国立でエスパルスにハマった人々~清水に縁がなかった人がライト層に、そしてサポーターへ~

榊原拓海

国立に集結した清水エスパルスのサポーター 【©️J.LEAGUE】

Q:みなさまは今やサポーターとしてエスパルスを応援されていますもんね。そのような背景を踏まえると、サポーター心理として、国立との相性の悪さは気になるものですか?

ミノさん 勝敗は無関係という話の直後ですけど、あくまで過去の話として、試合に負けてしまうと、勝てなかったことを気にしてしまう友人が出てくるという意味で勝ってほしいです。家族や友人を誘ったことのある人にとって「あるある」だと思うのですが、1回目の観戦で負けると、2回目に誘うと「私が行くと負けちゃう気がして」と言われて2回目のハードルが上がることがあって。 長いリーグ戦で全勝することは不可能に近いことを誰もが分かっていても、たまたま行った試合で運勢を占ってしまうのもまた観客の心理なのかなと。
 ライト層の友人を連れて行きやすい限られたタイミングだからこそ、より一層勝つことを願っています。

宮本さん 今回の試合は、昨季のプレーオフのように負けたら終わりのような状況ではありません。そこはライト層の友人を誘う上でプラスかなと思っています。というのも、勝ったチームの笑顔、負けたチームの涙は、初めて観戦した方にもダイレクトに伝わりますし、応援している側も、勝てば天国、負ければ地獄のような状況です。もちろん、今回の試合も昇格を争う大一番なので、会場の熱が伝わりつつも、その結果で即座に昇格可否が決まるような極端な状況でないバランスはありがたいですね。

ミノさん もちろん、いわゆるシックスポイントゲームになるし、誘った人をケアしたい思いはありつつも、勝ちにこだわりたい大一番の試合ですよね(笑)

今シーズンも攻撃の中心として4ゴール5アシストを記録している元日本代表の乾貴士選手 【Photo by Masashi Hara/Getty Images】

Q:あまりサッカーに詳しくない方であっても誘いやすい国立だからこそ、今回は悪いジンクスに終止符を打ってほしいですね。みなさまはもちろん、9月28日の横浜FC戦も観戦に行かれると思うのですが、どのような過ごし方をイメージされていますか?

楯石さん 去年はプレーオフを含めて国立で開催された試合が2度ありましたが、どちらも試合後には同じ居酒屋に行ったので、今年もそうなるのではないかと思います。近くに飲食店があって、友人と試合を振り返ったりできるのはいいですね。

宮本さん いつもエスパルスのサポーターはアイスタの試合終わりにそんなことをやっていると思うと羨ましいですね。

楯石さんミノさん 本当にそうですよね。

宮本さん 私はもてなす側として会社の同僚を連れて行こうと思っているので、試合前に会場をぐるぐる回ってスタグルを楽しんだり、グッズストアを見たり、コンサートの前のような過ごし方をすると思います。ただ、10分間だけ時間をもらって、この試合の持つ重要さや、注目選手は教えたいです。なので、ライト層の方にも伝わりやすいようなコンテンツを作成いただけると嬉しいです(笑)。

楯石さん 確かに、自分も初めて観戦した時に、選手の顔と名前が一致していませんでした。ビジョンを見れば、ある程度を把握することはできますし、今でこそポジションがわかるので、「今ボールを運んでいるのはあの選手だよな」と推測することはできるのですが、当時はパッと見ただけではわからないことが多かったです。なので、たとえば事前に「33番の乾(貴士)に注目していくといいよ」と伝えるだけで、見方が変わると思います。

ミノさん 私は国立まで30分圏内なので、試合前は何か特別なことはせずただの日常になると思います。でもこれって本来、静岡・清水周辺に在住されている方にとっての、普段のホームゲームのような過ごし方なんだろうな、という事を妄想しながら、もはやギリギリまで家を出ないでいようと思います。試合が終わった後に友だちと飲んだりするのは楽しみですね。向かいのホープ軒というラーメン屋も、いくら近かろうと国立で試合がないと行く機会が無いので、風物詩的に味わうのもいいかなと思います。

今年の9月28日は、国立で新たな趣味や仲間に出会うきっかけに 【©️J.LEAGUE】

Q:最後に、今年の国立開催で楽しみにされていることを聞かせていただいてもよろしいでしょうか?

楯石さん 常日頃から勝利を願っているので、「国立だから絶対勝てよ」といった考えはあまりありません。けれども、ここまで話してきたように、国立開催のゲームは周囲の人を誘いやすいので、そこをポジティブに捉えています。会社の同僚は、私が毎週のように静岡までエスパルスの試合を観に行っていることを知っています。なので、「9月28日に国立でエスパルスの試合があるから一緒に行こうよ」ということは気軽に言えるんです。仕事でしか付き合いがなかった同僚に、自分の趣味のフィールドに踏み込んでもらえるかもしれないという楽しみがあります。

宮本さん このままホーム無敗を続けて、国立で勝って昇格に王手をかけるような展開だと、より一層盛り上がって楽しいだろうなと思っています。ただし、結果の部分はどうなるかわからないので、立地、グルメ、イベントも含めた「エンターテインメント」の部分を期待しています。そこの完成度が高ければ、連れて行く同僚も喜んでくれると思うので。

ミノさん クラブとしてお金がかかるものだとは思うのですが、年に1度の国立開催ですし、スタジアムの演出が楽しみです。それは私個人としてもそうですし、初めてエスパルスの試合を観戦する人のためにも思いますね。

2/2ページ

著者プロフィール

神奈川県出身のフットボールライター。Jリーグを中心に取材活動を行っており、これまでサッカーキング、サッカー専門新聞ELGOLAZO+を中心に寄稿。2024シーズンよりELGOLAZO+にて清水エスパルスを担当している。

新着記事

編集部ピックアップ

コラムランキング

おすすめ記事(Doスポーツ)

記事一覧

新着公式情報

公式情報一覧

日本オリンピック委員会公式サイト

JOC公式アカウント