広島・矢野を1年前に絶賛した天才打者と名捕手は? 今季ブレーク選手の飛躍を予感していた男たち【守備・走塁編】 

加賀一輝

田中幹也を挙げた「稀代のスピードスター」

周東が感じる田中(写真右)のストロングポイントは「思い切り」だという 【写真は共同】

 走塁部門からは、中日・田中幹也をピックアップしたい。

 奇しくも矢野と同じ亜細亜大出身の内野手で、小柄かつ身体能力の高さで優位性を保つのも一緒。ルーキーイヤーはケガの影響で一軍出場なしだったが、2年目の今季は開幕スタメンに入るなど112試合に出場。主に二塁を守り、こちらも「菊池の再来」として飛躍が期待されている。

 周東佑京(ソフトバンク)は、昨季の時点で田中を走塁部門ナンバーワンに挙げていた。コメントを紹介しよう。

「走塁は中日の田中幹也くんです。代表の強化試合でも見ましたし、今はケガしていますけど、判断がすごいなと。足が速いのもありますけど、走塁センスがすごい子なんだろうなと思いましたね」

 WBC前の侍ジャパンと中日との強化試合第1戦、田中は今永昇太からクリーンヒットを放つと、すかさず盗塁。その後、オルランド・カリステのレフト前安打で快足を飛ばして生還。チームに先制点をもたらした。この試合で田中は2安打2盗塁の活躍を見せ、勝利に貢献。その姿が周東の目に強烈に焼きついたのだろう。

 実際、「今はケガしていますけど」と紹介された通り、田中はオープン戦での右肩脱臼で長期離脱。実戦復帰はシーズン終盤まで待たねばならなかった。事実上1試合のみでインパクトを残す田中もすごいし、それを見逃さなかった周東もすごい。

 最後に、稀代のスピードスター・周東が感じる、田中のストロングポイントは?

「判断が速いのかなと。いけると思う判断がすごい速いのかなと見てて思いましたし、そこにいける思い切りの良さですかね。その部分が一番持っているものなのかなと思います」

 今季も田中に票が入るのか、期待して待ちたい。

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【画像提供:フジテレビ】

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著者プロフィール

1988年3月6日、愛知県生まれ。成蹊大学卒業後、一般企業を経て独立。ライティング、MCなど幅広く活動する。2016年〜23年まで『スポーツナビ』にて編集・編成を担当。在職中に五輪・パラリンピックへの派遣、『Number』『文春オンライン』等への寄稿を経験。趣味は草野球で、1週間で20イニング投げることも。

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