【ガンバ大阪】“戻ってきた“漢が熱い! 心身ともにパワーアップ。南野遥海がプロ3年目でブレークへ

ガンバ大阪
チーム・協会

【ⓒGAMBA OSAKA】

一流のストライカーに共通するのはシュート技術もさることながら、一瞬の隙を逃さないギラついた目つきである。
アカデミー時代から左利きのストライカーとして将来を嘱望されてきた南野遥海が2年間の期限付き移籍を終えて、ガンバ大阪に帰ってきた。
「ガンバでやれると思っているからここに帰って来ました。それをピッチ上で証明するだけですね」。短いが、力強さを感じる言葉に2年間の「武者修行」の充実感が見て取れる。
過去、ガンバ大阪のアカデミーで育ち、プロ契約を勝ち取った逸材は数多いが、南野は異例とも言えるプロ1年目からの期限付き移籍を選択した。
「僕は小学校からこのクラブに在籍していて、小学生の時にはリーグ優勝、三冠をした時もありましたし、天皇杯も連覇しました。少しタイトルから遠ざかっていますが、タイトルの数は日本の中でもトップクラス」。ジュニア時代からアカデミーに在籍する南野だけに、とりわけ前線のアタッカー時の競争が熾烈であることは身をもって知っている。

【ⓒGAMBA OSAKA】

18歳から21歳のいわゆるポストユースの出場機会の少なさは日本サッカー界の課題でもあるが「トップでやりたかったですけど、『出場機会を得る方が一番いいんじゃないか』みたいな提案がクラブからありました」と南野はルーキーイヤーをJ3のテゲバジャーロ宮崎で過ごすことになる。
クラブとしては逸材のレフティを実戦の場で磨くことが狙いだったが「他のチームが欲しいというぐらいの活躍をしてガンバに戻ってから戦力になるというマインドに切り替わりました」(南野)。
その言葉に嘘はなかった。2023シーズン、テゲバジャーロ宮崎はJ3で20チーム中19位と低迷したが南野は38試合で10得点。翌年にはカテゴリーをJ2に変え、栃木SCに期限付き移籍したが、J2で18位に終わり、無念のJ3降格を強いられたチームの中で35試合に出場し、7得点をゲットした。
世代別代表の常連で、2019年の高円宮杯全日本U-15サッカー選手権大会では得点王としてガンバ大阪ジュニアユースを優勝に導いた南野にとって、J2とJ3の下位チームでのスタイルはいわば「異文化」との遭遇でもあったが、点取り屋のスタイルを保ちながらも、意識したことがあるという。
「そのリーグやチームに所属している以上、そこでやらないといけない。自分には走れる部分、シュートを打てる強みがあるので、それを上手く活かせた方がいいと思っていました。自分が何かアピールしてやりたいというより、そのチームを勝たせるというマインドに、より去年は変わりましたね」(南野)。

【ⓒGAMBA OSAKA】

一昨年、残留争いを余儀なくされたガンバ大阪だが、ポヤトス体制2年目の昨季はリーグ戦で4位に躍進。リーグで2番目に少ない堅守に注目が集まりがちだが、ベースとなるのは攻守両面の強度の高さである。
ユース時代からフィジカルの強さに定評があった南野ではあるが期限付き移籍の2年間での変化はメンタルだけでなく、筋肉の鎧をまとった上半身の強化にも見て取れる。
「ゴツくなったと皆に言われます」と笑顔を見せた南野だが宮崎と栃木の生活ではジムに通いながらサッカー漬けの生活だったと明かす。
1月の始動後、居残り練習で繰り出すシュートは利き足の左だけでなく、右でも鋭さと重さを感じさせるが、その成長をチームメイトも感じ取っている。
 南野はユース時代、既に2種登録選手として2022シーズンに公式戦8試合に出場しているが、当時を知る福岡将太は言う。
「遥海とは練習中に対峙することが多いですけど、2年間修行してきただけのことがありますね。体も強いし、裏抜けのタイミングが分かりやすい。実際にマッチアップすると(坂本)一彩とは異なる嫌な相手だし、僕も遥海には期待していますよ」。

【ⓒGAMBA OSAKA】

ガンバ大阪ユースでともにピッチに立った坂本はプロ3年目の昨季、J1でキャリア初の二桁得点をマークし、ベルギーのKVCウェステルローに期限付き移籍した。
攻守両面で機能していた坂本の不在はガンバ大阪にとって痛手ではあるが若手の育成に長けるダニエル ポヤトス監督は、新世代の台頭に期待を寄せる。もちろん、南野もその候補の一人である。
「一彩も昨年初めの頃は未知数だったのが、シーズンを通して成長し、こうして移籍という形になりました。若い選手が帰ってきたので伸ばしたいし、一彩がいなくても問題ないと思っています。名和田我空もいますし、南野がどのようになっていくのか判断したいですね」。
1月7日の始動初日、ポヤトス監督は期待のホープの一人として「ミナミノ」の名を挙げた。
プロ契約後、初めて青黒のユニフォームを身に纏ってピッチに立つ南野だが、3年前の苦い思い出とともにJ1のスピード感やレベルは体感済みである。
2022年7月9日の川崎フロンターレ戦でJ1初先発を果たした南野だが、退場者を出したこともありチームは前半だけで4失点を喫し、0対4で惨敗。「これを経験したからには次に繋げないとこの出場には全く意味がないです」と当時18歳の南野は、55分間の出場に終わった悔しさを噛み締めた。
あれから約3年の時を経て、プロ選手として初めてJ1の舞台に帰ってきた若きストライカーには秘めた決意がある。
「プロで2年やって思ったのは自分のシュートの能力とか、そのパンチ力はかなりいいモノを持ってるんだなということです。ただ、その回数やクオリティを高くすれば、昨季のガンバに言われていた得点力不足は改善されると思っています」

【ⓒGAMBA OSAKA】

前年、J2では24試合4得点をマークした坂本を上回る数字を残している南野だが、目指すのは「ネクスト坂本」ではなく、南野遥海としてのブレークである。
「ガンバのアカデミーの選手には特徴がありますけど、それに捉われる必要はない。僕は僕のスタイルでいいと思いますけど、試合で得点を決めたり、最後結果を残したりするのはコイツだなと思ってもらえるなら、何でもいいですね。二桁得点を取って、チームの勝利に貢献したいと思います」
確かなシュート力と思い切りの良さを持つレフティは、ガンバ大阪の新たな希望になる。

【ⓒGAMBA OSAKA】

  • 前へ
  • 1
  • 次へ

1/1ページ

著者プロフィール

ガンバ大阪は、北摂・北河内地域をホームタウンとして活動しています。 「ガンバ」は、イタリア語で「脚」を意味する言葉で、日本語の「頑張る」にも通じています。 「チーム一丸となって勝利を目指して頑張るチーム」「どんな状況でもガンバって勝利を勝ち取るチーム」「大阪をホームタウンとし、大阪を中心とした関西ファンの声援を受けてガンバるチーム」「日本一、世界一のクラブ組織に向けてガンバるサッカークラブ」という気持ちが込められています。

新着記事

スポーツナビからのお知らせ

編集部ピックアップ

おすすめ記事(Doスポーツ)

記事一覧

新着コラム

コラム一覧

日本オリンピック委員会公式サイト

JOC公式アカウント