チームのつなぎ役を担ったのは? 各球団の犠打数トップ5に入った選手たちを振り返る

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福岡ソフトバンクホークス・今宮健太選手 【写真:球団提供】

縁の下の力持ちとしてチャンスを拡大する選手は、各球団に必ず存在するもの

 自らを犠牲に得点圏へ走者を送る「送りバント」は、いつの時代においても日本球界で重視される戦略であり続けている。昨季のパ・リーグでも全てのチームが年間90個以上の犠打を記録しており、縁の下の力持ちとしてチャンスを拡大した選手も多く存在していた。

 今回は、2024年のパ・リーグ各球団において、チーム内でトップ5に入る犠打数を記録した選手たちの顔ぶれを紹介。打線のつなぎ役として堅実に仕事を果たした面々について振り返るとともに、2025年も職人としてチームに貢献する選手たちの活躍に期待を寄せたい。

北海道日本ハム

北海道日本ハム 2024年のチーム内犠打トップ5 【©PLM】

 チーム全体の犠打数はリーグ2位の115個に及び、11個以上の犠打を記録した選手も5名存在。これらの数字からも、意表を突くスクイズのような奇抜なアイデアを就任初年度から多用してきた新庄剛志監督のチーム作りが、着実に実を結びつつあることがうかがえる。

 また、チーム内で犠打数がトップ5に入った選手のうち、規定打席に到達したのは松本剛選手ただ一人だった。水野達稀選手、田宮裕涼選手、上川畑大悟選手はいずれも主力として出場を重ねたが、わずか62試合の出場で12犠打を記録した伏見寅威選手に代表されるように、自らの役割を堅実にこなす選手の多さもチームの躍進を支える要素となっている。

東北楽天

東北楽天 2024年のチーム内犠打トップ5 【©PLM】

 小深田大翔選手がリーグトップタイとなる25犠打を記録し、太田光選手と村林一輝選手もそれに次ぐ23犠打を残した。チーム全体の犠打数もリーグトップの126個と、バントを多用して得点圏に走者を進めていく堅実な戦術が採用されていたことがわかる。

 また、二遊間のレギュラーを務めた小深田選手と村林選手、123試合で打率.266と活躍した鈴木大地選手と、犠打数上位5傑のうち3名が規定打席に到達した点もポイントだ。わずか68試合・172打席で13犠打を記録した石原彪選手の存在も特筆に値するが、主軸にあたる選手が多くの犠打を記録したことも、犠打を重視する昨季のチーム方針を物語っている。

埼玉西武

埼玉西武 2024年のチーム内犠打トップ5 【©PLM】

 昨季の埼玉西武はチーム安打数がリーグで唯一1000本を下回り、総得点もリーグ最下位の350と打線が苦戦を強いられた。そんな中でも、全143試合に出場してチームトップの打率.264を記録した源田壮亮選手が、犠打数もチーム1位の20個と堅実に仕事をこなした。

 また、古賀悠斗選手も主力捕手として105試合に出場しつつ、チーム2位の13犠打を挙げた。そして、炭谷銀仁朗選手はわずか49試合・103打席、滝澤夏央選手も68試合・137打席と、いずれも限られた出場機会で2桁の犠打を記録した。与えられた出番で着実に役割を果たした両選手は、まさに縁の下の力持ちと呼ぶに相応しい存在といえよう。

千葉ロッテ

千葉ロッテ 2024年のチーム内犠打トップ5 【©PLM】

 チーム全体の犠打数は最下位のオリックスと1個差の93個であり、チーム内の犠打数ランキングにおいても、4位の藤岡裕大選手が7個、5位の高部瑛斗選手が5個という結果に。これらの数字を鑑みても、チーム方針として積極策を取ることが多かったと考えられる。

 そんな中でも、小川龍成選手が20犠打、友杉篤輝選手が19犠打と、二遊間の主力を務めた2名がつなぎ役として多くの犠打を記録した。また、昨季は三塁手として出場を重ねた中村奨吾選手も11犠打を記録しており、藤岡選手も含めた内野陣の主力が得点圏に走者を進める仕事を果たしていた点は、打線の役割分担という観点で見ても興味深いポイントだ。

オリックス

オリックス 2024年のチーム内犠打トップ5 【©PLM】

 チーム全体の犠打数がリーグで最も少ない92個となっており、2桁の犠打数を記録した選手も2名のみ。主力に故障者が相次いだというチーム事情もあったものの、千葉ロッテと同じく、バントを多様せずに個々の選手に自由に打たせる方針を取っていたことがわかる。

 若月選手は打率.201と打撃面では苦しんだが、犠打数は直近5年間で最多となる19個を記録。宗佑磨選手もチーム2位の11犠打を記録しており、両選手ともに昨季までとはやや異なる役割でチームに貢献している。また、わずか51試合・176打席でチーム3位タイの8犠打を記録した大里昂生選手の存在も、犠打の少ないチームにあって異彩を放っている。

福岡ソフトバンク

福岡ソフトバンク 2024年のチーム内犠打トップ5 【©PLM】

 リーグトップタイの25犠打を記録した今宮健太選手をはじめ、2桁の犠打を記録した選手が5名存在。打率、本塁打、得点の全てでリーグトップの数字を記録した強力打線にあって、つなぎの役割をきっちりと果たす選手が少なからず存在した点は特徴的といえる。

 また、今宮選手、栗原陵矢選手、周東佑京選手の3名はいずれも規定打席に到達したうえで、打率.260以上と一定以上の打撃成績を残した。20本塁打を放った強打者の栗原選手も含めて、多くの主力選手が必要に応じて犠打をこなしていたことがわかる。そして、わずか156打席で10犠打を記録した、川瀬晃選手のバイプレーヤーぶりも見逃せないところだ。

2025年シーズンも、堅実に走者を進めるバント職人たちの活躍に期待したい

 規定打席に到達した選手が各チームの犠打数トップ5に入る割合はやや少なく、200打席以下で10犠打を記録した選手が少なからず見受けられた。その一方で、東北楽天と福岡ソフトバンクの2球団では、規定打席に到達したうえで2桁の犠打を記録した選手がそれぞれ3名存在。これらの数字から、チームごとの方針の違いが見て取れる点も興味深いところだ。

 2025年も与えられた機会で堅実に犠打を決め、チームに貢献する選手が多く現れるか。節目の通算400犠打まであと5個に迫っている今宮選手をはじめ、多くの「バント職人」たちが磨き上げた技術でチャンスを拡大する姿に、今季もあらためて注目してみてほしい。

文・望月遼太
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