横浜でハラトア劇場、イーグルスに逆転勝利し3位浮上!

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強風とミス、逆風をチャンスに変えたハラトア選手の活躍

ハラトア・ヴァイレア選手。日本体育大学柏高校⇒日本体育大学⇒クボタスピアーズ船橋・東京ベイ(2022年)。今週のバレンタインデーで26歳になる。 【クボタスピアーズ船橋・東京ベイ】

この試合をわかりやすく振り返る言葉はこの3つ。
強風、ミス、そしてハラトア・ヴァイレア。

交流戦2戦目となる第7節。
横浜のニッパツ三ツ沢球技場で行われたビジターゲームで、クボタスピアーズ船橋・東京ベイは30対22で横浜キヤノンイーグルスに勝利した。

第6節までを終えて勝ち点で並ぶ両者の対決は、ディヴィジョン1の上位順位に関わる注目の一戦。
その日、スタジアムに吹いた強風は大きく試合に影響した。キックオフ直後からその影響は見られ、キックオフで蹴られたボールは宙で揺れ、レシーバーのキャッチを乱した。風の影響は、キッカーにも影響。「(キックを)蹴ろうとボールを落とした時点で軌道が変わる」と試合後に選手も語る強風は、タッチキックやゴールキックを押し返した。

故にミスも増える。両チームともに良くボールが落ちるゲームで、前半序盤では繋がればトライのチャンスでショーン・スティーブンソン選手がボールを落とした。これに代表されるように、世界レベルの選手たちですらミスが相次いだ。

だが、そんななかで気を吐いたのがハラトア・ヴァイレア選手だ。今シーズン全試合に出場し好調を見せていたハラトア選手だが、この試合は好調という言葉では表現しきれない活躍を見せた。
前半から速さと強さを見せたラン、そしてトライを防いだタックルなど随所で存在感を見せる。そして後半3分にライン際で相手を吹き飛ばす迫力のトライを奪うと、そこから20分、25分と3連続トライのハットトリック。だが活躍はそこでは終わらない。

自らトライを取った3トライ目後のコンバージョンゴール、これまでキッカーだった押川選手に変わりハラトア選手がキッカーを任される。角度もある、ゴールからの強い向かい風もある、だがハラトア選手はこのゴールを決めた。しかも突然のキッカーチェンジにより、キックティーは押川選手のキックティーを使用したというから驚きだ。このゴールキックでスピアーズは逆転し、リードを広げて勝利。ハラトア選手は、3トライ2ゴールの19点を獲得する活躍でプレイヤー・オブ・ザ・マッチに表彰された。

後半27分、コンバージョンゴールを蹴るハラトア選手 【クボタスピアーズ船橋・東京ベイ】

昨シーズン第10節の同カードの対戦では、スピアーズがほとんどの時間で負けていた。ただ粘り強いアタックで徐々に差を縮め、最大18点差あった点差をノーサイド直前でひっくり返しての逆転勝利。今シーズンも同じような展開となった。

前半はキックオフ直後から相手の連続攻撃からトライを許す。前半7分に3点を返すが30分すぎに相手に7点を加えられ3対12で前半を折り返した。
ディフェンスではミスタックルが21と相手の前進を止めきれず、アタックでは肝心なところでミスもあり、前半の追い風を活かすことができない40分だった。

だが、後半でスピアーズはこの課題をしっかりと修正する。
「後半はボールを持ってのアタックが増える。シンプルなプレーに徹し、不用意なパスは減らすようにハーフタイムで話した」とマキシ選手が試合後コメントした通り、後半開始直後からスピアーズはシンプルなアタックを継続する。

ショーン・スティーブンソン選手がカウンターアタックで前にでると、スクラムハーフの藤原選手が良くコントロールした球出しを披露した。
コツコツと当てる、といった表現がよく合うような、決して早くはないが確実に攻撃の勢いを生むリズムで15フェイズに渡りボールを動かすと、最後はハラトア選手の1トライ目に繋がった。

後半11分にリザーブ5人を入れ替える今季スピアーズの定番のカードを切ると、14分の相手のイエローカードも相まってスピアーズの勢いが増した。

この日が26歳の誕生日だった藤原選手。途中負傷交代するが、巧みなゲームコントロールと献身的な働きで後半の勢いを作った。 【クボタスピアーズ船橋・東京ベイ】

18分にはオペティ選手とブルブリング選手のダブルタックルからターンオーバーすると、押川選手がキックにより陣地を大きく回復。フォワードがモールをプッシュしてバックスに展開するとハラトア選手が右サイドを駆け抜けて、スコアを19対16と3点差まで縮めた。

25分にはペナルティゴールにより点差を広げる相手に対し、直後のリスタートからボールを奪い逆転を狙いにいく。
ショートサイドに展開したボールを、マルコム選手とショーン選手で細かいパスを繋ぎ、押川選手に託す。押川選手は針に糸を通すようなキックを転がすと、それをタッチラインの外からかっさらうようにしてハラトア選手がキャッチして、トライに繋げた。ハットトリックとなったハラトア選手は、直後のコンバージョンを決めて逆転。

1点の点差を追う相手に対して、34分にはリカス選手がトライ、そしてハラトア選手がゴールを決めて、7点を追加したスピアーズがこのまま逃げ切って勝利した。

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リカス選手のトライ。この直前に足を痛めていたが、それでもプレーを続けこのトライに繋がった。 【クボタスピアーズ船橋・東京ベイ】

この試合でスピアーズは、勝ち点4を積み上げ7節終了時点で順位を3位とした。
次戦はホストスタジアム・えどりくで6位のコベルコ神戸スティーラーズを迎え撃つ。

今季スピアーズの試合の見所のひとつは、どの試合にも光る選手が必ずいること。この試合のハラトア選手がそうだったように。
次戦ではどの選手が活躍するのか。そして、そのチャンスはどの選手の前にも転がっている。

この試合のようにうまくいかない試合展開でも、だれかの好調により勢いが生まれて勝利に繋がることもまたラグビーだ。

次戦の勝利の立役者はだれか。
シーズン中盤に差し掛かる次節、気が抜けない戦いはまだ続く。

BKによる4トライが目立ったがそれはFWの活躍があってこそ。特に前半から有利に進めたスクラムの貢献は大きい。写真は1番紙森選手。 【クボタスピアーズ船橋・東京ベイ】

次戦ホストゲームは2月15日(土)コベルコ神戸スティーラーズ戦、イベント情報やチケット情報、見所などは以下のリンクをご確認ください 【クボタスピアーズ船橋・東京ベイ】

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文:クボタスピアーズ船橋・東京ベイ広報担当 岩爪航
写真:チームフォトグラファー 福島宏治
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著者プロフィール

〈クボタスピアーズ船橋・東京ベイについて〉 1978年創部。1990年、クボタ創業100周年を機にカンパニースポーツと定め、千葉県船橋市のクボタ京葉工場内にグランドとクラブハウスを整備。2003年、ジャパンラグビートップリーグ発足時からトップリーグの常連として戦ってきた。 「Proud Billboard」のビジョンの元、強く、愛されるチームを目指し、ステークホルダーの「誇りの広告塔」となるべくチーム強化を図っている。NTTジャパンラグビー リーグワン2022-23では、創部以来初の決勝に進出。激戦の末に勝利し、優勝という結果でシーズンを終えた。 また、チーム強化だけでなく、SDGsの推進やラグビーを通じた普及・育成活動などといった社会貢献活動を積極的に推進している。スピアーズではファンのことを「共にオレンジを着て戦う仲間」という意図から「オレンジアーミー」と呼んでいる。

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