前回大会を制した健大高崎のエース石垣に次ぐ存在は? 識者が選ぶセンバツの注目投手10選

西尾典文

奥村頼人(横浜/3年/左投)

制球力が高く、勝負どころでギアを上げて三振を取れるのも魅力だ。2年生の織田に注目が集まるが、横浜のエースナンバーを背負う奥村の投球にも期待したい 【写真は共同】

 下級生の織田に注目が集まるが、こちらも負けず劣らない好左腕だ。1年秋には主戦となり、昨年夏の神奈川大会ではエースとして3試合に先発。秋の関東大会は少し調子を落としているように見えたが、明治神宮大会では準決勝で強打の東洋大姫路を相手に7回無失点の好投を披露するなどチームの優勝に貢献した。

 無駄な動きのないフォームで制球力が高く、勝負どころではギアを上げて三振を奪えるのも持ち味。カーブ、チェンジアップなどの変化球で緩急をつけるのも上手い。クリーンアップを任されることが多い打撃のセンスも非凡だが、選抜ではエースナンバーの1番を背負う3年生として意地の投球を見せたい。

宮口龍斗(智弁和歌山/3年/右投)

 スピードに関しては石垣、織田に次ぐ存在となりそうな本格派右腕。昨年秋の県大会、近畿大会では全てリリーフでの登板ながら6試合、13回を投げて無失点と見事なピッチングを見せた。

 185センチ・87キロの堂々とした体格で、躍動感あふれるフォームから繰り出すストレートはコンスタントに145キロを超える。大型でもリリースの器用さがあり、スライダー、カットボールなど速い変化球で空振りを奪えるのも魅力だ。立ち上がりの制球には課題が残るが、四死球で自滅するようなことはない。今大会でも抑えでの起用が予想されるが、その豪快なピッチングにぜひ注目してもらいたい。

久高颯(エナジックスポーツ/3年/左投)

昨秋の九州大会では神村学園を7回まで無安打に抑える快投で、優勝候補撃破の立役者となったエナジックスポーツの久高。角度のあるストレートでコーナーを突く 【写真は共同】

 2022年4月創部の新興勢力をけん引するサウスポー。主戦となったのは昨年秋からだが、九州大会では全4試合に登板するフル回転の活躍でチームを初の甲子園出場に導いた。

 171センチと上背はないものの、がっちりした体格で安定したフォームが目を引く。右打者に対しても左打者に対してもしっかりコーナーを突くことができ、テンポの良いピッチングを披露する。昨年秋の時点でストレートは130キロ台後半だったが、左投手らしくボールに角度があり、その数字から想像する以上に打者が差し込まれることが多い。初めての大舞台でも臆せずに安定した投球を見せてほしい。

池崎安侍朗(明徳義塾/3年/左投)

球持ちの良い投球フォームから丁寧に低めを突いて、打たせて取るピッチングが身上。明徳義塾の左腕・池崎は、健大高崎との選抜初戦で真価を発揮できるか 【写真は共同】

 四国を代表する左腕は、小柄ながらも抜群の安定感を誇る。1年秋から主戦となり、昨年夏の甲子園では初戦の鳥取城北戦で完封、敗れた関東一戦でも3失点完投(自責点2)と見事なピッチングを見せた。

 昨年秋の四国大会では3試合を1人で投げ抜くと、明治神宮大会でも横浜を相手に2失点完投(自責点1)。継投が多くなっているなかで、これだけ投げられる投手というのはある意味貴重だ。スピードは130キロ台中盤でも球持ちが良く、丁寧に低めを突いて打たせて取る投球が光る。選抜の初戦では連覇を狙う健大高崎が相手となるが、強力打線を封じ込める可能性は十分にある。

長崎蓮汰(滋賀学園/3年/右投)

 高い将来性を感じさせる大型右腕。昨年夏の甲子園では登板機会はなかったが、秋からエースとなると近畿大会初戦では優勝候補の大阪桐蔭を相手に2失点で完投勝利をマークし、チームを選抜出場に導いた。

 細身でステップの幅も狭く見えるが、高い位置から腕が振れ、ボールの角度には素晴らしいものがある。小さいテイクバックで腕の振りが体から近く、左右のコントロールが安定。ここ一番でギアを上げられるのも持ち味だ。長身に見合うだけの筋力がついてくれば、まだまだスケールアップするだろう。選抜では出番のなかった昨年夏の悔しさを晴らす快投に期待したい。

(企画・編集/YOJI-GEN)

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著者プロフィール

1979年生まれ。愛知県出身。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究し、在学中から専門誌に寄稿を開始。修了後も主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間300試合以上を現場で取材し、AERA dot.、デイリー新潮、FRIDAYデジタル、スポーツナビ、BASEBALL KING、THE DIGEST、REAL SPORTSなどに記事を寄稿中。2017年からはスカイAのドラフト中継でも解説を務めている。ドラフト情報を発信する「プロアマ野球研究所(PABBlab)」でも毎日記事を配信中。

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