五十嵐亮太のプロ野球キャンプリポート2025

里崎智也×五十嵐亮太がセ・リーグの優勝争いを占う! 巨人・田中将大について意見は真っ二つ?

構成:スリーライト

沖縄でのキャンプ取材後に対談した里崎智也さんと五十嵐亮太さん。今年のセ・リーグの展望を占った 【写真:スリーライト】

 春季キャンプたけなわの2月中旬、朝から精力的に各チームの取材をこなした里崎智也さん、五十嵐亮太さんの2人が、沖縄・那覇市内でセ・パ両リーグの優勝争いについて激論を交わした。今年の注目チーム、注目選手を自身の目でチェックした2人の見解は? 前編の今回は、セ・リーグの展望を語り合ってもらった。

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巨人の上位は濃厚だが投手陣充実の中日も楽しみ

マルティネスが加入したことで巨人の中継ぎ陣はさらに充実。里崎さん、五十嵐さんも優勝候補に推した 【写真は共同】

――まずはセ・リーグの優勝争いを占っていきたいと思います。昨年優勝の巨人は15勝の菅野智之投手が抜けましたが、いかがでしょうか?

里崎 巨人はさすがに優勝候補筆頭でしょう。菅野の15勝をしっかりと補えるかどうかはわかりませんが、優勝候補筆頭なのは間違いないですね。

五十嵐 ブルペンの層が一気に厚くなりましたね。絶対的守護神のマルティネスが加入したことで9回をほぼ固定できる。これまで8回が少し不安定でしたが、その8回に大勢が入れば安定感が増します。8回、9回が固定されるので、6回、7回は今いるメンバーでなんとか乗り切れる。そうなると、先発投手の負担も減ってくると思います。先発投手がよければ、勝ったままで逃げ切れるイメージができます。マルティネスの存在がすごく大きいですね。

 一方でマルティネスが抜けた中日は、守り勝つ野球をやらなければいけないところで最後に投げる投手がいなくなった。昨年最下位で、なおかつ守護神退団。巨人とめちゃくちゃ対照的ですよね。ただ、今年の中日キャンプのブルペンを見て、投手陣の完成度は高いなと思いました。ブルペンでの内容もよかったし実戦向きの投手が多いように思えるので、基本守り勝つ野球がベースで、あとはやはり打つ方だと思います。バッティングは松中信彦打撃コーチが入ってどう変わっていくのか楽しみです。松中コーチの話を聞いていると、きちんと捉えたときは打球スピードも速くていい当たりをする選手が多い。でも捉える確率が問題で、そこをクリアすればすごく面白いチームになると思いますね。

意見が分かれる田中将大と甲斐拓也の評価

新戦力の田中将大について、里崎さんと五十嵐さんの意見がわかれた 【写真は共同】

――田中将大投手が巨人に入団。キャンプでも久保康生投手コーチと「魔改造」が話題ですが、どう見ていますか?

五十嵐 久保コーチとの関係の中でどれくらい変われるか。いいところを求めてもダメなんですよ。今までの自分が感じられなかったことを、いかにいい方向に変えていけるか。新しい刺激が入ることによって、田中の変わったピッチングが見られる可能性はあるのかなと思います。それはすごく楽しみ。近年は変化球の割合が増えてきている中で、真っすぐの強さを求めている。その真っすぐでどれくらいバッターを押せるか。すごく面白くなってくるでしょう。

里崎 僕はシーズンでも10日に1回くらい投げられればいいのかなと思います。ずっと言っていますが、(日米通算200勝までの)3勝はできると思う。全力で5回3失点でいいんですから。

五十嵐 それだと物足りなさを感じるし、本人もその気ではやっていないと思いますよ。やっぱり実際にシーズンで投げてみないとわからない。僕はそれなりにやれると思っていますが、中10日もあってもいいと思う理由は?

里崎 巨人は田中がいなければ優勝できないチームではないんですよ。プラスアルファの存在だと思っているんです。先発は十分にいますし、大げさに言えば3回まで投げればリリーフ陣が抑えてくれますから。だから、そこまで過度な期待はしないほうがいいのかなと。チームとしてのスタンスは「頑張ってくれたらラッキー」程度だと思います。

五十嵐 すごい! サトさん、すごく素直。確かに昨年1試合しか投げていない投手に対して多くを求めるのは荷が重いような気がしますよね。

里崎 逆に阿部慎之助監督が田中を計算に入れていたら危ないですよ。戸郷翔征、山﨑伊織、グリフィン、井上温大、あとは横川凱、赤星優志、西舘勇陽あたりのやりくりだと思うんですよ。そこに田中が入ってくる。

――ソフトバンクから巨人入りした甲斐拓也選手にはどんな期待を持たれていますか?

五十嵐 経験がある甲斐がセ・リーグの打者に対してどんな配球をするのか。元々巨人の投手たちは菅野もそうだったけど、データの取り方に関して自分たちでできる投手が多い。そうなると投手たちの元々持っているものをどう生かすかというところが大事になってくると思います。だからコミュニケーションがとても大事になるんじゃないかなと。甲斐が自分で考えた配球というよりは、お互いに話し合いながらやっていくんじゃないのかなと思います。

里崎 甲斐にとっては史上最大のプレッシャーがかかる1年ですね。存在意義が問われる1年になります。ソフトバンクにとって、甲斐の存在は大きかったのか、そうでなかったのかがわかってしまうんです。今年ソフトバンクが優勝すれば、別に甲斐の存在はそこまで大きくなかったことになる。一方で、巨人に来て優勝できなかったら結局、岸田行倫、大城卓三、小林誠司でよかったということになる。昨年はその3人でリーグ優勝しているので。そうなると甲斐がこれまで築いてきたものが「ソフトバンクが強かったから」ということになるんです。甲斐にとってソフトバンクが優勝を逃して巨人が優勝すれば最高、逆にソフトバンクが優勝して巨人が優勝を逃すと最悪ですね。

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