カーリングシーズン開幕戦“みどチャレ”はコンサドーレと中部電力がまず1勝、あの選手が母として復帰

竹田聡一郎

スイープ面で向上を見せた中部電力が北海道ツアー初優勝

 女子決勝は準決勝でTabata(北海道銀⾏)を破ったYoshimura(フォルティウス)、同じくMinami(STRAHL)に勝利したKitazawa(中部電力)による全勝対決となった。

 チームとしてみどチャレ3連覇を狙うYoshimuraのスキップ吉村紗也香は、出産と育児のため昨季を休養しての復帰戦となったが、ブランクを感じさせないキレのあるショットでチームをけん引。近江谷杏菜と小野寺佳歩のスイーパー陣をフロントエンドに置き、サードバイスに昨季、吉村の留守を守った小谷優奈という新布陣に大きなトラブルはなかったように見える。小谷と吉村のバックエンドのつながりも良く、吉村は小谷について「スキップを経て頼もしくなった。心強い存在です」と笑顔で語った。

 しかし、今大会は中部電力が上回った形だ。鈴木みのりー江並杏実ー中嶋星奈ー北澤育恵という昨季を継続するラインナップで挑み、「しっかり準備ができた状態で試合に入り、コミュニケーションの部分で収穫があった」と北澤。今季からオンアイスの練習回数を増やし、スイープ面での課題に取り組んだ。

「石への(スイーパーの)つき方、掃き方、特に使っていないラインでのスイーピングを見直した」と北澤が語るように江並のスイープ力を生かす方向でチームは強化を続けている。

 決勝でもスルーやピールアウトというミスは見られたものの、大きなミスを続けて崩れる場面はなく、国内最高レベルのフィニッシャーの地位を確立しつつある北澤のショットで仕留めるスタイルは健在だ。「今年はランキングも意識するシーズンになる。チームとして安定感を求めながら過ごしたい」(北澤)と息巻くチームとして、北海道ツアー初勝利という最高の狼煙が上がった。

良くも悪くも中部電力の浮沈の鍵は北澤育恵(写真中央)だ 【(C)HCT2024】

世界ランカーが参戦するツアー第二戦、アドヴィックスカップ2024

 お盆を挟んで北海道ツアー2024の第二戦は常呂町に舞台を移す。

 惜しくも決勝まで届かなかった4チームのスキップおよびフィフスが以下のように語ってくれた。

「オフにチームで話したアイスの読みという部分で収穫も課題も出た。アドヴィックス杯ではチームとしても個人としてもショットの精度にこだわりたい」(Hirata/平田洸介)

「しっかりチームでコミュニケーションを取りながらアイスや石のクセを読んでいく。それが今季の課題で、実戦でできて慣れもでてきた。そのままコミュニケーション(の質)を落とさずに投げの技術を上げてゆく」(Morozumi/TM軽井沢・両角友佑)

「試合を重ねるごとにコミュニケーションの質が上がってアイスリーディングに繋がったのは大きな収穫。アイスリーディングは日本選手権(来年2月/横浜Buntai)までの大きな課題なのでどんどん(スピードと精度を)上げていきたい」(Tabata/⽥畑百葉)

「勝てた試合と負けた試合とでは明らかに(チーム内の)コミュニケーションに差が出てしまった。コミュニケーションが取れている時はアイスも読めて、自分たちのカーリングができている。次の大会でまた強く意識する」(Minami/南真由)

 22日に開幕するアドヴィックスカップ2024は、女子は昨季に大躍進した世界ランキング3位のGim(韓国)やFujisawa(LOCOSOLARE)、Ueno(SC軽井沢クラブ)などの強豪が出場する。さらなる好ゲームが期待できそうだ。

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著者プロフィール

1979年神奈川県出身。2004年にフリーランスのライターとなりサッカーを中心にスポーツ全般の取材と執筆を重ね、著書には『BBB ビーサン!! 15万円ぽっちワールドフットボール観戦旅』『日々是蹴球』(講談社)がある。カーリングは2010年バンクーバー五輪に挑む「チーム青森」をきっかけに、歴代の日本代表チームを追い、取材歴も10年を超えた。

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