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大谷はミゲル・カブレラ以来となる三冠王なるか【Photo by Jayne Kamin-Oncea/Getty Images】

　ここでは各球団のトレード・デッドラインの動きを振り返りつつ、地区優勝やプレーオフ争いの行方を展望する。

　東地区は6連覇中のブレーブスが得点力を大きく低下させ、投打とも充実の戦力を誇るフィリーズが首位を快走。トレード・デッドラインでもカルロス・エステベスやオースティン・ヘイズを獲得して弱点を的確に補強しており、7月末時点で2位ブレーブスと6.5ゲーム差という状況を考えても、絶対優位は揺るがない。

　ブレーブスは完全復活を遂げたクリス・セールを軸とする投手力が最大の武器。故障者続出の影響で打線が弱体化し、2021年の世界一に貢献したホルヘ・ソレアやエディ・ロサリオを呼び戻したが、逆転で地区7連覇を成し遂げるためには、強力打線の復活が必要不可欠だ。

　メッツはリーグ有数の強力打線を擁し、ワイルドカード争いに参戦中。トレード・デッドラインでも積極的に動き、打線、ローテ、ブルペンをバランスよく強化した。千賀滉大の再離脱は痛手だが、2年ぶりのプレーオフ進出は現実的な目標だ。

　再建途上のナショナルズは複数の主力を放出して白旗。マーリンズは売り物になる選手を全員トレードし、チーム再建に舵を切った。

チームトップタイの8勝を挙げる今永昇太。オールスターにも出場し、存在感を高めている【Photo by Ed Zurga/Getty Images】

　中地区は高い総合力を誇るブリュワーズが首位を快走。先発のコマ不足が弱点だったが、７月上旬にアーロン・シベル、トレード・デッドラインでもフランキー・モンタスを獲得してテコ入れした。

　昨季最下位のカージナルスはチームを立て直し、7月末時点で首位から5ゲーム差の2位。好投手エリック・フェディを獲得した三角トレードは高く評価されているが、得点力不足が大きな課題であり、不振に喘ぐポール・ゴールドシュミット、ノーラン・アレナドの両主砲はもちろん、ラーズ・ヌートバーにも一層の奮起が求められる。

　ポール・スキーンズの活躍もあって大健闘を見せているパイレーツは、トレード・デッドラインで堅実な補強を展開。9年ぶりのプレーオフ進出なるか注目される。エリー・デラクルーズが盗塁を量産しているレッズはモンタスら一部の主力を放出したが、投打とも高いポテンシャルを持つ若手が多く、彼らの活躍次第では急浮上の可能性を秘める。

　今永昇太と鈴木誠也が活躍中のカブスは、トレードでアイザック・パレデスらを獲得。プレーオフ進出を完全に諦めたわけではないが、来季以降を見据えた動きとなった。

ドジャースはタイガースからジャック・フラーティを獲得。今季は18試合に登板し、7勝5敗、防御率2.95。11.22という高い奪三振率と、制球力を併せ持つ【Photo by Maddie Meyer/Getty Images】

　西地区はドジャースの失速で混戦模様に。ムーキー・ベッツの離脱後も大谷翔平らの活躍でなんとかこらえていたドジャースだが、投手陣の崩壊で大苦戦中。トレード・デッドラインではジャック・フラーティらを獲得して戦力アップに成功しており、ベッツ、山本由伸らの復帰を契機としてチームを立て直していきたいところだ。

　パドレスはトレード・デッドラインで有望株を犠牲にして積極的な補強を展開。特に松井裕樹らを擁するブルペンは球界有数の陣容となった。離脱中のダルビッシュ有の復帰時期は不透明だが、現在の勢いが続けば、早い時期に首位ドジャースをとらえても不思議ではない。

　投手力に不安を抱えるダイヤモンドバックスはトレードでブルペンを強化。エデュアルド・ロドリゲス、メリル・ケリーと左右のローテ投手の復帰も控えており、昨季のリーグ王者は今季も侮れない存在だ。

　ジャイアンツは噂されたブレーク・スネルの放出には動かなかったが、3年ぶりのプレーオフ進出に向けて厳しい状況であることに変わりはない。最下位を独走するロッキーズは、トレードで他球団が欲しがる選手がほとんどいないという寂しい状況だった。