肌寒い気温の中、松井選手の額には少し汗が光っていた。
どうやら出勤前にトレーニングをしていたらしい。
そして、その日の夜。薄暗くなったクラブハウスにまた松井選手がいた。
早朝に引き続き、この日2度目のトレーニングをするらしい。
早朝から千葉県船橋市のクラブハウスでトレーニングをして、満員電車に揺られ、東京都中央区の職場で業務、その後また電車でクラブハウスに戻り、トレーニング。いったい帰りは何時になるか。
これはちょうど1年前の出来事だ。
1年前のトップリーグがどのような状況だったか、覚えている方も多いだろう。
2020年2月26日に発表されたトップリーグ2020第7節・第8節の延期、そして3月9日に発表されたトップリーグ2020の休止を経て、3月23日に正式にトップリーグ2020の大会中止が決定された。
それまで築いてきたチーム作り、上げてきたパフォーマンや体力、これからという時期にぽっかりと心に穴が空いてもおかしくない状況だった。
そんな状況にも関わらず、自分がやるべきことをやり続け、真っ直ぐに自分の目標に向かって努力をする松井選手を見て、こちらが元気をもらったのを覚えている。
それから1年。
松井選手はトップリーグ第4節で公式戦初のメンバー入りを果たす。19番、ロックのリザーブ番号だ。
この試合は4人の「特別な瞬間」を見ることができるチャンス
その起源や由来はここでは触れないが、そのキャップ数は選手の歴史といっても過言ではない。
昨シーズントップリーグ100キャップを達成したバツベイ選手は、クボタスピアーズの前に所属していた2チームを経て、10年以上かけて、この記録を達成した。
キャップ数は各選手にとって多い少ないはあるが、どんな選手に対しても共通していえることがある。
それは、「初キャップは特別である」ということだ。
当たり前だが、だれだって最初は初キャップだった
トップリーグ100キャップ以上を持つバツベイ選手も、クボタスピアーズを下部リーグ時代からルーキーとして出場し続けた立川主将も、日本代表として活躍したラピース選手も、どの選手にも初キャップはあった。
そして本節、その特別な初キャップを迎える選手が4名メンバー入りだ。
4番堀部選手、11番山崎選手、20番土谷選手のルーキー、そして前述の 19番松井選手だ。
きっとそれぞれ特別な思いがあって、人知れない努力をしたうえでの初キャップ。
なにより、これまで試合に出場してなかったこうした選手のおかげでチームの成長がある。
第4節は、トップリーグ2021リーグ戦の折り返し地点だ。
ここまで3戦を終えて、クボタスピアーズは3連勝、対するホンダヒートは3連敗中。
しかし、この試合はこの戦績は関係のない一戦になると予想する。
このカードはいつだって点数の取り合いの激戦だ。
相手のアグレッシブなアタックは勢いに乗せたらやっかいだ。
特に前半の入りは重要で、ここで先制は許したくない。
前半の入りからノーサイドまでいかに80分間ゲームをコントロールするかがポイントとなる。
クボタの得意とするセットプレー(スクラム・ラインアウト)の支配と、エリアのコントロール、そしてひとりひとりのハードワークからなる粘り強い攻撃の継続をすることができれば、優れたスキルと判断力を持つバックス陣がスコアを重ねてくれるだろう。
また、ディフェンスではクボタのラインディフェンスに注目してほしい。今季のクボタスピアーズのディフェンスは、ラインスピードの早さが際立つ。
相手ボールの起点となった地点から、最終的にプレーが終了した地点までクボタスピアーズのディフェンスがいかに相手を前に出させなかったかを注目して頂きたい。
そして、ひとりひとりのひた向きなハードワーク。立っては起き上がり、すぐに次のプレーに参加する。
この姿は、自分のすべきことをやり続けることの大切さを垣間見ることができ、ちょっとした感動を得ることができる。
クボタスピアーズのトップリーグ第4節 ホンダヒート戦は3月14日13時キックオフ。
きっとこれからのクボタスピアーズを築く選手たちの初キャップという特別な瞬間を見ることができる貴重な一戦。
そんな特別な瞬間をぜひ見てほしい。
文:クボタスピアーズ広報 岩爪航
写真:チームカメラマン 福島宏治
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