ブラサカ日本代表が体験したライバル国の“特異さ” パラでのメダル獲得とその先に目指す未来は?

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パリに向けた「シミュレーション」

得点を期待された平林(左)だったが無得点に終わった 【写真は共同】

 大会中、監督や選手から、パリパラリンピックへ向けた「シミュレーション」という言葉が何度も使われた。モロッコとの対戦経験、5日に掲載したコラムで触れた「グランフロント大阪・うめきた広場」という“特殊”な環境でのプレー、パラリンピック本大会を見据えたゲームプランなど、その範囲は多岐に渡る。

 中川監督は大会を「モロッコと2試合できたことはすごい大きな収穫で、この会場の環境に適応していく部分も、試合を通じて良くなっていった。また強度が高くて、プレッシャーがある試合を若い選手が体験できたことも、すごく意味のある大会だった」と総括し、パリに向けては「残り2か月弱、もっといい準備して、チームがもう一段ギア上げて、メダルを取れるように」と話した。

 メダルに向けた課題の一つとしては「得点力」が挙げられる。大会4試合を通じて日本の得点は川村の2点のみ。得点を期待された平林も厳しいマークに苦しみ無得点に終わった。

 平林は「ボールを持って、そこからパスとドリブルだけでなく、自分が持ち出して、ゲームを作っていく選択肢を持つきっかけになった」と前を向いた。

 中川監督も得点力不足を「大きな課題」としつつも、“技術的な課題”、“チームの課題”、“コンビネーションの課題”に分けて精査しているといい「(パラリンピック)本番にはいい状況でいけるんじゃないかなって確信してます」と話した。

パリ後も見据えた大会開催

 冒頭でも触れたが、今大会は初めて大阪で開催された国際大会。会場はJR大阪駅の目の前で、有料の観客席は設けず、通行人など“新しい人たちの出会い”が会場設定の狙いの一つにあったという。大会前には川村も「多くの人にブラインドサッカーを見てもらって魅力を伝えていきたい」と話していた。

 それについて、日本ブラインドサッカー協会の松崎英吾専務理事は「まずは認知を大阪で獲得するという意味では、非常にインパクトがあった」と評価し、その中でもナイターゲームの雰囲気は「予想以上」だったいう。試合中に会場周辺を歩くと、ブラインドサッカーを話題にしている通行人や、足を止めてプレーを見たり、写真を撮っている人を多く見かけた。

 2021年以来となる国内での開催については「国際大会の持つ吸引力というか、人に伝えていく力強さみたい部分を改めて、もう一度学ばせていただいた」(松崎専務理事)と語り、今後の国際大会開催に向けても意欲を示した。
 
 中川監督も「パラスポーツやブラインドサッカーが、日本の文化や生活に根付いていくためのすごい大きなきっかけなるような大会だったんじゃないか」と話す。

 パリパラリンピックに初めて“自力出場”する日本は、世界ランキングも史上最高の3位にまで押し上げている。目標に掲げる「メダル獲得」、そしてブラインドサッカーの更なる普及に向け、大きな意義のある4日間となった。

(文:山田遼/スポーツナビ)

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