週刊MLBレポート2024(毎週金曜日更新)

悲願のドジャース地区優勝に潤む大谷翔平の瞳 「狙わせようかな」首位打者が再び射程圏内に

丹羽政善

首位打者が再び射程圏内に

 試合後、シャンパンファイトが始まった。96本のコーベルが瞬く間に泡と消え、続いてビールファイト。大谷も頭からビールを浴びた。クラブハウスの隅っこで、葉巻を吸い始めた選手もいた。

 日本メディアに囲まれた大谷は、まず「きょう決められて、ホームで決められてよかった。最高です」と笑みを見せ、続けた。

「(シャンパンファイトは)ずっとやりたいなと思っていたので、きょうできてよかったというか、幸せな気持ちです」

 ややあってクラブハウスの外で会見に応じた大谷。この一言が印象に残る。

「(シーズン終盤は)打ち方どうのこうのというより、気持ちの打席が多かった。そういう意味ではより集中して、試合に臨めた」

 普段はデータを駆使し、自らの体の動きを球場に設置されたキナトラックスで解析し、微調整を繰り返す。また、打席でも塁上でも、相手のデータを叩き込み、理詰めで挑むタイプ。そんな大谷が、気持ちで向かっていった。大谷がまた一つ、次のステージに達した。

 ナ・リーグの首位打者だったルイス・アラエス(パドレス)が、このドジャース3連戦では無安打。打率を.312まで下げた。一方の大谷は、この3連戦で11打数6安打と打ちまくり、打率を.305まで上げた。3試合で一気に8厘も詰めたことになる。

 その数字を知らされたデイブ・ロバーツ監督は、試合後「土曜日は休ませようと思っていたけど、狙わせようかな」と、笑みを見せた。


※連載「週刊MLBレポート2024」は、今回をもちまして終了となります。ここまでお読みいただき、ありがとうございました。10月以降は、ドジャースを中心にポストシーズンの戦いを追う新連載「MLBポストシーズンレポート2024」の掲載を予定しています。こちらもお楽しみください。

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著者プロフィール

1967年、愛知県生まれ。立教大学経済学部卒業。出版社に勤務の後、95年秋に渡米。インディアナ州立大学スポーツマネージメント学部卒業。シアトルに居を構え、MLB、NBAなど現地のスポーツを精力的に取材し、コラムや記事の配信を行う。3月24日、日本経済新聞出版社より、「イチロー・フィールド」(野球を超えた人生哲学)を上梓する。

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