週刊ドラフトレポート(毎週木曜日更新)

【週刊ドラフトレポート#01】大型右腕の今朝丸裕喜は1位指名の可能性も? 「高校No.1捕手」箱山遥人の評価も固まる

西尾典文

「選抜で披露した打力と強肩、今年のアマNo.1キャッチャー」

春夏通じて初優勝の健大高崎でチームをけん引した箱山 【写真は共同】

箱山遥人(健大高崎 3年 捕手 176cm/78kg 右投/右打)

【将来像】木下拓哉(中日)

捕手らしい雰囲気は十分で強肩とパンチ力を備えている点が重なる
【指名オススメ球団】楽天
24歳以下の支配下に若手捕手がおらず、将来の正捕手候補が必要
【現時点のドラフト評価】★★★☆☆(2位以上の可能性あり)

 今大会で春夏通じて初優勝を達成した健大高崎。その立役者と言えるのがキャッチャーで4番、キャプテンも務めた箱山だ。全国からレベルの高い選手が集まるチームの中でも1年秋から正捕手に定着。最初にプレーを見たのは一昨年11月に行われた「くまのベースボールフェスタ練習試合」という、全国から強豪が集まる練習試合でのことだったが、1年生とは思えない堂々としたプレーぶりが強く印象に残った。

 その後、チームの冬のトレーニングを取材する機会があり、上級生が修学旅行でちょうど不在だったということもあったが、練習の様子からもチームの中心という雰囲気は十分に出ていた。健大高崎はこれまでも長坂拳弥(阪神)、柘植世那(西武)、是沢涼輔(西武)、清水叶人(広島)と4人の捕手をプロに輩出しており、戸丸秦吾(立教大4年)、綱川真之佑(中央大3年)の2人も大学で正捕手として活躍しているが、青柳博文監督はそんな歴代の捕手と比べても総合力では箱山がナンバーワンではないかと話している。昨年の選抜でもチームは初戦で報徳学園に敗れたものの、箱山自身はツーベース1本を含む2安打1打点と4番として気を吐いた。

 2年秋の新チームからはキャプテンに就任。現在のチームは入学時から期待されていた選手が多く、それでいながらなかなか思うような結果が出ずに、一時はキャプテンを辞めたくなった時期もあったという。そんなこともあってか、関東大会準々決勝の中央学院戦に勝ち、選抜出場を当確にした瞬間には箱山の目から涙がこぼれていた。

 迎えた今大会、まずアピールしたのは守備だった。1回戦の学法石川戦、イニング間のセカンド送球は1.8秒台を3度マーク。学法石川は秋の公式戦12試合で22個の盗塁を決めるなど機動力のあるチームだったが、この箱山のスローイングを見てか、一度も盗塁をしかけてくることはなかった。また1回のワンアウト一塁の場面ではバント処理で素早く二塁に送球して進塁を防ぐプレーを見せている。地肩の強さだけでなく、フットワークの良さも備えているのは大きな魅力である。リード面でも佐藤龍月、石垣元気という2人の2年生の特長を引き出し、1回戦、2回戦と2試合連続で継投による零封を演出。性格の違いに合わせて声のかけ方も工夫していると話していたが、そういう目に見えない部分での貢献度も大きかったことは間違いない。

 2回戦まではヒット1本と少し湿っていた打撃も準々決勝、準決勝の2試合はいずれも3安打を記録。山梨学院戦で放ったタイムリースリーベースはフェンスにダイレクトで直撃する大飛球で、今大会から導入された低反発の金属バットの影響を感じさせない長打力もアピールしている。最終的には5試合で18打数8安打、打率.444、6打点と4番としての役割を十分に果たした。たくましい体格でパワーも申し分ないが、決して力任せなスイングにならず、ボールをしっかり呼び込んでミートできる対応力の高さも魅力だ。

 優勝後のインタビューを聞いても分かるように、受け答えも高校生とは思えないほどしっかりしており、そういったコミュニケーション能力の高さも捕手として重要な部分と言えるだろう。大会前から高校生ナンバーワン捕手という声は多く、今大会でその評価は不動のものとなった印象を受ける。今年は大学生、社会人に捕手の有力候補が少ないだけに、展開次第では上位指名も十分に狙えるだろう。

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著者プロフィール

1979年生まれ。愛知県出身。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究し、在学中から専門誌に寄稿を開始。修了後も主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間300試合以上を現場で取材し、AERA dot.、デイリー新潮、FRIDAYデジタル、スポーツナビ、BASEBALL KING、THE DIGEST、REAL SPORTSなどに記事を寄稿中。2017年からはスカイAのドラフト中継でも解説を務めている。ドラフト情報を発信する「プロアマ野球研究所(PABBlab)」でも毎日記事を配信中。

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