試合中にデータを分析して打席ごとに修正 「33号本塁打」に見る、大谷翔平の卓越した“アジャスト能力”
8月2日のアスレチックス戦、九回の第5打席で3ランを放ち、雄たけびを上げる大谷 【Photo by Thearon W. Henderson/Getty Images】
今季限りでオークランドを離れるアスレチックス。ドジャースとアスレチックスが今年のワールドシリーズで対戦しない限り、大谷翔平(ドジャース)がもう、1972年からのワールドシリーズ3連覇、80年代後半からはリッキー・ヘンダーソン、マーク・マグワイア、デニス・エカーズリーらが活躍するなど、華やかな歴史に彩られてきたオークランド・コロシアムでプレーすることはない。
大谷は2018年3月29日(現地時間、以下同)にオークランドでデビューし、初安打。3日後には投手として初勝利を挙げた。22年5月、同球場でメジャー通算100号の節目となる本塁打を放ち、同年10月には投打で規定に達した。先週8月3日には30-30(30本塁打以上、30盗塁以上)をマークしている。
球場について聞かれた大谷が、不便さもユーモアに代え、逆に愛着を感じさせるコメントをしたのは8月2日のことだが、わざわざ室内ケージの有無に触れたのは、含みがあった。
その日、大谷は1打席目、2打席目ともにセンターへ大きなフライを放ったが、飛距離が出なかった。
【参照:STATCAST(ホークアイを用いたMLB独自のデータ解析ツール)】
「36度で105マイルくらい出ているので」
試合中にデータを分析して本塁打に
8月3日のアスレチックス戦、九回に二盗を決めた大谷。日本人選手初となる「30-30」を達成した 【写真は共同】
実際、打球初速が105.5マイルで打球角度が37度ならば、バレルゾーンに入っているので、ホームランになっていてもおかしくない。もちろん、35度を下回ることが理想だが、とはいえ、なぜこれで373フィートしか飛ばなかったのか?
大谷の分析はこうである。
「どちらかというと(バック)スピンがかかり過ぎている。同じ打球でも伸びない要因はそこかなと思うので、(スイング)軌道が少しずれているのかなと思います」
大谷は向かってくるボールに対し、バットの軌道を一直線ではなく、ボールの中心のやや下を平行に通すイメージで振っている。以下の動画は6月5日、大谷がポール・スキーンズ(パイレーツ)から本塁打を打ったときのバットの軌道を可視化したものだが、オリジナルの映像を見ると、さらにそのことをイメージしやすい。
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【参照:STATCAST】