『甲子園優勝監督の失敗学』

岡田龍生監督が「スパルタ式指導」を改めた謹慎処分  面談と組織の充実で履正社を強豪に

大利実
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【写真は共同】

 負けたときにしか人は変われない。失敗を経て頂点に辿り着いた名将たち

 仙台育英・須江航監督も、慶應義塾・森林貴彦監督も、甲子園を制した誰しもが、忘れられない失敗を経験していた。そこから何を学び、克服して、日本一まで上り詰めたのか。初めて明かされる名将の失敗学とは? 『甲子園優勝監督の失敗学』(大利実著)から履正社高で長年指導をした現・東洋大姫路高の岡田龍生監督について記事を一部抜粋して公開します。

「監督と選手」「監督と保護者」の二者面談を取り入れる

 謹慎処分は、2001年の8月から年明けまでの6カ月。高野連からは、「岡田先生、次はあかんで」と警告を受けていた。次にまた同じことをすれば、もうグラウンドに戻ることはできない。それは、自分自身でも十分に理解していた。

 今までの指導を変えなければいけない。では、どうすればいいか――。

「選手とも親とも、積極的に会話をして、コミュニケーションを増やす。それしか考えつきませんでした。投書をした保護者が誰なのか未だにわかっていませんが、おそらくは、試合に使ってもらえないことで、何かしらの不満があったのだと思います。たとえばですけど、おじいちゃん、おばあちゃん、お父さん、お母さんが見に来た練習試合で、我が子が起用されないとなったときに、『うちのはまだ力不足やな』と思う人もいれば、『何で? うちの子はやればできるのに、監督は何を考えているんや!』と思う人もいるわけです。どう思われるかはそれぞれの考えがあって当然なので、大事なのは、こちらがちゃんと説明をすること。『お子さんは今こんな練習を頑張っていて、こういう状況なんですよ』と伝えることができれば、親からそんなに大きな不満は出てこない。そんなことを考えるようになりました」

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著者プロフィール

1977年生まれ、横浜市出身。大学卒業後、スポーツライター事務所を経て独立。中学軟式野球、高校野球を中心に取材・執筆。著書に『高校野球界の監督がここまで明かす! 走塁技術の極意』『中学野球部の教科書』(カンゼン)、構成本に『仙台育英 日本一からの招待』(須江航著/カンゼン)などがある。現在ベースボール専門メディアFull-Count(https://full-count.jp/)で、神奈川の高校野球にまつわるコラムを随時執筆中。

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