「構えの段階でいい未来があまり見えない」 大谷翔平自身が分析する、8月の打撃低迷の原因
日本人選手初の「40-40」にリーチがかかる大谷翔平。8月は打率こそ低迷するも、7本塁打11盗塁をマークしている 【Photo by Jayne Kamin-Oncea/Getty Images】
昨年はエンゼルスでプレーし、いまはフィリーズにいるカルロス・エステベス。エンゼルス時代にチームメートだった大谷翔平(ドジャース)との距離が縮まったのは、その一言だったという。
「すれ違いざまにそう日本語で声をかけたんだけど、翔平が足を止めて、思わずこっちを振り返ったんだ」
分かる人には分かる、アニメ「ワンピース」の1シーンである。
以来、2人は好きなアニメの話で盛り上がるようになった。
7月にエンゼルスからフィリーズに移籍したカルロス・エステベス。今季は43試合に登板し、防御率2.47、22セーブをマークしている 【Photo by Terence Lewis/Icon Sportswire via Getty Images】
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「来年、ドジャースが日本へ行くだろ? なんとか再契約して、一緒に行きたいんだ。日本のカードショップに行きたいから」
半分は冗談だが、半分は本気。
「まだ、インターネットが電話線を使っていた時代から、日本のどこのショップに行けば、珍しいケードが売っているとか、リサーチしていた」
エステベスは、どちらかと言えばフィギュア集めが趣味。バンダはカード。日本のアニメキャラクターの名前が、スラスラと口から出てくるところは同じである。
「打撃の8割5分は構えで決まる」
8月18日のカージナルス戦の5回、2試合連続となる39号本塁打を放つ大谷翔平 【写真は共同】
思うような打撃が出来ないことを大谷が吐露したのは、8月17日に行われたカージナル戦後。「よくない時というのは、動きにラグ(遅れ、ずれ)が多い。打ったと思った球がちょっとのズレでコンタクトできていない、また、いい打球にならない」と説明を始めた。
要因は?
「100%自分の(問題)。動きというか技術的な部分」
相手の攻め方が変わった、あるいは、地区の優勝争いで、パドレス、ダイヤモンドバックスが迫ってきていることの焦りを指摘する声もあったが、それは否定した。
確かに、ボール球を追いかけているというよりは、甘い球を打ち損じることも少なくなかった。また、際どいというより、明らかにストライクゾーンの球なのに、見逃し三振を喫することも度々目にした。
大谷は普段から「(打撃の)8割5分は、構えで決まる」と話す。調子がいいときは、そこでいいイメージが持てる。しかし、いまは「構えている段階でいい未来があまり見えていない」という。
そういうときは技術――大谷はそれを“アプローチと状態を上げていくこと”と定義――で補ってきたが、それではカバーしきれなかった。
もちろん、様々な模索をしている。
「試合前の準備というのはあまり変えないようにしていますけど、調子が悪いときというのは、戻すためにいろいろやったりするので、いい時よりは違うことをやっている」
それでも一向に調子が上向かないが、思い当たるふしがないわけではない。
「いい打球を打っても結果的にアウトになる打球が、今月は多い。いい打席がいい結果になるかならないかで、自分の中でそれが本当に正しい技術なのかどうなのか確認がしづらいので、多少戻しづらくなっている要因になっている」
大谷は度々、「いいアウト」という言葉を使う。アウトになっていても、アプローチ、スイング軌道、強い打球が飛んでいるなら、悲観的になることはない。しかし、いいアウトなのか、悪いアウトなのか、そこでも迷いが生じている。
今年は5月終わりから6月上旬にかけて、やや当たりが止まったことがあった。しかしこのときは、明らかにボール球に手を出していて、6月半ばに修正すると、その後は6試合で5本塁打を記録するなど、復調した。
今回はただ、感覚的な部分でしっくりこない。そこがやっかい。