スター性を感じる堂々たる立ち振る舞い。ロッテ藤原恭大には華やかな舞台がよく似合う。

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【初めてのヒーローインタビューで明快に受け答えをする藤原恭大外野手】

 プロ入り初めてのヒーローインタビューとは思えない落ち着いた話し方に驚いた方も多いだろう。10月16日のファイターズ戦でプロ2年目の藤原恭大外野手はZOZOマリンスタジアムのお立ち台に初めて導かれた。そしてインタビュアーの質問に明快に答え、スタンドにいるファンの心を掴んだ。

 高校時代から誰よりも注目を集め続きてきた。昨春の石垣島キャンプ、大阪桐蔭高校から鳴り物入りでマリーンズにドラフト1位で入団した背番号「2」の周りには、いつもテレビカメラがあった。並みの新人であればプレッシャーを感じるところ。だが、彼は違った。泰然自若。18歳にして臆することなく自らのスイングを繰り返していたのが印象的だった。

 「それは高校時代の指導のおかげだと思います。カメラとかお客さんとかは意識しないのではなく意識しながらやっていましたから」

 藤原はそう言って大阪桐蔭高校時代の西谷浩一監督の指導方法に感謝をする。名門中の名門である母校のグラウンドには毎日のようにマスコミが取材に来ていた。通常であれば「気にせず練習をしろ」と選手に指示するところだが、西谷監督は違った。

 「甲子園では多くのファン、テレビカメラの前で行う。いつも見られていると思って練習をしろ。せっかくの機会なのだからテレビカメラを向けられていることを意識すればいい」

 この言葉が入学したばかりの藤原の心に響いた。元々は人見知りで目立つことは得意ではなかったが目標としている甲子園優勝のためには避けては通れない道であることを理解した。だから、いつもマスコミの姿をグラウンドで見つけるとここぞとばかりにアピールした。人前でどのようにすれば能力を発揮することが出来るかを考えるようになった。

 「慣れたからといって大観衆の前で緊張しないということはさすがにありません。だから、緊張する中でどこまで自分のプレーを出来るかを考えながら取り組みました。甲子園に何回も出させてもらって、いい緊張感を感じることが出来るようになった。緊張をある程度、楽しめるようになりました」と藤原は言う。

 昨年1月6日に大阪桐蔭高校グラウンドで行ったマスコミ向けの自主トレ公開にはテレビ、新聞など大勢のメディアが集結した。その中で当初は予定されていなかったフリー打撃のメニューを組み込むと、まだ慣れない木のバットでフルスイング。場外まで打球をかっ飛ばし、大きな話題となった。プロ入り決定後、木のバットで場外まで打球を飛ばしたのはこれを入れてわずか2度。その2本目は大勢のマスコミの前で見せた。2月1日にキャンプイン。初日から紅白戦が行われるなど様々な形で実戦形式の打席に立ってきた。しかし17打数無安打。それでも本人には焦りはなかった。石垣島キャンプを打ち上げた後に行われる沖縄本島での実戦に照準を合わせ、試行錯誤を繰り返し、打撃の形を作り上げてきた。そして北谷で行われた2月14日のドラゴンズとの練習試合。日本プロ野球チームとの対外試合初戦とあって多くのマスコミが駆け付ける中、3安打猛打賞の2打点で文句なしの結果を見せつけた。

 「今日から日本のプロチームとの対戦だったので。今日からは結果にこだわろうと気持ちを入れていました。ここからの試合はしっかりとヒットを打って結果を出そうと考えていました」

 試合後にグラウンドで行われた会見では涼しげな表情を見せた。してやったりとばかりの凛とした面構え。若者の堂々たる立ち振る舞いに末恐ろさを感じた。

 藤原は高校3年になった時に「ドラフト1位指名される選手になる」という目標を掲げ、それを実現させた。マリーンズがドラフト会議で3球団競合の末、クジで引き当て交渉権を獲得させた時、新たな目標を自分に約束した。
 
 「あの日、マリーンズとファンに、ここまで期待してもらっている以上、絶対に日本を代表する選手にならないといけないと思いました。だからインタビューで聞かれた時は『なりたい』ではなく、『日本を代表するプレーヤーになる』と答えています」
 
 大志を抱く若者はプロ2年目、チームが窮地の後半戦に一軍に昇格すると切り込み隊長役を見事に果たしている。プロ1号本塁打と2号が先頭打者本塁打という偉業をやってのける辺りに千両役者ぶりを感じる。順風満帆。もちろん先には、いくつもの苦難や壁は待ち構えているだろう。それでもこの若者ならどんな困難も乗り越え、成長してくれるはずだ。藤原恭大、20歳。若くして、その背中はオーラが漂う。若者は大きな夢を追う。そしてその姿にファンは夢を抱く。

文 千葉ロッテマリーンズ広報室 梶原紀章
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