バドミントン全英OPで15カ月ぶりV シダマツペア、躍進の背景に助言と休養
全英オープンは、年間に4大会しか開催されないBWF(世界バドミントン連盟)が主宰するワールドツアー最高レベルのスーパー1000。1899年創設と圧倒的に歴史が古く、1977年に世界選手権が創設されるまでは世界一決定戦として行われており、今でも世界中の競技関係者が特別視する大会だ。世界中から集った強豪の誰もが優勝を狙う。その中で、2人は伝統のシャーレを手にした。パリ五輪後のターゲットを、8月の世界選手権に設定している2人にとっては、自信を得られる大会となった。
積極性を増した志田、背景に金メダリスト松友美佐紀の助言
背景には、2016年リオデジャネイロ五輪の金メダリストである松友美佐紀(BIPROGY)の助言があった。1月、松山は2週間の休養を取り、志田は松友との即席ペアで国際大会に出場した。志田は「松友さんの隣に立つと、点を取りに行こうとするときに、自分のプレーがワンテンポ遅かった。どこかで気持ちが(ミスを恐れて)守りに入っていた。松友さんもそれを感じて、もっと、点数を取りに行く、自分が全部取りに行くんだという意識でやった方がいいと言ってくれた。(全英OPでは)積極的に行ってミスもしたけど、攻め続けた。そこで何ができるか、できないかも感じた。松友さんと組んでプラスになったことは、これだと思うので、結果として一つ恩返しができたかなと思う」と振り返った。
柔軟性を得た松山「自分の成長が目に見えて分かった」
負けん気が悪い方に働くと、相手のペースから抜け出せなくなるのだが、この大会での松山は冷静で、相手の勢いをかわす配球を狙った。普段なら強く打ち返す場面で柔らかく前に落ちる球を打ったり、前に突っ込もうとする相手の頭上から背後へ落とす球を打ったりと、相手を翻ろう。決勝戦では、パリ五輪後に日本代表同士で組み替えた福島由紀(岐阜Bluvic)/松本麻佑(ほねごり)の先輩ペアをファイナルゲームの末に撃破。松山は、特長を知っている相手に対策を打たれ、スピードを生かしたプレーは封じられたが、空いたスペースを突いて相手コート奥の角に決まる球を打つなど、状況判断に優れたプレーが多かった。志田が、プレー内容の感想のひと言目に「本当に、松山が強かったなとすごく感じた大会」と言うほど、速さに柔軟性を兼ね備えたプレーだった。