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【エナジックスポーツ】はじける「スマイルポップコーン」 ノーサイン野球で初切符(沖縄県)

毎日新聞

エース中心の守りに機動力を絡めた攻め

安定感があるエース左腕・久高颯投手 【平川義之撮影】

 2024年、沖縄に新風を吹き込んだ。春は沖縄大会で初優勝し、九州大会に初出場。夏は沖縄大会の決勝に進み、強豪の興南に延長戦の末に敗れたものの、珍しいカタカナ表記であることも含めて、その校名は高校野球ファンに広まった。

 沖縄2位で臨んだ昨秋の九州大会は、甲子園に昨夏まで3季連続で出場した神村学園(鹿児島)に初戦で競り勝って勢いに乗り、準優勝に輝いた。

 主戦左腕の久高投手は入学後から左肘のけがに悩まされ、1年冬に手術も受けた。昨秋に本格復帰し、速球は140キロを超える。チェンジアップ、スライダーなどの変化球は直球と同じ腕の振りから繰り出すため、相手は見分けるのが難しそうだ。

 久高投手は昨秋の公式戦全9試合のうち8試合に登板し、防御率0・88と安定感があった。「チームを勝たせる投球をする度胸もついた」と自信をのぞかせる。福本琉依選手ら左右の力のある投手が控えているのも心強い。

 昨秋のチーム打率は3割2分6厘。破壊力はないが、機動力を織り交ぜながらつなぐ攻撃を身上とする。選球眼の良さに加えて50メートル6秒と俊足のイーマン選手、球を捉える技術に秀でる平良章伍選手らが打線をけん引する。

有言実行した「3年で甲子園」 新たな南国旋風を巻き起こす

練習中も笑顔がはじける選手たち 【喜屋武真之介撮影】

 チームの持ち味は、「ノーサイン野球」だ。サインは出ないが、選手たちは盗塁やスクイズなど得点につながるプレーを確実に決める。平良選手は「相手にも気づかれないように一瞬で決める。そのために日々の(練習などで)選手間の意思疎通を密にしている」と説明する。

 創部時の目標は「3年で甲子園出場」。その目標通りに、創部3年目で春夏通じて初の甲子園切符をつかんだ。神谷監督は「ほら吹きかとも思われたが、目標を言い続けたことで選手の目の色も変わった。全員でチーム作りを進めてくれた成果」と目を細める。

 砂川主将は「本塁打はなくとも全国で通用するプレーを準備してきた」。地元・沖縄出身の選手が中心となる新興勢力は、「疾風迅雷(しっぷうじんらい)」をモットーに甲子園で激しく駆け回り、新たな南国旋風を巻き起こそうとしている。

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