『甲子園優勝監督の失敗学』

夏の甲子園へあと一歩が続いていた東海大相模 門馬前監督が熱くなった主将の言葉

大利実
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【写真は共同】

 負けたときにしか人は変われない。失敗を経て頂点に辿り着いた名将たち

 仙台育英・須江航監督も、慶應義塾・森林貴彦監督も、甲子園を制した誰しもが、忘れられない失敗を経験していた。そこから何を学び、克服して、日本一まで上り詰めたのか。初めて明かされる名将の失敗学とは? 『甲子園優勝監督の失敗学』(大利実著)から東海大相模高で長年指導をした現・創志学園高の門馬敬治監督について記事を一部抜粋して公開します。

選手から問われた「本気」の覚悟

 2005年、2006年とセンバツに出場するが、いずれも2回戦敗退。夏の神奈川大会では2006年から3年続けて決勝で敗退。横浜、桐光学園、慶應義塾とすべて違う学校に敗れた。今となれば、すべてが財産であるが、「あのときこうしておけば……」と思う場面はいくつもある。

 たとえば、菅野智之(巨人)を擁して臨んだ2007年。決勝の終盤、すでに疲労がピークに達していた菅野は、気力だけで投げている状態で、同点の9回に決勝タイムリーを打たれた。大会後は点滴を受けるなど、しばらく動けないほど負担がかかっていた。夏を勝ち抜くには複数投手が必要であることを、改めて痛感する敗戦となった。

 門馬監督が悔やむのは、4回戦の鶴見工との試合だ。
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著者プロフィール

1977年生まれ、横浜市出身。大学卒業後、スポーツライター事務所を経て独立。中学軟式野球、高校野球を中心に取材・執筆。著書に『高校野球界の監督がここまで明かす! 走塁技術の極意』『中学野球部の教科書』(カンゼン)、構成本に『仙台育英 日本一からの招待』(須江航著/カンゼン)などがある。現在ベースボール専門メディアFull-Count(https://full-count.jp/)で、神奈川の高校野球にまつわるコラムを随時執筆中。

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