夏の甲子園・注目プレーヤー厳選10人 高校最強投手&野手、超大型左腕、九州のスピードスター…

西尾典文

宇野真仁朗:早稲田実(西東京)/3年/遊撃手兼三塁手

今夏の西東京大会では主に2番に入り、その強打で打線を支えた。主将も務める名門・早実の牽引車だ 【YOJI-GEN】

 今年の東京を代表する右の強打者。入学直後からセカンドのレギュラーに定着してホームランを量産し、今春からは木製バットを使用してもその勢いはとどまることなく、高校通算本塁打は64本を数える。178センチとそこまで上背があるわけではないが、鋭く体を回転させるスイングでヘッドを走らせ、打球に角度をつけるのも上手い。

 また元々はショートだが1年時はセカンド、今年はサードも兼任するなど内野ならどこでも守れる器用さも持ち合わせている。今夏の西東京大会では序盤の2試合はノーヒットだったが、徐々に調子を上げ、準々決勝での満塁弾を含む2本のホームランを放ち、さすがの長打力を見せつけた。

石塚裕惺:花咲徳栄(埼玉)/3年/遊撃手

強力打線の4番にどっしり座り、遊撃手としては堅実な守備を見せる。自身初の甲子園でどんなプレーを披露するのか 【YOJI-GEN】

 確実性と長打力を高いレベルで兼ね備えた高校生ナンバーワン野手。大学生に混ざっても見劣りしないたくましい体つきで、無駄な動きがなく、シャープな振り出しでセンターを中心に鋭い当たりを放つ。4月に行われたU-18日本代表候補の強化合宿では木製バットでも軽々と柵越えを連発し、高い打撃技術を証明した。

 ショートの守備も派手さはないものの、動きの良さと肩の強さは申し分なく、プレーに丁寧さがあるのが持ち味。この夏の埼玉大会では、初戦でいきなりホームランを放つなど7試合で12安打、11打点と見事な成績を残した。野手では最注目の選手と言えるだろう。

中村奈一輝:宮崎商(宮崎)/3年/遊撃手

アスリート能力の高さは折り紙付き。1番ショート、そして快速球のリリーバーとして、3年ぶりの甲子園出場を勝ち取った宮崎商を引っ張る 【西尾典文】

 九州で大きな注目を集めている大型ショート。183センチ・70キロとまだ体は細いものの、軽快なフットワークと強肩は素晴らしいものがあり、長身でもプレーにスピード感があるのが持ち味だ。打撃は少しアウトステップ傾向が強く、外のボールに対して強く踏み込めないのは課題だが、巧みなリストワークでバットコントロールも悪くない。また投手としても抑えを任されており、145キロを超えるスピードを誇る。

 まだまだ攻守ともに力強さが足りない部分はあるものの、運動能力の高さと強肩は大きな武器であり、将来性を評価しているプロ球団も多いはずだ。

高木真心:明豊(大分)/3年/外野手

1年夏から数えてこれが4度目の甲子園。自慢の快足とミート力で、春の九州大会を制したチームをさらなる高みへ導けるか 【写真は共同】

 プロで足のスペシャリストになれる可能性を秘めた九州が誇るスピードスター。入学直後から外野のレギュラーを獲得すると、1年夏に出場した甲子園でいきなりスリーベースを放ち、そのスピードとミート力を見せつけた。とにかくトップスピードに入るのが早く、一塁到達タイムはかなりの俊足と言われる4.00秒を切ることも珍しくない。169センチ・64キロと小柄ながら、昨年秋の九州大会ではホームランも放ち、この夏の大分大会ではチームトップの打率をマークしている。

 高校からすぐプロというタイプではないが、そのスピードは圧倒的なものがあるだけに、パワーがついてくれば将来的にはドラフト指名も狙えるだろう。

正林輝大:神村学園(鹿児島)/3年/外野手

昨夏や今春の甲子園でも打撃技術の高さを見せつけた。今夏の鹿児島大会でも5割近いハイアベレージを記録 【写真は共同】

 抜群の打撃技術が光る強打の外野手。昨年夏の甲子園では2年生ながら4番として5試合で10安打を放ち、チームのベスト4進出に大きく貢献した。新チームになってからも厳しいマークのなかで結果を残し続け、今春の選抜でも2試合で9打数5安打、1本塁打と見事な成績を残している。また4月に行われたU-18侍ジャパン候補の強化合宿では、木製バットを使って紅白戦でホームランを放ち、視察したプロのスカウト陣をうならせた。

 打撃に注目が集まるが、俊足と強肩も備えており、外野手としての総合力が高い。早くからプロ志望を表明しており、3度目となる甲子園の舞台でもそのプレーに注目が集まる。

(企画・編集/YOJI-GEN)

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著者プロフィール

1979年生まれ。愛知県出身。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究し、在学中から専門誌に寄稿を開始。修了後も主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間300試合以上を現場で取材し、AERA dot.、デイリー新潮、FRIDAYデジタル、スポーツナビ、BASEBALL KING、THE DIGEST、REAL SPORTSなどに記事を寄稿中。2017年からはスカイAのドラフト中継でも解説を務めている。ドラフト情報を発信する「プロアマ野球研究所(PABBlab)」でも毎日記事を配信中。

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