クボタスピアーズ 「トップリーグの借りはトップリーグで」トップリーグ2021 第1節 マッチプレビュー

チーム・協会

【【クボタスピアーズ(ラグビー)】トップリーグ2021第1節 マッチプレビュー】

364日前のあの瞬間

クボタスピアーズの昨シーズンの試合でお気に入りの写真がある。

2020年2月22日 トヨタ自動車ヴェルブリッツとの一戦。
雨のパロマ瑞穂ラグビー場。
試合終了まで残り5分。
スコアは11対17でトヨタ自動車ヴェルブリッツがリード。
クボタスピアーズは敵陣ゴール前でペナルティキックのチャンスを得て、スクラムを選択。
その直前の円陣での写真だ。

トライ&ゴール成功で強敵相手に試合直前に逆転というシチュエーション。
チームを鼓舞する立川キャプテン。
スクラムの要、松波選手はスコアボードを見つめ、この後のスクラムの重要性を再確認する。
肩を組み合った選手たちは、キャプテンの話を聞きながら自分のやるべきことに集中する。
極寒の雨中、75分間戦ってきたとは思えない力強い後ろ姿と決意に満ちた表情。
全員が同じ目標を見つめ、同じ絵を思い描き、力を合わせようと団結する様子。
シンプルで、純粋で、美しさすら感じる。

そんな瞬間の様子を写したこの写真は、見ているだけでこちらも勇気づけられる。

この写真の後の結果としては、スクラムを押し込み、バックスに展開し、ウィングのホネティ選手がトライ。
難しい角度のゴールキックをフォーリー選手が決めて、18対17と逆転。勝利を掴んだかに思えた。

しかし、その後のリスタートでクボタスピアーズがペナルティ、相手ペナルティゴール成功で、再度逆転され、ノーサイド。最終スコア18対20で敗戦となった。

そう、それが364日前のことだ。

未だに、あの敗戦の悔しさは忘れられない。

いや、あの試合だけではない。
思えばいつだって記憶に残る試合は悔しい試合だったかもしれない。

トップリーグ2020の開幕戦だったパナソニックワイルドナイツ戦。
トップリーグカップ2019の決勝戦の神戸製鋼コベルコスティーラーズ戦。
トップリーグ2018-2019シーズンの順位決定戦のサントリーサンゴリアス戦。
それ以外の試合も、敗戦はいつだって悔しかった。

その度に、課題を修正し、より強くなって巧くなる。
そうしてチームも選手も強くなる。

「次こそは、次の試合こそは」

そんな思いがあるから、また頑張れる。痛くてもつらくても、またグラウンドに立てる。

言い換えれば、敗戦とは次の試合の大きなモチベーションの一つだ。

しかし、それが途切れた。

あの雨の日を最後に、トップリーグは中止となった。

悔しさを抱いたまま、シーズンは終わった。
それどころか、ラグビーどころじゃない時期もあった。
またラグビーができるかどうかの不安もあった。

数々の苦難を乗り越えて、チームは新しくなった。新たな仲間も加わった。
チームは30週を越える時間を共に過ごし、強化を進めた。
合計9試合のプレシーズンマッチを計画通りに実施し、万全の状態で開幕を迎える。

社会も変わり、環境も変わり、応援スタイルも変わった。
けれど、選手たちが見つめるものはいつだって変わらない。
364日前と同じように、いつだって純粋に勝利を目指している。
その瞬間の連続を、また見ることができることに感謝したい。

そして、トップリーグはラストシーズン。
トップリーグの借りは、トップリーグでしか返せない。

トップリーグ初開催の成田で、ラグビーの魅力バラエティセットを体感できるかも!?

そんな記念すべきトップリーグ2021の開幕戦は、初のトップリーグ試合開催となる成田市中台運動公園陸上競技場で14時キックオフ。

今季のクボタスピアーズは、例年通りどこからでもトライを取れる仕上がりになっている。

また、相手のボールを動かすラグビースタイルを考えると、ラグビーの様々なプレーの魅力を一試合で体感できる貴重な機会になるのではないかと予想する。

まずは、この一戦のポイントとなるフォワード8人のセットプレー(スクラム・ラインアウト)を起点としたプレーに注目したい。

この点は、昨シーズンの同カードでのマッチプレビューの言葉をそのまま引用するなら「いかに面白くないラグビーをするかがポイント」といえるだろう。(詳細は文末のリンクをご覧ください。)

ラインアウトでは、4番デーヴィッド選手、5番ボタ選手がリードして攻守ともに空中戦を制圧してほしい。
また、ゴール前ではこの9試合のプレシーズンマッチでどの相手に対しても脅威を与え続けているラインアウトモール。

左:デーヴィッド・ブルブリング選手 右:ルアン・ボタ選手 【【クボタスピアーズ(ラグビー)】トップリーグ2021第1節 マッチプレビュー】

スクラムであれば、結集したクボタの固いパックに2番マルコム選手が加わったことで、攻撃の起点としてだけでなく、ペナルティを奪う術としても、有利に働くだろう。ちなみに、そんな大男たちの近くて狭いプレーを見るなら双眼鏡は必須。

こうしたフォワードを起点としたプレーで有利に立てば、9番井上選手、10番フォーリー選手のハーフ陣が判断良くバックスに展開し、外にできたスペースを見逃さないだろう。

しかし、上記の点は相手もしっかりと対策を立ててくるはず。
そうした中、特に前半は互いにペースの奪い合いが予想されるが、そこで大切なのはキッキングゲーム。当日は風がやや強い可能性がある。また、地面も固めで芝生も短め。ボールのバウンドも気になるところだ。どちらがキックを上手に使ってエリアを取るかも見どころの一つかもしれない。

また、相手はボールをよく動かし、アタッキングなラグビーを仕掛けてくる。全員がゲインを切りに行くランプレーは注意したい。だからこそ、注目したいのはクボタスピアーズのディフェンス。今季のクボタスピアーズディフェンスは速く激しい。

12番立川選手、13番テアウパ選手、23番クロッティ選手といった経験豊かなセンター陣がディフェンスラインをリードして、全員がタックルしては起き上がる。そして、ブレイクダウンでボールを絡む・獲る・ペナルティを奪う。ディフェンス面では、ディフェンスのセット〜タックル〜ブレイクダウンまでの一連のセットが見どころだ。

今季絶好調のテアウパ シオネ選手 【【クボタスピアーズ(ラグビー)】トップリーグ2021第1節 マッチプレビュー】

と、ほぼすべてのプレーを紹介したが、本試合はほぼすべてのプレーを楽しむことができる可能性が高い。スクラム・ラインアウト・キック・パス・ラン・ディフェンス。まさにラグビーの魅力バラエティセット。
トップリーグ2021第1節 クボタスピアーズvs宗像サニックスブルース戦は2月20日(土)14時キックオフ







文:クボタスピアーズ広報 岩爪航
写真:チームカメラマン 福島宏治

  • 前へ
  • 1
  • 次へ

1/1ページ

著者プロフィール

〈クボタスピアーズ船橋・東京ベイについて〉 1978年創部。1990年、クボタ創業100周年を機にカンパニースポーツと定め、千葉県船橋市のクボタ京葉工場内にグランドとクラブハウスを整備。2003年、ジャパンラグビートップリーグ発足時からトップリーグの常連として戦ってきた。 「Proud Billboard」のビジョンの元、強く、愛されるチームを目指し、ステークホルダーの「誇りの広告塔」となるべくチーム強化を図っている。NTTジャパンラグビー リーグワン2022-23では、創部以来初の決勝に進出。激戦の末に勝利し、優勝という結果でシーズンを終えた。 また、チーム強化だけでなく、SDGsの推進やラグビーを通じた普及・育成活動などといった社会貢献活動を積極的に推進している。スピアーズではファンのことを「共にオレンジを着て戦う仲間」という意図から「オレンジアーミー」と呼んでいる。

新着記事

編集部ピックアップ

おすすめ記事(Doスポーツ)

記事一覧

新着コラム

コラム一覧

日本オリンピック委員会公式サイト

JOC公式アカウント