週刊MLBレポート2024(毎週金曜日更新)

大谷翔平とアーロン・ジャッジがトップタイ MLB強打者を表す最新指標「No Doubters」とは?

丹羽政善

完璧に捉える一方、月間打率は低迷

 異なるメリットも感じているよう。

 大谷は、「うまく打てた打球がいい飛距離だったりとか、いい速度でホームランになるというのはもちろん、いいこと」と言ってから、こう言葉を継いでいる。

「逆にいえば、打ち損じた打球も入ってくれる可能性ももちろん広がるので、それはこの間の高いフライもそうでしたけど、ああいうのが入ってくれれば、自分のバッティングの可能性としては広がってくる」

 “この間の高いフライ”というのは、7月25日のジャイアンツ戦で右翼ポール際に放ったホームランのこと。打球角度は46度(自己本塁打最高角度)で、“上がりすぎた”と映ったが、そのままスタンドに消えた。デイブ・ロバーツ監督はあの日、「サンドウェッジで打った打球が柵越えした」と形容したが、打ち損じがホームランにもなる――。比率を考えれば、打ち損じの打球が、No Doubtersになっている可能性も考えられる。

7月25日のジャイアンツ戦で大谷翔平が放った本塁打は、日米通算250号の記念すべき一打となった 【Photo by Jayne Kamin-Oncea/Getty Images】

 8月12日の試合では、フレディ・ペラルタ(ブリュワーズ)から424フィート(約129.2メートル)弾を放ったが、このときもペラルタは、打球の方向を振り返ることもなかった。

 現在の状態そのものは、決してよくはない。8月13日も本塁打の打席以外は、すべて凡退。12日も同様。12日は、四球で出塁した後に盗塁を決め、ムーキー・ベッツの適時打でダメ押しのホームを踏み、パワーとスピードという、大谷らしいパフォーマンスだったが、ここしばらくマルチ安打からも遠ざかり、8月の月間打率はわずか.176(8月14日試合終了時点)だ。

 完璧に捉える一方で、相変わらず真っ直ぐ高めを打ちあぐねる。摩訶不思議な夏が続いている。

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著者プロフィール

1967年、愛知県生まれ。立教大学経済学部卒業。出版社に勤務の後、95年秋に渡米。インディアナ州立大学スポーツマネージメント学部卒業。シアトルに居を構え、MLB、NBAなど現地のスポーツを精力的に取材し、コラムや記事の配信を行う。3月24日、日本経済新聞出版社より、「イチロー・フィールド」(野球を超えた人生哲学)を上梓する。

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