ウォーミングアップを開始しようとした矢先の事だった。雨がポツリポツリと降りだすとすぐに室内での練習に切り替えた。まだ空は明るく少し太陽も姿を現している状況下での素早い切り替え。室内練習場への移動の車中で井口資仁監督はつぶやいた。

　「やっぱり振ってきたね。ここから本降りになるよ。凄い雨になる」

　正解だった。室内練習所への移動が完了して１０分も立たないうちに雨は勢いを増した。大粒の雨が天井に叩きつけられる音が室内練習場にこだました。井口監督はいつも入念に天気予報をチェックしている。スマホのサイトなどを駆使し事前に予想。第２クール２日目となったこの日も曇り空が続くという予報もある中で、雨雲レーダーなどから午前中から強い雨が降り出すという予想を導き出し、万が一に備え、最悪の場合の練習メニューのシュミレーションを行っていた。だから、いざ振り出しても慌てない。室内へ移動し軽めのメニューへと切り替えた。

　「キャンプも６日目でちょうど疲れも溜まってくるころ。ちょうどいい休養になるかもと考えていた。これで良かったと思う」

　これぞ井口流リスクマネジメント。事前の備えと心の準備はピタリとハマった。指揮官の狙いに応えるように選手たちは午前中、しっかりと体を動かし、早めに球場を後にした。８日からは台湾プロ野球・楽天モンキーズとの恒例の２連戦が始まる。

　「若い選手中心で実戦感覚を取り戻す。結果は気にしない。おもいっきってやって欲しい」と井口監督。久々の実戦でのタクトに腕をぶす。新しいマリーンズの戦い方を見せる。

文　千葉ロッテマリーンズ広報　梶原紀章