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「一番確率が低そうな球を選択した」 今永昇太が述懐する、大谷翔平との5カ月ぶりの再戦

丹羽政善

9月10日のカブス戦の初回、今永昇太と対戦し遊飛に倒れたドジャースの大谷翔平 【写真は共同】

「フォアボールを出して、ノーアウト満塁のほうが、まだいいんじゃないか」

 今永昇太(カブス)の口からポロッと漏れた冗談とも本気ともつかない言葉が、他のどんな表現よりも、大谷翔平(ドジャース)の威圧感を的確に言い表していた。

 そこを深く掘り下げる前に、少々余談をーー。

 ドジャー・スタジアムには数々の都市伝説がある。例えば、1962年の開場時、ファールポールは本塁から一塁、そして外野へと伸びる白線の延長線上ではなく、やや外側に立っていたという。つまり、ファールゾーンにあった。古い写真を見てもそれは明確には確認できないものの、様々な球場に関するトピックスを扱う『ボールパーク・ダイジェスト』など複数の資料にそういう記述がある。ポールは簡単には動かせないので、翌年からホームベースを少し後ろにずらして、対応したという。

ドジャー・スタジアムのファールポール 【写真:筆者撮影】

 9月8日(現地時間、以下同)、大谷が放った今季第46号はそのポールの上空を越えたと報じられたが、これはさすがに設計ミスではなさそう。当時、あの高さの打球を打つとは、誰も想定していなかった。もっとも、現場まで足を運んでみると、少し景色が違った。打球は4階席と5階席の間にある1955年の優勝記念プレートを直撃したが、ポールの上空を越えてプレートに当たることは、角度的に少々無理があったのである。

大谷翔平が放った今季第46号が直撃した、1955年の優勝記念プレート 【写真:筆者撮影】

 そこで、三塁側のダグアウトで打球を目撃したドジャースのギャビン・ラックスに確認すると、「あれは上空ではない。ポール上部を巻くようにして右側に切れていった」と教えてくれた。

「だから、審判がなにを確認したのか分からなかった」

 映像では確かに分かりづらいが、ダグアウトからは、打球の軌跡がはっきりと見えたという。

「打撃練習でもあんな打球、見たことがない」

 いずれにしても、その時点で今季の本塁打数を46まで積み上げ、盗塁はあと3つで50の大台に達するという状況で、大谷は9月10日、今永とのセカンドラウンドを迎えたのである。

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著者プロフィール

1967年、愛知県生まれ。立教大学経済学部卒業。出版社に勤務の後、95年秋に渡米。インディアナ州立大学スポーツマネージメント学部卒業。シアトルに居を構え、MLB、NBAなど現地のスポーツを精力的に取材し、コラムや記事の配信を行う。3月24日、日本経済新聞出版社より、「イチロー・フィールド」(野球を超えた人生哲学)を上梓する。

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