【週刊ドラフトレポート#27】徳島インディゴソックスが誇る159キロ腕・工藤泰成、打てる右の外野手・寺岡丈翔
「俊足と強肩+打撃もパワーアップ!」
寺岡丈翔は徳島2年目の今季に打撃が急成長を遂げた 【写真提供:西尾典文】
【将来像】塩見泰隆(ヤクルト)
強肩と俊足で外野手としての能力が高く、長打力も備えたスタイルは塩見と重なる
【指名オススメ球団】オリックス
パンチ力があってセンターを守れる右打の外野手が不足していることから
【現時点のドラフト評価】★★☆☆☆
支配下での指名濃厚
昨年、野手では井上絢登(DeNA6位)が支配下で指名を受けた徳島だが、その井上よりも高い評価になる可能性があるのが寺岡丈翔だ。東福岡から福岡大に進み、大学では井上や仲田慶介(現・ソフトバンク)の1学年下で、下級生の頃はほとんどリーグ戦にも出場していない。4年になってようやくレギュラーをつかみ、春には大学選手権にも出場しているが、肩の強さは目立ったものの打順は下位で、スカウトから注目されるような選手ではなかった。独立リーグ1年目の昨年も打率は2割台前半に終わっている。
そんな寺岡が急成長を見せたのは2年目の今シーズンからだ。春先からヒットを量産すると前期のMVPを受賞。最終的には本塁打と打点でリーグトップ、打率はリーグ5位、盗塁でもリーグ2位と見事な成績を残したのだ。独立リーグで球速が大幅にアップする投手は多いが、ここまで劇的に打撃面で成長する選手は珍しいと言えるだろう。
まず大学時代と比べて大きく変わったのは体格面だ。上半身も下半身も明らかにたくましくなり、NPB球団のファームの選手と比べてもその体つきは立派に見える。1年目は強く振ろうとして反動をつける動きが大きかったが、今年は余裕を持ってボールを見られるようになり、そのことが打撃成績の向上に繋がったと言えそうだ。
工藤が先発した7月11日の巨人三軍との交流戦ではノーヒットに終わったものの、それでも十分に成長を感じさせるシーンがあった。それが4回の第2打席だ。打球は高々と上がるセンターフライとなったものの、その滞空時間は6.50秒をマークしたのだ。内野フライではなく、外野フライでこれだけのタイムはアマチュアではなかなか見られるものではない。それだけヘッドスピードの速さがある証明であり、リーグのホームラン王に輝いたことも納得のスイングと言えるだろう。
また寺岡の長所はパワーがつきながらも、元々の持ち味であるスピードと肩の強さが失われていないという点だ。巨人三軍との試合でもフルスイングした後のショートゴロで一塁到達は4.13秒をマークしており、これは右打者としては十分に速い数字である。前述したようにリーグ戦でも2位となる25盗塁を記録しており、次の塁を狙う意識も高い。6月に行われた四国アイランドリーグ全選手を対象にした測定会では、助走をつけて全力投球を行う“プルダウン”において161キロをマークしており、これはプロでも上位の数字である。
今年で24歳、大学卒2年目の社会人の選手と同じ年齢となるが、他の候補を見ても先週取り上げた中尾勇介(東京ガス)以外は目立つ外野手は不在で、独立リーグで2年間フルに試合に出場しながらレベルアップしてきたというのも大きな魅力である。長打力もある右打ちの外野手は人気となりやすいだけに、比較的早く名前が呼ばれる可能性もあるだろう。