新加入・相馬勇紀がついにフィットした町田 「6試合ぶり勝利」をもたらした新システム
相馬と周囲の連携がついにハマる
相馬の経験値、状況判断が試合の中で生かされた 【(C)FCMZ】
もちろんひとりの責任ではないのだが、相馬が町田で先発した6試合は2分け4敗の未勝利と散々だった。しかしFC東京戦は相馬の強みがハマり、ゴールという結果も出ている。
27歳の攻撃的MFは試合をこう振り返る。
「いろいろ試してもらった中で、サイドハーフのときは関わり切れていないときがありました。真ん中でいい形を作れました」
49分の2点目は相馬が起点になった。ボランチの位置に顔を出した林からのパスを彼が受け、左サイドの高い位置からフリーで折り返した。白崎がファーサイドに飛び込んで中へ落とし、最後はオ・セフンが仕留めた。
相馬は明かす。
「練習で提案されたチームの形があって、でもなかなかうまくいっていませんでした。こうやったら上手くいったというのを思い出して、それを試合前に林と話して、2点目はその形です」
林もこう口にする。
「即興というか、僕は相馬くんの位置を見て動いた感じです。最初から形を決めていたわけではありません」
3バックへの布陣変更でサイドの枚数は減り「ズレ」も生じていた。しかし選手たちはコミュニケーション、試合中の判断で守備のズレを埋め、攻撃ではそれを活かした。具体的にはFWやシャドーがスペースに流れることで決定機につなげた。
相馬は言う。
「3バックは結構面白いですね。ウイングバックに相手の誰かが来るから、逆にそこへ食いついたときにスペースが空きます。そこを誰が使うかは考えるようにしていました」
取り戻した「らしさ」
監督、コーチの「打ち手」もハマった 【(C)FCMZ】
「1つ前のキックで(チャン・)ミンギュがヘディングでポストの外側にシュートしたシーンがあって、あれは若干短かったです。もう少し飛距離を伸ばそうと微調整した結果、『誰か触って決める』つもりのボールを蹴って(相手GKが触って)入りました」(相馬)
町田がようやく「らしさ」を取り戻して、FC東京に快勝した。水面下で続けていた模索と修正がようやく実り、リーグ戦5試合勝ちなし、国立4試合勝ちなしのトンネルから抜け出した。優勝の確率を残し、ACL出場の確率を上げただけでなく、チームの建て直しという2025年以降に向けた収穫も得た試合だった。
黒田監督はこう口にする。
「すべてではなくても今までの苦労から解放された、肩の荷が下りた、そんな試合だったと思います。吹っ切れてラスト2試合に臨めます」
10日のJ1は首位・神戸が東京ヴェルディに1-1で引き分け、2位・広島も浦和レッズに0-3で敗れている。1位・神戸が勝ち点68、2位・広島が勝ち点65、3位・町田が勝ち点63となり、町田が希望をつないだ第36節となった。
また町田はFC東京、東京Vとの東京対決を4戦全勝で終えた。主力の負傷、9月以降の低迷、オフザピッチの風当たりと苦しみが多いシーズンの中で、それもチームが胸を張っていい収穫だ。