日中親善対抗戦に臨む期待の新人ボクサーたちをクローズアップ “ミニマム級祭り”も開催【9月のボクシング注目試合②】

船橋真二郎

明日の世界王者は? “ミニマム級祭り”

左から宮澤蓮斗、松本流星、大橋秀行会長、石井武志、森且貴、北野武郎 【写真:ボクシング・ビート】

 25日の後楽園ホールは“ミニマム級祭り”。メイン、セミはもちろん、アンダーカードの4回戦まで全7試合がミニマム級でラインアップされた「Lemino BOXING フェニックスバトル122」が開催される。

 メインは日本王座決定戦。前王者の高田勇仁(ライオンズ)が返上したタイトルを日本1位の森且貴(大橋/24歳、12勝3KO3敗)と同2位のサウスポー、松本流星(帝拳/26歳、3勝1KO無敗)が争う。高校時代にインターハイに2度出場、2019年の全日本新人王で、元日本ユース王者の森は3度目の日本タイトル挑戦。2度のU-15全国大会優勝を経て、アマチュア時代に全日本選手権優勝など、通算4冠の松本はプロ4戦目でタイトルを狙う。プロキャリアで上回る森か。アマ経験の分厚さで勝る松本か。

 セミは東洋太平洋王座決定戦。キック出身で6位の石井武志(大橋/24歳、8勝7KO1敗)が初のタイトルをかけ、5位のジョン・ケビン・ヒメネス(比/20歳、8勝3KO無敗)と戦う。昨年9月、タフで老かいな世界ランカーのリト・ダンテ(比)に敗れ、これが再起2戦目の石井は2022年の全日本新人王。8月に約2週間のオーストラリア合宿を敢行。この9月7日にWBA王者ノックアウト・CPフレッシュマート(タイ)に挑戦した(判定負け)元東京五輪代表のアレックス・ウィンウッド(豪)と手合わせするなど、準備万端で臨む。

 他にも元日本フライ級1位の北野良・大橋ジムトレーナーの長男・北野武郎(大橋)が王者の宮澤蓮斗(松田)に挑む日本ユースタイトルマッチ、日本3位の岡田真虎(JB SPORTS)と同11位の佐宗緋月(T&T)の日本ランカー対決、U-15全国大会3連覇、昨年の全日本新人王でセンスのいい坂田一颯(S&K)と東洋大出身の鈴木義人(角海老宝石)の6回戦など、楽しみなカードがそろった。

 21連続防衛を果たしたミニマム級屈指の名王者、リカルド・ロペスさんも来日。前日24日には34年前に後楽園ホールで戦い、5回TKOでWBC王座を奪取した大橋秀行・大橋ジム会長と東京ドームシティの「blue-ing!(ブルーイング)」で特別トークショーを行う。試合当日もゲストとして来場予定で、最軽量級の戦いを盛り上げる。

 日本のミニマム級歴代世界王者は階級別3位の16人。この中から17人目、18人目が誕生するか。試合の模様は「Lemino」でライブ配信される。

スーパーライト級の新旧対決

2戦続けて劇的逆転TKO勝ちの川村英吉が経験豊富な近藤明広に挑む 【写真:ボクシング・ビート】

 9月を締めくくるスーパーライト級の“新旧対決”も興味深い。30日、後楽園ホールで開催される「ファイティングビー32」のメインで日本スーパーライト級11位の川村英吉(角海老宝石/25歳、5勝3KO無敗)が同6位の近藤明広(一力/39歳、37勝21KO12敗2分)に挑む。

 川村は愛知・享栄高で国体準優勝、日大を経て、昨年5月にプロデビューし、全日本新人王に輝いた。今年に入って2戦続けてダウンを挽回し、タイミングと切れ味抜群の左フックで痛烈に倒し返す逆転TKO勝ち。劇的なファイトで会場を沸かせている。

 世界挑戦経験もある元日本ライト級、東洋太平洋、WBOアジアパシフィック・スーパーライト級王者の近藤は昨年12月、カザフスタンで当時27戦全勝(20KO)の世界ランカー、ザンコシュ・トゥラロフに12回判定で敗れて以来の再起戦になる。

 経験豊富な近藤に対し、川村がこれまでのように隙をつくると命取りになる。新鋭が超えるのか。ベテランが高い壁となって立ちはだかるのか。熱戦が展開されそうだ。

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著者プロフィール

1973年生まれ。東京都出身。『ボクシング・ビート』(フィットネススポーツ)、『ボクシング・マガジン』(ベースボールマガジン社=2022年7月休刊)など、ボクシングを取材し、執筆。文藝春秋Number第13回スポーツノンフィクション新人賞最終候補(2005年)。東日本ボクシング協会が選出する月間賞の選考委員も務める。

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