アメリカのF1バブルは終焉したのか? 煌びやかなネオン街を駆け抜ける第2回ラスベガスGPの行方

柴田久仁夫

アメリカでのF1の立ち位置とは

大盛況だった今年のUSGP。11年間毎年通っているというファンもSNSに、「初日から尋常な混み方じゃない」と投稿していた 【(c) Redbull】

 一方で1カ月ほど前にテキサス州オースチンで開催されたUSGPは、「去年以上の大盛況でしたよ」と、熱田カメラマンは言う。「メキシコ国境に近いこともあって、(セルジオ)ペレスファンが大勢やってくる。さらに今年はフランコ・コラピントの活躍で、アルゼンチンファンも多かった。でもそれらの要素を除いても、オースチンはすっかりアメリカに根付いたF1になってる印象です」。

 今年の数字はまだ発表になっていないが、3日間で43.2万人が入場した去年と同等か、それ以上と思われる。これは最多のイギリス(48万人)、オーストラリア(44.46万人)に次ぐもので、今年もトップ5入りはほぼ間違いないだろう。そして3日間の平均チケット料金は671ドル(約10万650円)で、ラスベガスの1617ドル(約24万2500円)の4割ほどに過ぎない(データはいずれもf1destination.comによる)。これも安定した入場者数の要素の一つだろう。

 とはいえアメリカ国内のF1視聴者数は、放映権を持つ「ESPN」によれば1GPあたり約110万人にとどまる。これは年間40戦前後開催するNASCARの、毎レース300万人超という数字の3分の1ほどでしかない。

 多くのF1関係者は今も、「F1こそが世界最高、最上のモータースポーツ」という考えを確固と持っているように感じる。しかしレース好きのアメリカ人にとってF1は、「確かに面白いが、他にも熱中できるカテゴリーがたくさんある中の一つ」、ということなのではないだろうか。

(了)

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著者プロフィール

柴田久仁夫(しばたくにお) 1956年静岡県生まれ。共同通信記者を経て、1982年渡仏。パリ政治学院中退後、ひょんなことからTV制作会社に入り、ディレクターとして欧州、アフリカをフィールドに「世界まるごとHOWマッチ」、その他ドキュメンタリー番組を手がける。その傍ら、1987年からF1取材。500戦以上のGPに足を運ぶ。2016年に本帰国。現在はDAZNでのF1解説などを務める。趣味が高じてトレイルランニング雑誌にも寄稿。これまでのベストレースは1987年イギリスGP。ワーストレースは1994年サンマリノGP。

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