学生の夢を支援しチームと地域も活性化 徳島インディゴソックスのリモートインターン制度
学生の企画、希望することは形にしてあげたい
高島 はい、その通りですね。こちらの思いとしてもスポーツ業界で即戦力になるようにしてあげたいなと思っていますし、企画が実現して完遂することは学生たちのモチベーションにもなりますので、方向性を修正しながらでも形にしてあげるということは意識している部分でもあります。また、そのことを就職活動での武器にしてもらいたいなという思いもあるんです。ほかの学生たちがなかなかできないことをウチのリモートインターン生たちは経験できていると思うので、そうした強みを将来生かせるということも含めて形にしてあげたいと意識しています。
また、大仲さんのように現地での活動を希望する学生についても基本的には受け入れる形で進めています。実際の現地での活動についても、その学生がやりたい業務を任せつつ、僕たちの普段の仕事も見てもらってアドバイスするなど、学生の希望があれば上手く叶えられるように動いているというスタンスですね。
――そうして学生を育てていく中で何か工夫していることなどはありますか?
高島 妥協しない、ということが一番大事だと思っています。リモートインターンの活動の中では似たような作業が結構あると思うんです。それでインターンに入ってきたばかりの学生の作業を「これくらいでいいか」で済ませてしまうと、それが一つの基準になってしまう。入ってきて早々の子たちは大変かもしれないですが、そうした場面でもハードルを下げずに乗り越えてもらうように修正などをしていくと、学生たちも自身で基準をどんどん上げて行ってレベルも勝手に上がっていくので、工夫かどうかは分からないですが、そこを僕自身は意識していますね。
――リモートインターンの活動をしていく中で大変だったこと、また課題と感じていることなどはありますか?
大仲 今年からメンバーをまとめる幹部の一人として活動させていただくことになったのですが、やっぱりリモートということで対面ではない分、週1回の定例ミーティングでどれだけみんなのアイデアや意見を出してもらえるかが重要になってくると思うんです。ただ、全員がめちゃくちゃ意見を出すというわけでもないので、私個人の課題としてはみんなが意見を出しやすい環境を整えていきたいと考えています。
高島 大仲さんが話したことはリモートインターン制度を運営していく中での一番の課題になりますね。もう少し大きいところで言いますと、コミュニケーション。実際に会社に出社して「おはようございます」というコミュニケーションから始められる制度ではないですし、特にインターンに入ったばかりの子たちはこちらを信頼してくれるまでに少し時間がかかりますので、そこの距離感や温度感をどう縮めていくかという部分はオンラインならではの難しさですね。なので、去年くらいから例えば関東在住の学生同士で集まる機会を作るなど、リアルでの接点をちょっとずつでも持てるようにして課題を乗り越える試みをしているところです。
選手、ファンからも好リアクション
高島 発信する数は現地組だけでやるよりも間違いなく増えましたし、選手にフォーカスした動画などファンの方たちが待ち望んでいた企画を学生たちは上手く実現してくれたと思います。実は私たち球団の社員はこれまで4人で業務を回しておりましたので……。
――え、4人ですか!?
高島 そうなんですよ(苦笑)。営業なども含めて4人だけでやっていくと、やっぱりリソースが足りなくなっていきますので、SNSなどがおろそかになってしまうんです。でも今の時代、新規ファン獲得のためにSNSをおろそかにするのはナンセンスですので、学生たちがそこに繋がってくれるのはすごくありがたいところです。実際にインディゴのことをよく知ってくださっているファンの方たちはリモートインターン生たちが動画などを企画して出していることを分かっていますので、それをファンの方たちがまたSNSで拡散してくれるのも嬉しいですよね。学生たちが発信したものからファンの現地でのリアクション、ネットでのリアクションが広がるのは本当にありがたいと思っています。
――選手からのリアクションはどうでしょうか?
高島 それはもちろん大きいですよ。選手はやっぱり自分の動画が上がっていると嬉しいものじゃないですか。選手たちもよく見ていますから、「あの動画の編集は誰がやっているんですか?」とも聞かれますし、学生たちがやっていますよと教えると「それはすごいですね」という話も選手たちとするようになりました。そのことは学生たちにも共有していますし、選手たちのリアクションは学生たちにとっても大きいなと思っています。
――大仲さんはどうでしょうか? 本業の学生としても忙しい中、インターンをやって良かったなと感じることはなんでしょうか?
大仲 はじめのころは仕事をこなすことだけで必死でした。やることがたくさんありましたし、自分の生活リズムに合わせるだけでも大変で、どうしたら施策の効果が上がるとかまで考える余裕はなかったです。でも、PV動画制作など自分の仕事をこなしていく中で反応や反響をいただけた時は嬉しかったですし、個人的には現地で作業した時に「こういうチーム運営をしているんだ!」と学べたことが大きくて、気がついたら自分からどんどん意見を出していくようになっていました。やっぱり、そうした成果が目に見えた時や自分の成長を実感できた時はインターンをやってきて良かったなと思いましたね。
インターン主導でスポーツツーリズム企画
高島 僕自身、大仲さんのスポーツツーリズムの企画はすごく面白いと思っています。昨年、別のインターン生が球場の楽しみ方をまとめた記事を作ってくれたのですが、反響がすごく良かったんです。なので、球場だけじゃなくてインディゴソックス推奨の観光パッケージとして情報を出すことによって、お客さんの新たな導線を作れるのではないかと思っています。
また、地方にスポーツクラブがある意義の一つには経済効果があると思いますので、そこにも貢献できればいいなと思っています。地方の人口流出がなかなか止まらない中で、少しでも徳島のことを気にかけてくれる人をどんどん増やしていくことが一番大事。そのフックになるものがどんどんできたらいいなと思っているので、今回の大仲さんの企画は個人的にもすごく楽しみにしていますね。
大仲 この記事はシーズン開幕に合わせて公開します(編集部注:2月28日に公開されている)
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大仲 インターンとして活動しているメンバー全員が徳島県やチームに対してのアイデアをたくさん出して、現地には行けなくてもインターン生同士の活動をもっと増やしていって、徳島県やチームを盛り上げていける存在になれたらいいなと思っています。
――将来について何か見えてきたこともあるのではないでしょうか?
大仲 はい。プロスポーツチームで働きたいという気持ちがより一層強くなりました。インターンを通して地域密着型のスポーツチームの魅力や知識が深まったと言いますか、勝敗だけではない地域活性につながるスポーツの魅力を感じることもできたので、自分でもアイデアを出しながら地域全体を盛り上げられるような現場のスタッフになれたらいいなと今は思っています。
高島 インターン卒業生からは実際に即戦力としてスポーツ業界に就職する子がいるなど実績が出てきています。球団としても優秀なインターン生をどんどん輩出して、他のチームや組織から「徳島のインターンから新規採用の人材を引っ張っていきたい」と思ってもらえるような組織を目指していきたいですね。