ガンバの最終ラインを支える新DFリーダー 中谷進之介が川崎Fの強力アタッカー陣に立ちはだかる

下薗昌記

マッシモの時代から失点の少なさにこだわりを持つようになった

試合中、味方に指示を出す中谷(中央) 【(C)GAMBA OSAKA】

――名古屋時代にリーグ最小失点を誇った当時も中谷選手らCB陣とGKのランゲラック選手の3人が鉄壁の守りを見せていました。やはりガンバでも三浦弦太選手、一森純選手とのトリオで堅い守りを見せていますね。

 失点の少なさに関するこだわりを僕は持っています。最終ラインの顔ぶれについては、それぞれのクラブで運とかタイミングもありますけど、本当に名古屋時代のような感覚でやれていますね。名古屋時代のサッカーとはスタイルは違いますけど、後ろが崩れない限り、チームも大崩れしないので、失点は今後も減らしていくつもりです。

――中谷選手の気迫あるプレーを見ていると、絶対に相手FWにやらせないという気迫を感じます。昔から、こだわっていた点だったのでしょうか。また、CBとしてサポーターにここを見てほしいというプレーを聞かせてください。

 いえ、マッシモの時代からですね。そのスタイルで上位に行けたというのがありましたから、それ以来、自分も失点の少なさにこだわりを持つようになったかなと思います。プレー面に関しては分かりにくい部分かもしれませんけど、ピッチの全体を予測してボールを奪うとか、自分がチームにとって危険な場所に立っていることとか、先読みの力や予測に関しては僕が大事にしているプレーです。

――今季リーグ戦では9試合を終えて計7失点。うち3試合で無失点という堅さを見せています。ガンバを変える、ということへの手応えを聞かせてください。

 開幕前に想定していたしていたよりも、すごくいいシーズンをここまでは送れていると思っています。実は、もっと苦しむんじゃないかなと思っていましたし、今はある程度の結果が出ていますが、もっと苦しみながら勝ち点を取っていくんじゃないかなと想定していたので、かなり良い順位にいるかなと思いますね。

最終の38試合が終わった後に何失点しているのかが僕の評価

ガンバが順位を上げるために、中谷はシーズンの失点数をいかに抑えるかにこだわり戦っている 【(C)GAMBA OSAKA】

――ルヴァンカップの優勝は名古屋時代に経験されていますが、Jリーグの優勝はまだ手が届いていないタイトルです。中谷選手にとっても、こだわりたいタイトルの一つではないですか。

 そこへの思いは強いですね。あと、何年プレーできるか分からないJリーグの選手生活で、リーグ優勝は取りたいタイトルですし、本当にタイトルは取れるだけ取りたいなと、ルヴァンカップを初めて取った時に思いました。あの感覚をもう一回、今度はガンバで味わいたいですね。

――長丁場のリーグ戦でタイトルを取ったり、上位に進出したりする上でやはり守備の安定は欠かせませんが、ご自身の役割を聞かせてください。

 本当にこのぐらいの失点数で行けば、ガンバが上を目指せることは間違いないですし、守備陣が大崩れしないというところは意識しながらやっていきたいですね。負けましたけど、個人的にはマリノス戦の前半は良かったです。前からプレッシャーにも行けていて、シュートチャンスもすごくありました。札幌戦は情けない試合というか、負けるべくして負けた試合だと思っていますが、そこからのリバウンドメンタリティを見せられました。試合には負けましたけど、マリノス戦の前半の戦い方をどのチーム相手にもやりたいと思っています。

――5月19日にパナソニックスタジアム吹田で行われる川崎F戦について聞かせてください。川崎には新加入のブラジル人FWを含めて強力な攻撃陣がいます。改めて中谷選手ら守備陣にとっても腕の見せ所になりそうですね。

 前線には左利きの良いFW(エリソン)がいるので、そこをどれだけ僕らが抑えられるかだと思います。川崎Fは力があるチームだと思いますし、彼らが連勝したりして流れに乗ってくるかもしれないので、相手の攻撃陣には、しっかり気をつけながらプレーしたいですね。中盤の3枚で、上手くボールをつなぎながら短いパスの距離間で狭いところを突いてきますし、と思っていたらマルシーニョの一発もありますし、色々なところに気をつけたいです。

――中谷選手にとってJ1での記念すべき初得点は、柏時代の2016年5月8日に決めている川崎F相手のゴールでしたね。

 そうですね(笑)。Jリーグでの初ゴールで、日立台で決めたので良く覚えています。

――ガンバとして上位を目指す戦いが続きますが、堅守を支える中谷選手の活躍は不可欠です。川崎F戦に来場するサポーターに向けて意気込みやメッセージを聞かせてください。

 最終の38試合が終わった後に何失点しているのかが、僕の評価だと思っていますし、そこにはこだわるつもりです。ガンバにはいいアタッカーがいるので、失点数を減らすことで上位に行けると思いますし、そこで僕がどれだけのパフォーマンスを見せられるかです。9試合をこなしたので僕のキャラクターは大体、サポーターの皆さんにも分かってもらえたと思いますので、これを続けるだけです。今はいい時期が続いていますが、これから苦しい時期が来るかもしれませんし、その時にはサポーターの皆さんの強い後押しがあれば嬉しいですね。

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著者プロフィール

1971年大阪市生まれ。師と仰ぐ名将テレ・サンターナ率いるブラジルの「芸術サッカー」に魅せられ、将来はブラジルサッカーに関わりたいと、大阪外国語大学外国語学部ポルトガル・ブラジル語学科に進学。朝日新聞記者を経て、2002年にブラジルに移住し、永住権を取得。南米各国で600試合以上を取材し、日テレG+では南米サッカー解説も担当する。ガンバ大阪の復活劇に密着した『ラストピース』(角川書店)は2015年のサッカー本大賞で大賞と読者賞に選ばれた。近著は『反骨心――ガンバ大阪の育成哲学――』(三栄書房)

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