週刊MLBレポート2024(毎週金曜日更新)

「構えの段階でいい未来があまり見えない」 大谷翔平自身が分析する、8月の打撃低迷の原因

丹羽政善

三冠王はどうなる?

8月17日のカージナルス戦の5回、38号本塁打を放つ大谷翔平。日本人選手ではじめて、メジャー全30球団から本塁打を記録した 【写真は共同】

 もっとも、その話を聞いたラーズ・ヌートバー(カージナルス)は、「あれで調子が悪いって翔平は言っているの?」と苦笑した。

「普通の選手とは、やはり違う」

 その前日(8月17日)、右翼を守っていた彼の頭上を大谷の打球角度21度というライナーが超えていった。滞空時間はわずか3.6秒。まともに反応する間もなく、右中間のカージナルスブルペンに打球が飛び込んだ。

「スイングはスムーズだし、アグレッシブ。彼のスランプなんて、本当のスランプじゃないよ」

 大谷は8月18日も、前日のリプレイを見るかのような低い弾道の本塁打を放った。しかし、他の打席では凡退し、ミスショットも目立った。その度に、まだスイング軌道、タイミングのズレがあるのか、浮かない表情を見せた。

 霧がかった視界は、どう晴れていくのか。三冠王が射程圏にあるうちに抜け出せるのか。それはそれで、見どころとなる。

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著者プロフィール

1967年、愛知県生まれ。立教大学経済学部卒業。出版社に勤務の後、95年秋に渡米。インディアナ州立大学スポーツマネージメント学部卒業。シアトルに居を構え、MLB、NBAなど現地のスポーツを精力的に取材し、コラムや記事の配信を行う。3月24日、日本経済新聞出版社より、「イチロー・フィールド」(野球を超えた人生哲学)を上梓する。

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